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【社説】韓米FTAはどの政権が結んだものか

 韓米自由貿易協定(FTA)は前政権で結ばれたものなのに、議場にハンマーまで持ち出すだろうか。

 与党ハンナラ党が韓米FTA批准動議を単独で上程した国会外交統一委員会の会議室周辺は18日、まるで無法地帯だった。ハンナラ党は朴振(パク・ジン)委員長が秩序維持権を発動し、国会の警備員に会議室を守らせた上で、議員らが午前6時半から会議室に入り、中から部屋への出入りを封鎖した。これに対し、野党民主党の議員や党関係者はハンマーまで持ち出してドアを壊し議場に入ろうとし、それをハンナラ党議員がソファやいすで築いたバリケードで防いだ。FTA批准動議は7時間を超える騒動の末、ハンナラ党議員10人だけで上程された。批准動議を常任委員会に上程するだけでこんな状況では、今後どんなことが起きるか明らかだ。

 民主党は韓米FTAの締結を推進し妥結した主体勢力だ。韓米FTA締結を結んだ勢力がFTA批准動議の上程を阻止するためにハンマーで会議室のドアを破壊する「暴力喜劇」を、どう見ればよいのだろうか。盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領は先ごろ、自身が韓米FTAを結んだ大統領だということを忘れたかのように、韓米FTAの再交渉は避けられないとの主張をウェブサイトに掲載した。米オバマ政権が発足する前に韓国側が先にFTA批准案を処理することが外交上利益にならないとの民主党の主張は盧武鉉式の思考の延長線上にある。そして、現在韓米FTAを批准することが利益になるのか害になるのか判断すべき要素が多く、それを判断するためには批准案をまず上程しなければならない。韓米FTAを締結した勢力が国会上程を阻もうとハンマーまで持ち出して騒ぐのは大変な矛盾だ。

 単独上程を強行したハンナラ党側の論理も説得力を欠く。ハンナラ党は韓国側がFTAを先に処理すれば、オバマ新政権に再交渉を持ち出す口実を与えず、米国に圧力を加えることができるとの論理を展開している。本当にそうだろうか。オバマ次期大統領が今年5月、ブッシュ大統領に「韓米FTA批准案を議会に出すな」と要求した最大の理由は、米自動車産業に被害を与えるからだった。米自動車業界の環境は当時より悪化し、現在は政府の支援なしで1カ月も持たない状況に陥った。オバマ政権が自動車分野の再交渉を持ち出してくる可能性はさらに高まった格好だ。こうした状況でもハンナラ党の主張は信じられるだろうか。

 

 こうした状況下で政府・与党は韓国が先行批准した場合、再交渉要求が確実になくなるのか、米政府と議会のFTA処理方針と構想がいかなるものかについて、具体的な見通しを提示すべきだ。そんな段階を省略して、ハンマーが振り回されるような険悪な小競り合いの末にFTA批准案を処理しても、米国が再交渉を持ち出してきたり、批准を先延ばししたりすれば、韓米関係は大きくこじれることになる。ハンナラ党の論理は信ぴょう性を欠き、民主党の行動は自己矛盾だ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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