長崎県大村市教育委員会が今年8月、市立西大村中学校(川端利長校長)で、閉め切った会議室に生徒37人を集め、どれほどの暑さまで耐えて授業が受けられるか調査をしていたことがわかった。室温は36度に達していた。校舎の耐震化工事で窓を開けられず、教室へのクーラー設置を要望していた同校の実態を調べる狙いがあった、と市教委は説明する。だが、暑さのために気分が悪くなった生徒もおり、保護者の間から疑問の声が出ている。
10日の市議会一般質問で村崎浩史議員が指摘。市側が事実関係を認め、謝罪した。
市教委などによると調査は8月8日午後1時50分ごろ、部活動で登校中の生徒を集めて実施した。授業1コマ分50分間の予定で、室内に扇風機5台を置き、市教委の担当者が室温を2回測定した。不調を訴える生徒も出て、30分ほどで打ち切ったという。
関係者によると、同席した川端校長は調査の冒頭に、「我慢するな。きつかったら会議室から出なさい」と生徒に伝えた。1人が「息苦しい」と訴えたため、校長が打ち切ろうとしたが、室内にいた市教委の担当者は「もう少し時間をください」と校長に続けるよう求めたという。
耐震化工事は7月に始まり、同校の要望は騒音や粉じん防止のためだった。調査後、市教委が「暑い」と判断。8月下旬〜10月上旬のクーラーレンタル使用料として約900万円を予算化し、22の部屋に設置した。
議会では、松本崇・大村市長が「市教委は財政を心配してクーラーより扇風機を使った方がよいと考えたのだろうが、不適切な結果となり、申し訳なかった」と謝罪した。
川端校長は「クーラーを設置する予算を確保するには裏付けのデータが必要と思い、やむを得なかった。安全には配慮したつもり」と話した。
(加藤勝利)