内閣支持率急落/政治をどう立て直すのかだ
麻生太郎政権の行く手がいよいよ険しくなってきた。
共同通信社が6、7の両日行った全国電話世論調査で、麻生内閣の支持率が「危険水域」の25.5%にまで落ち込んだ。
次期衆院選比例代表の投票先や望ましい政権枠組みでも自民党は民主党を下回り、頼みの綱の党首人気でも麻生氏が小沢一郎民主党代表に逆転を許した。
発足2カ月余にして政権末期を思わせる数字ばかりである。
不評の経済政策を繰り出してきた「経済通」の底の浅さと言葉の軽さ。「おれさま(内閣)」を独り歩きさせてしまった自民、公明両党の責任。
世論が今回の支持率数字にこめた不満と批判は、どうやら一過性のものではなさそうだ。
麻生内閣の支持率は発足直後(48.6%)のほぼ半分だ。内閣を支持した2人に1人が早々と麻生離れしたことになる。
これは麻生首相が政局の主導権を失いつつあるというより、自らの政権を掌握する力さえなくなっていることを意味する。
言い換えれば、首相の権力の源である衆院を解散する力がほぼなくなったに等しい。
麻生首相は、成立済みの第1次補正予算、年明けの通常国会に出す第2次補正予算案と来年度本予算案の「三段ロケット」を低迷する景気に打ち込んだ上で、4月以降に解散の時期を測る作戦を描いていたとされる。
しかし、よほどの政治的異変が起きて内閣支持率が反転しない限り、このシナリオが日の目を見ることはないというのが既に与党内の支配的な空気だ。
まして、解散好機が訪れなければ衆院任期が満了する来年9月まで政権を持続させるとの見立ても、麻生政権の急激な体力低下を前に消えかかっている。
麻生政権は今の延長臨時国会を乗り切っても、正念場は来月5日にも召集の通常国会だ。衆参両院の「ねじれ」が極まり、1、2月の予算委員会審議が混乱すれば、政権は行き詰まる。
このとき政権に正面突破の余力が残っていなければ、首相は退陣、改造あるいは野党に追い込まれての解散のいずれを選択することになるのだろうか。
どんなケースが予想されるにせよ、政権を支える自民党にどれほどの再生力があるかが大きな鍵となるのは間違いない。
迷走を続けてきた政局は、もはやここまで煮詰まっている。
誰もが今、「攻める側」の民主党に目を向けるのは当然だ。
これまで大事なときに詰めの甘さに足を取られがちだった同党に問われるのは今の“胸突き八丁”を登り切り、間近な政権への道を目指せるかどうかだ。
小沢氏は都内の私邸での元日恒例の新年会をやめ臨戦態勢をアピールする。
その決意はいい。しかし、同党の政権取り戦略が「自公政権よりはましかもしれない」という“よりまし世論”に寄りかかろうとするなら心もとない。
目指す国の形や政策システム、政権の政治路線は? 政策的な対立軸というより、政権交代で国民生活をどう変えるのかといった「転換軸」を鮮明に示すことこそ求められている。