閉経後汗が出て、頭痛、不眠、不安感もあり、婦人科で更年期と診断されてホルモン補充療法を始めました。エストロゲン剤を毎日1錠と黄体ホルモン剤2錠を月に14日間飲んでいますが、黄体ホルモン剤を飲むと頭痛や気分の落ち込みがあり、医師に半量でいいか尋ねると、急に不機嫌になって質問できない雰囲気です。疑問を持ったまま治療を続けたくはないのですが。(52歳、女性)
医師と患者は本来、治療を進めていく上でのパートナーであるべきもの。処方された薬について患者が疑問に思ったり、服用して不快な反応が見られたときには、率直に質問し、医師も分かりやすく説明するといったコミュニケーションが成り立ってこそ、信頼関係も生まれるというものです。質問されただけで不機嫌になる医師は、最近では少なくなってきたといわれるものの、更年期女性の訴えではまだ耳にすることがあるのも事実です。医師側の意識改革と併せて、患者側も上手に自分の状態を説明する技量を磨くなど、お互いに話せる関係づくりをしていきたいものです。
ホルモン補充療法では、子宮がある人の場合には子宮体がんのリスクを減らすため、黄体ホルモンを併用して生理のような出血を起こさせます。しかし、黄体ホルモンの作用で胃のむかつきやむくみ、気分の落ち込み、頭痛などの不快な反応が起こることも、この治療を始めたころにはきかれます。しかし、しばらく続けるうちにそうした反応は緩和されていく例が多いようです。
どうしても気になる場合は、薬の量を半分にするなどの方法を、医師に相談しながら試してみる女性も多くいます。最近では従来の半分の量のエストロゲンを用いる低用量のホルモン補充療法もすすめられており、その場合の黄体ホルモンの量についても話のできる詳しい医師に相談したいところです。
さて、医師とのよい関係づくりは、その人に合った適切な治療を継続していくためにも欠かせないことです。先日、テレビでエッセイストの岸本葉子さんが、虫垂がんの体験をもとに、受診するときは受診券や保険証と一緒に紙とペンを忘れずに持っていく、という話をされていました。医師の説明をメモしながら聞くようにすると、自分がどの部分が分からないか、医師も患者が分かっていない点が分かります。もう1つ、診察室に入るときは声を出して挨拶するようにすると、話がしやすくなるなど、コミュニケーションのとりやすい状況を自分から作っていく工夫も話しておられました。
受診の際には、聞きたいことをメモしておいて上手に質問する、正しく理解するために必要な点はメモする、こちらから挨拶をして話しやすい雰囲気を作るなどは、医師とのよい関係づくりの一歩として実践したいことです。
回答者:安井禮子(NPO法人「メノポーズを考える会」更年期相談対話士・ 医療・健康ジャーナリスト)☆NPO法人「メノポーズを考える会」の電話相談(03・3351・8001)火曜・木曜の午前10時半~午後4時半。
2008年12月12日