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参観日に行なう食の教育 「砂糖の害」


TOSSオフサイド 前川善治

夏休み前の参観日に、3年生を対象として行なった「砂糖の害」についての授業です。戸井和彦先生の「砂糖
と心身の健康について考えさせる授業」、「砂糖の害について考えさせる授業」の修正追試です。資料を提示
する際に、砂糖をとりすぎるとどんな害があるのかを予想させ、クイズ形式で発表させました。(’01/07更新)


 *準備物 (1)缶入りの炭酸飲料 (2)缶入りの清涼飲料 (3)缶入りのスポーツドリンク (4)缶入りのお茶 (5)牛乳7本 (6)角砂糖7個 (7)パーティーシュガー4g×7袋

 指示1 もうすぐ、暑い暑い夏休みがきますね。飲みたい人は手を挙げてください。

 *準備物(1)〜(5)を箱から出しながら、次々と聞いていく。
  炭酸飲料、清涼飲料、スポーツドリンクには、ほとんどの子どもが手を挙げていたが、お茶、牛乳に手を挙げていた子どもは24名中5〜6名であった。

 発問1 お茶や牛乳よりジュースが好きな人がたくさんいましたが、缶ジュース1本の中には、角砂糖何個分の砂糖が入っていると思いますか?

 *挙手により発言させた後、角砂糖を1個ずつ箱から出しながら、缶ジュース1本の中には角砂糖7個分の砂糖が入っていることを教える。

 説明1 角砂糖1個が4gです。だから、角砂糖7個分だと28gの砂糖が入っていることになります。28gの砂糖というとこれだけの量になります。

 *全員を教卓の近くに集める。パーティーシュガーは角砂糖と同じように1袋4gであることを知らせる。
  「これで角砂糖1個分。これで2個分、…。」と言いながら、パーティーシュガーの袋を開けて1袋ずつお皿の上に出していった。
  角砂糖と違って白砂糖の場合はけっこうなかさになるため、子どもたちも量の多さに驚いていた。

 発問2 小学生が1日にとってよい砂糖の量は、角砂糖何個分だと思いますか?

 *挙手により発言させた後、小学生が1日にとってよい砂糖の量は角砂糖5個〜6個分、20〜25gであることを教える。
  缶ジュース1本やアイスクリーム1個でそれくらいの砂糖が含まれていること、ショートケーキには30g以上の砂糖が入っていることを教える。
 *資料「砂糖摂取量によって区分した各群の訴え率」(鈴木雅子「食生活といじめに関するアンケート」より 「週刊朝日」5月1日号)を黒板に掲示する。
  資料を掲示する際、グラフ下の「訴え」(全15種類)は、紙を貼るなどして隠しておく。

 説明2 このグラフを見てください。このグラフは、「○○で困っています。」という人たちの割合を表したグラフです。
      一番上は、1日にとる砂糖の量が30gより少ない人たちです。「○○で困っています。」というのが、どれも少ないのが分かります。
      真ん中は、1日にとる砂糖の量が30〜40gの人たちです。左の5つの困っていることが、だいぶ増えているのが分かります。
      一番下は、1日に40〜70gも砂糖をとっている人たちです。「○○で困っています。」という人が、かなり増えているのが分かります。
      実は、砂糖をとりすぎるといろいろな困ったことが増えてくるのです。

 発問3 砂糖をとりすぎると、どんな困ったことがあるのか予想してください。思いつかない人は、友だちやお家の人といっしょに考えていいです。

 *2分〜3分、友だちや家の人と自由に相談させる。

 指示2 砂糖をとりすぎると、どんな困ったことが増えてくると思いますか? 発表してください。

 *挙手により発言させる。合っていた場合は、「訴え」の上に貼った紙をはがしていく。クイズ形式でヒントを出しながらテンポよく進める。
  実際の授業では、「う触(虫歯)」はすぐに出てきたが、他の14種類の訴えはなかなか出てこなかった。

 発問4 砂糖をとりすぎると、どうしてこういう困ったことが増えてくるのだと思いますか?

