東金女児遺棄:逮捕の瞬間「うん」 女性つけ回しも

勝木諒容疑者=千葉県東金市東上宿で2008年9月26日、駒木智一撮影
勝木諒容疑者=千葉県東金市東上宿で2008年9月26日、駒木智一撮影

 千葉県東金市で起きた成田幸満(ゆきまろ)ちゃん(当時5歳)の死体遺棄事件は発生から約2カ月半で、現場近くのマンションに住む男が逮捕された。無職の勝木諒容疑者(21)は事件前日、3年間勤めた会社を辞め、事件後に若い女性をつけ回す不審な行動もとっていた。事件は全容解明に向けて急展開したが、遺族は「生きた幸満を返して」と語り、悲しみが癒やされることはない。

 捜査本部によると、勝木容疑者は、逮捕の瞬間「うん」とうなずいた。その後の調べで、遺棄を認め「(幸満ちゃんが)ぐったりしていて怖かった」と説明した。また、勝木容疑者の部屋には、女児向けアニメのポスターが壁に張られ、本棚にも「プリキュア」シリーズなどの少女漫画が並んでおり、部屋一面が漫画に囲まれた状態だった。

 勝木容疑者が「仕事がいやになった、もう行かない」と3年間勤めた会社を辞めたのは事件前日の9月20日。事件後には、報道各社の取材に何度も応じる一方、女性記者や同じマンションに住む若い女性をつけ回す不審な行動もあった。

 勝木容疑者は、母親と2人暮らし。母親は自宅近くの飲食店に勤めており、息子のために店の残り物をよく持ち帰っていたという。女性従業員は「(勝木容疑者が)店の前で母親を待っている姿をよく見た。母親は息子を溺愛(できあい)していた」と話した。

 勝木容疑者は、地元養護学校高等部を卒業後の05年4月から、学校の紹介で隣の市の寝具会社に就職した。志望動機には「会社のためにいっしょうけんめいがんばりますので、よろしくお願いします」と書かれていた。

 平日の午前8時~午後5時半、主に布団の綿の打ち直し(修理)作業に従事していたが、勤務態度はまじめとはいえず、従業員から「会社は仕事をする場所、仕事をしなさい」としかられると、ふてくされたような態度をとったという。

 8月、同僚女性(51)に「仕事がつらい」と話し、28日から無断欠勤するようになった。会社側が携帯電話に連絡してもつながらず、自宅を訪れても会えなかった。話し合いの末、母親が「本人が行きたくないと言っている。やめさせます」と伝えてきた。会社側は「理由はわからない」と説明している。

 この同僚女性は先月10日ごろ、勝木容疑者から、「みんなに会いたいからご飯に行く時は誘って」とのメールを受け取った。数日後、東金駅前の飲食店で5人で会ったが、変わった様子はなかったという。女性は「逮捕は信じられない。事実ならば、裏切られた思いだ」と語った。養護学校の担任は「明るく元気だった。ショックで何も話すことはできない」と話した。

 一方、同じマンション3階に住む女性によると、9月下旬、20代の娘がエレベーターから自室前まで勝木容疑者に後をつけられた。数分後、インターホン越しに「娘さんに用がある」と言ってきたため用向きを尋ねると切ったという。

 直接取材していた毎日新聞の女性記者が、現場近くで取材をしていると、出会った勝木容疑者が後をつけてくることもあり、10月上旬には1日10回以上、無言電話などをかけてきた。

毎日新聞 2008年12月7日 2時30分(最終更新 12月7日 2時48分)

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