外国人労働者が多い浜松市で12年の歴史を持つブラジル人学校「エスコーラ・プロフ・ベネジット」が、12月末で閉鎖する。急速な景気悪化で、工場の派遣労働者などとして働く保護者の多くが職を失い、経営難に陥った。【平林由梨】
4日現在、同校には4歳から15歳の児童・生徒30人が通う。ほとんどのブラジル人学校と同じく無認可で、国や自治体からの公的支援は受けておらず、生徒1人あたり約2万6000円の月謝で運営している。
解雇される保護者が増えた9月ごろから月謝の滞納が多くなり、10月は深刻な赤字になった。10月下旬、保護者に来年の予定を聞いたところ、半数の15人がブラジルに帰国予定か、学費が安い公立学校への転入を考えていることが分かった。
ベネジット・ビレラ・ガルシア校長(55)は「来年はもっと悪くなると予想できた。(ブラジルの)学年末を迎える12月末で学校を閉めるのが子供たちに一番迷惑がかからない」と閉鎖を決断した。
ガルシア校長は96年、浜松市の自宅アパートで学校を始めた。ピークの02年には約180人の児童・生徒を抱えた。06年には、現在地に5階建てビルを買って移転した。
「子供たちに『なぜやめるの』と聞かれると、悲しくなる」。肩を落とす校長自身も来年1月、ビルを売って家族とブラジルへ帰国するという。
毎日新聞 2008年12月5日 2時30分(最終更新 12月5日 2時30分)