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年の瀬 突然の路頭/大分キヤノンに訴え

2008年12月11日

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請負会社から渡された解雇予告の文書を示し、窮状を訴える日研総業ユニオン大分キヤノン分会の加藤分会長=県庁

 「派遣や請負を千人も切っておいて、期間工を募集するなんておかしい」。10日、国東市の大分キヤノン本社を訪れた請負会社の労組員らは、仕事と住まいを突然失う理不尽さを訴えた。大分労働局や県にも雇用維持に向けた協力を求めたが、非正規労働者の救済に有効な手だてがないのが現状だ。(野崎健太、神庭亮介)

 「申入書は受け取れません。(請負会社の)日研総業に申し入れをしてください」

 「我々は大分キヤノンに申し入れをしているんだ」

 10日午前8時過ぎ、国東市の大分キヤノン本社に日研総業ユニオン大分キヤノン分会や全日本建設運輸連帯労働組合の組合員ら7人が訪れた。申入書は、期間工としての優先雇用や、寮の提供を求めている。申入書をなかなか受け取ろうとしない社員にしびれを切らした組合員の一人が叫んだ。「年の瀬が迫って、仕事も住む所も失った人たちのことを、どう考えているんだ」

 結局、川崎隆治総務課長が受け取ったが、「回答するかどうかも含めて、対応を検討する」と述べるにとどまった。組合員からは「我々に死ねというのか」「『解雇したのは請負会社だから関係ない』なんて理屈は通らない」と批判の声が相次いだ。

 県庁で開いた会見で組合側は、年末にかけて大分キヤノンで働く約2千人が職を失う恐れがあると指摘。「ほとんどが請負会社で寮生活をしている。解雇は住まいを失うことに直結する」と訴えた。

 厚生労働省が昨年出した請負業務に関する指針では、発注者が請負契約を途中で解除する場合、賃金の一部を賠償することなどを求めている。組合側は、キヤノンが「減産を指示しただけで、解雇は請負会社が決めた」と主張していることについて、指針違反を逃れるための悪質な手法だ、と批判している。

 また、大分キヤノンは10月、大分労働局から新規に期間工を募集するなら、派遣、請負労働者を雇用するよう指導を受けた。その後、100人の期間工の求人を出したが、組合側は「請負労働者に募集の説明はなく、応募した請負労働者が不当に排除されているおそれがある」と批判している。

 キヤノン本社は申し入れについて「指針違反とは認識していないが、内容を検討したい」としている。

 県も10日、非正規労働者の雇用維持や再就職の支援策を検討する雇用対策会議を設置し、初会合を開いた。広瀬勝貞知事は冒頭で「米国発の金融危機が実体経済にも悪影響を及ぼしている。非正規労働者が解雇されないですむよう知恵を絞ってほしい」と話した。

 同会議では今後、雇用維持を支援するため、国の雇用調整助成金の利用を県内企業に勧めるほか、職業訓練などを拡充して離職者の再就職や住宅問題なども支援していくという。

 ◆連合大分が支援要請 
 連合大分は10日、雇用や経済情勢の悪化を受けて、非正規労働者の雇い止めや理由のない内定取り消しをしないよう、県経営者協会に要請した。解雇で寮を出る人たちへの住宅支援や、金融機関の貸し渋り対策なども求めた。県と大分労働局にも、雇用確保に向けた取り組みを充実するよう求めた。

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