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1000人離散、凍る町 大分キヤノン、突然の人員整理(2/2ページ)

2008年12月9日2時27分

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写真従業員が増えるのを当て込んで建設中のマンション。関係者からは「入居者が確保できるかどうか」という声も漏れる=大分県国東市

図大分県と全国、九州・沖縄の有効求人倍率の推移

 国東市などでマンション3千戸以上を管理する不動産会社では、入居者の半分以上がキヤノン関係者だ。大阪や関東に住むマンションのオーナーから電話が殺到する。ローンがあるのに、家賃収入が激減しかねないからだ。

 この不動産会社も一度に退去者が出れば維持管理費や仲介手数料が入らず、数千万円の損失が出る可能性があると戦々恐々だ。

■税収急減の危機

 「企業は非正規労働者を『雇用の調整弁』として解雇する動きを急速に強めている。社会的弱者の雇用の下支えが必要だ」。8日の大分県議会は、雇用を打ち切られた人への再就職支援などを国に求める意見書を全会一致で可決した。

 広瀬勝貞知事も「経済状況は厳しく、予断を許さない」と話し、再就職支援の拡充を図る考えを示した。

 キヤノンやダイハツ工業など大企業の工場が進出し、有効求人倍率が1倍前後で推移していた大分県。03年度以降、県内に進出した企業と工場増設を表明した企業は計122社で、新たに創出された雇用は約1万2千人と試算される。

 そんな大分で、大分キヤノンが大量の非正社員削減に踏み切る「キヤノンショック」の影響が広がる。

 大分労働局によると、県内のハローワークに来る求職者数は4〜8月は前年同月を下回っていたが、9月になって前年比1・6%増、10月は7・4%増と増加に転じた。大分キヤノンの人員削減で年末から年明けにかけてさらに増える可能性もある。

 工場がある大分市は大量の人員削減による住民税の落ち込みを心配する。市の財政担当者は「周辺の店などの売り上げが落ちると、法人市民税や事業所税まで減るおそれがある。企業努力で何とかならなかったのか」と嘆く。

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