担当編集者は知っている。


『美食の王様
 究極の167店 珠玉の180皿』
著者:来栖けい
価格:\1575(税込)
出版社:筑摩書房
ISBN:4480877606
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すごいよーー、すごい本ですよーー。
食べ物に興味ある人は必読!
お店で気になったメニューは全てオーダーするという
この著者。話を聞けば聞くほど並外れている!!!
どのように桁外れで「すごい」か、担当編集者に
聞いてみました!!
      (ツルミ)

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担当編集者/筑摩書房 羽田雅美

来栖けい氏のある1日。
朝5時起床。
まず自宅のある茨城から東京に向かいながら
パン屋、ケーキ屋、和菓子屋を回る。
店にあるほとんどの種類を買い、
eat in もしくはtake out。
お昼にはレストランでアラカルトを食べ尽くす。
その後そば屋、ラーメン店、カレー屋などを回り、
夜は夜でレストランや寿司屋で食事。
さらに数店立ち寄り、夜帰宅してから
買ってきたパンやお菓子を食べて、長い1日が終わる。

こんな人がいると聞いて、会ってみて驚きました。
小さい! 細い! 若い! (164cm・45kg)
「高校生」と言っても通用しそうでしたが、当時24歳。
そんな若さでありながら、ものすごい数のレストラン、
食べ物屋に通っているのです。
しかもはんぱじゃない店ばかり。
中でも寿司屋の「入船」には、
大学4年間で100回通った!!
とにかく、食べ物の話になると止まらない。
どんなジャンルの話でも10倍以上になって
返ってくるのです。

実は、私自身も食べ歩くのが好きで、
“レストラン通”を自認していたのですが、
来栖さんに会った時「足元にも及ばない〜」と、
すっかりしょげてしまいました。
職業柄、様々な「すごい」人、「優れた」人に
会ってきましたが、ここまで明らかに
「並はずれた」人に会ったのは初めてかも‥‥。
本当に「食」にすべてをかけている、
「食」のために生きている人なんです。

「胃袋」はもちろん、本当にすごいのはその「舌」。
食材の原産地の違い(!)、調理法、
組み合わせの善し悪しからコースの組み立てまで分析でき、
正確に味を記憶し、表現できるのです。
今年25歳。まさに「食べる天才」です!!

来栖さんの食事は、基本的に1人。
レストランではとても目立ってしまうらしいです。
その上大量にオーダーするため、
断られることすらある、とか。
確かに、グランメゾンに高校生のような風貌の若者が
1人でやってきて、アラカルトを
ざーっと注文していったら怪しすぎるというものでしょう。
店の人を責めるのは気の毒です。

私も2度、レストランにご一緒したことがあるのですが、
相手がいると、皿数をそろえなきゃ、ということで、
皿を次から次に平らげる、という光景は
残念ながら見られませんでした。
しかし、その食べる様子には感動しました。
まず、食べ方が実にきれいです。
鳩のように細かい骨があるものを、
すーっと切り分けて美しく平らげる。
そして、真剣です。
まさに「道」。
当たり前ですが、私みたいな凡人のように「美味しい!」
なんてことは絶対に言いません。
目を瞑って、じっくりじっくり味わい、手元のメモに
さりげなく要点を書き込んでいくのです。

そのメモがたまっていった結果がこの本です!!!
この本は、実はこの2倍の原稿量でした。
レストラン以外に、パン、洋菓子、和菓子部門まで
原稿が来ていたのですが、すべてを入れると、
600ページ超の本になってしまうので、
「お持ち帰り」篇として、別の1冊に、
ということにしていただきました。
次の刊行をお楽しみに。

ここまで読まれた方は、絶対に不思議に
思っているのではないでしょうか。
「一体、食べるお金はどうしているんだ?」
そうなのです。それが最大の謎なのです。
おそらく何千万ではきかない程の額を
使っているはずですが、
2年前に社会に出たばかりの若者に
どうしてそんなお金があるのか? 
決して御曹司でも、IT企業の社長でもありません。
親も知らないお金だ、ということです。
宝くじ、競馬、競輪、株、遺産、すべてハズレです。
「自分のお金で食べなきゃ意味がない」、
ということなので、
「パパ」に出してもらっているわけでもないのです。
いくら聞いても教えてくれません。
「自分は運がよかっただけですから」と言うのですが‥‥。
どなたか、「きっとアレだよ」ということがわかったら
教えてください。

なんだか、本の紹介でなく
著者の紹介になってしまいました。
この本は、確かにレストランのランキング本、
ガイド本ですが、「食」にこれほど異常な
愛情を持った人間が書いているということを
知っていただきたく思いました。
ちなみに、著者は今後自分のことを
「珠食家」と名乗るようです。
「珠玉」の食べ物=「珠食」を求める人、
ということです。う〜ん、すばらしいですねえ‥‥。

最後に、今さらですが本の紹介を‥‥。
フレンチ、イタリアン、和食からラーメン、かつ丼まで
ありとあらゆるジャンルの6000件以上の中から
本当に「美味しい」店と料理だけを厳選してランキング。
「ここまでおいしいものがあるのか?!」
読めば必ず食べてみたくなる。
“珠玉の味”の世界への招待状です。

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担当編集者さんへの激励や感想などは、
メールの題名に本のタイトルを入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2004-12-10-FRI

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