４回終盤、強烈な左ストレートで相手がぐらついたのを嘉陽は見逃さなかった。ロープ際に追い詰め、連打を浴びせる。レフェリーストップでＴＫＯ勝ちが決まった瞬間、地元開催の重圧から解き放たれたように喜びを爆発させた。

　「大好きな沖縄で何としても勝ちたかった」。具志堅用高会長とリングで抱き合い、誇らしげにベルトを肩に掛けた。

　４度目の防衛は心の底から喜べる内容だった。ここ２戦は負傷判定による引き分け防衛で「どっちが勝ったか分からない」（嘉陽）不完全燃焼の試合。だが、この日は１回から足を止めずに前に出た。

　序盤のＫＯ率が高い挑戦者が前半から出てくるのは想定内。「こっちにも王者のプライドがある。最初から行こうと攻めた」。巧みな位置取りで相手の右を見切ると、右フックや左ストレートを的確に当て主導権を握った。

　具志堅会長の畳み掛けるボクシングが理想と語る嘉陽だが、４回の連打に「少しは近づけたかも」とほおを緩めた。具志堅会長も「チャンスを逃さなかった。勝つんだという気持ちが１回から出ていた」と手放しでほめたたえた。

　世界再挑戦への階段を一つ上った。「来年は世界チャンピオンになって親孝行します」。日本王者が、５０００人の観客の前で高らかに宣言した。（大門雅子）