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 中国、改革・解放の陰
    

 【47コラム】 中国の改革・開放30周年を祝う式典が開かれた北京で18日、当局による自宅の強制収用に抵抗したり、官僚の不正にあえぐ被害者を支援したりしてきた女性で人権派元弁護士、倪玉蘭さん(48)に懲役2年の実刑判決が下された。
 罪状は警察官に対する公務執行妨害。6年前に警察に連行された際の75日間に及ぶ拷問が原因で腰や脚の神経が切断され、自宅内の移動にも松葉づえにすがらざるえない倪さんが屈強な警官にいったいどんな「妨害」をしたというのか。独裁政権による「政治的弾圧」と断言できる。
 記者は中国特派員だった2004年から約3年半、倪さんを度々訪れ、当局による人権侵害の実情を教わった。「北京五輪は権力者の私欲を肥やしている。庶民は五輪名目で住居も奪われているのに、声を挙げることすら許されていない」。当局の強制収用によってがれきの山と化した北京の下町で、独裁体制を厳しく批判した声が今も鮮明に耳に残っている。
 倪さんは五輪直前の4月に逮捕された。弁護士らとの接見は一切認められず、判決が下された18日の初公判は事実上の非公開だった。ノーベル平和賞の有力候補だった胡佳、高智晟両氏も五輪前に拘束され、今も獄につながれている。
 胡錦濤国家主席は式典で「世界が注目する新しい偉大な成果を達成した」と、この30年を誇った。しかし、繁栄の陰には倪さんのように人権を踏みにじられている庶民が大勢いる。安倍政権後、日中関係は好転しているとされる。だが、友好が官、民を問わず独裁政権との交流や「金もうけ」に矮小化されていないか。「アジアの民主大国」(中国人権活動家)と評されもする日本。それに相応しい言動が求められている。(2008年12月19日、47NEWS編集部 松岡誠)

 【写真】実刑判決を受けた中国の元弁護士、倪玉蘭被告(共同)

 ◆人権派の元弁護士に実刑判決 中国、「弾圧」と支援者(共同通信)
 【北京18日共同】北京五輪関連の土地再開発に絡み、公務執行妨害罪で起訴された中国の人権派元弁護士、倪玉蘭被告(48)の初公判が18日、北京市の裁判所で行われ、裁判は同日中に結審、倪被告は懲役2年の実刑判決を受けた。
 倪被告は自宅の立ち退き問題だけでなく、各地で起きる強制収用に対し立ち退き被害者の権利を守る抗議活動を展開してきた。支援者は「人権弾圧」と批判を強めている。被告は判決を不服として上訴する方針。
 倪被告は4月、自宅を強制的に取り壊そうとした業者に抗議したところ「業者を殴った」として拘束された。その後の警察の調べに対し、拘束への抗議をしたことが「公務執行妨害」とされ、起訴された。自宅は11月に取り壊されたが、補償金は支払われていない。
 この日、公判前に急きょ法廷が変更されたため、裁判所に来た支援者のうち、倪被告の娘だけが傍聴できた。弁護人がいない倪被告は自ら弁護活動を展開したが、やせて疲れ切った様子だったという。(2008年12月19日)

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