 *砂糖が脳や体の中で大切な働きをするカルシウムや鉄、ビタミンB1などを壊してしまうためであることを簡単に説明する。
 *次に、角砂糖1個を見せながら次の発問をする。

 発問5 では、この角砂糖1個で牛乳何本分のカルシウムをこわすと思いますか? 牛乳1本分だと思う人? 2本分だと思う人? …10本分以上だと思う人?

 *1本分から10本分以上まで、挙手で人数を確認する。

 説明3 実は、角砂糖1個でこれだけのカルシウムをこわしてしまうのです。

 *牛乳を1本ずつ箱から出しながら、角砂糖1個で牛乳7本分のカルシウムをこわすことを教える。

 発問6 角砂糖1個で牛乳7本分のカルシウムをこわします。ということは、缶ジュースを1本飲むと牛乳何本分のカルシウムがこわされることになりますか?

 *7×7=49で、およそ牛乳50本分のカルシウムがこわされることを確認する。
 *資料「砂糖摂取量によって区分した各群の訴え率」(鈴木雅子「食生活といじめに関するアンケート」より 「週刊朝日」5月1日号)から、
  砂糖をとりすぎると、「友だちとうまく遊べない」「かんしゃくをおこす」「いらいらする」人が増えてくることを確認し、次の説明をする。

 説明4 イギリスのある家庭に小学生になって間もない子がいました。
      この子は、大変けんかが好きで、学校に行っても家庭でも勉強や遊びに集中できず、何かを忍耐強くやり遂げることが出来ませんでした。
      家でも、すぐにおもちゃを壊したり、兄弟をつねったり、ひっかいたりしていつもけんかをしていました。その上、いつも落ち着かず、手が震えていました。
      話をしようとするとどもるし、イライラして怒りっぽく、自分の爪をよくかんでいました。
      この子は、典型的な「悪童」だったのです。しかも、夜になると眠れず、しばしばひどくうなされていたそうです。
      マッカーネス博士は、普段この子がどういったものを食べているのかを調べてみることにしました。
      両親が外で仕事をしていることもあって、生活が不規則で、「鍵っ子」のような生活をしていました。
      お金を自由に使うことができるので、毎日、自分勝手な食事をしていたのです。
      毎日、主に食べていたのは、アイスクリーム、ケーキ、チョコレート、シリアル(砂糖とミルクをかけて食べるもの)、お菓子、白パンなどでした。
      マッカーネス博士は、この子の問題が深いところで食物と関係があると思い、母親と相談して、一つの試みをしてみました。
      今までに食べさせているものは全て食べさせないようにさせ、肉類もなるべく控えさせたのです。
      こういったことを一週間続けさせた所、「悪童」の特徴が目に見えて消え、数週間経つと、以前とまったく違った「よい子」になったそうです。

 *子どもたちも最初は半信半疑であったようだが、最後はシーンとして聞いていた。

 発問7 マッカーネス博士は、しばらくしてこの子に再び、以前と同じ食事をとらせてみました。この子はどうなったでしょう。

 *「また、悪い子にもどった。」と予想した子がほとんどであった。

 発問8 この子は、また以前と同じような「悪童」に戻ってしまったそうです。そこで、母親と博士は、再び砂糖を一切使わないような食事に戻しました。
      どうなったでしょう?

 *全員が「また、よい子にもどった。」と予想していた。その通りであったことを知らせた後、ワークシートに
  今日の授業で分かったことと授業の感想を書かせた。感想を発表させた後、次のように聞いてみた。

 指示3 もうすぐ暑い暑い夏休みがきます。飲みたい人は手を挙げてください。

 *準備物(1)〜(5)について、次々と聞いていく。(子ども達はかなり悩んでいた。)
  炭酸飲料、清涼飲料、スポーツドリンクに手を挙げたこどもが24名中3〜4名となり、お茶、牛乳に手を挙げる子どもがほとんどとなった。



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