自民、公明の与党は11日、09年度税制改正で、社会保障費の自然増2200億円抑制方針の見直しの原資として検討していたたばこ税の引き上げを見送る方向で最終調整に入った。麻生太郎首相が10日に社会保障費の抑制について協力要請したことを受け、両党の税制調査会が調整を続けたが、与党内の反対意見が消えなかった。
政府は09年度予算編成の概算要求基準(シーリング)で、年金、医療、介護などの社会保障費の自然増2200億円の抑制方針について、新たな財源が確保された場合には見直せる規定を設けた。次期総選挙をにらむ与党内で2200億円抑制撤回を求める声が強まる中、歳出削減だけでは対応できないためで、具体的には、たばこ税を09年度に1本3円(1箱60円)程度引き上げて千数百億円分の財源穴埋めに充てることを検討していた。
10日には、麻生太郎首相が自民党税調の津島雄二会長らに協力を要請。税調内で調整を続けたが「減税が目白押しの中、喫煙者だけに大きな負担を押し付けるのは理屈が立たない」(幹部)などと反対論が消えず、12日にまとめる与党税制改正大綱に09年度のたばこ税増税を盛り込まない方向に傾いている。
たばこ税増税が見送りとなれば、政府の社会保障費の2200億円抑制目標の達成は一段と困難になる。また、麻生首相自らが税調に協力を要請しながら、たばこ税増税が実現しなかったことで、支持率が低迷する首相の求心力が一段と低下する可能性がある。【赤間清広】
毎日新聞 2008年12月11日 13時04分(最終更新 12月11日 14時53分)
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