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【社会】

旧海軍、ハンセン病の39人砲撃 ナウルで患者虐殺の実態判明

2008年12月6日 17時22分

 太平洋戦争中に日本が占領した南太平洋の環礁ナウルで1943年7月、旧日本海軍の警備隊が現地のハンセン病患者39人をボートで海上に連れ出し、砲撃や銃撃を加え虐殺していた事件の詳細な実態が6日、オーストラリア国立公文書館に所蔵されているBC級戦犯法廷の裁判記録などから明らかになった。

 ナウルでハンセン病患者が旧軍に殺害された事実は、地元住民や戦後ナウルを統治した関係者の証言で断片的に指摘されていたが、それを具体的に裏付ける公文書の発見は初めてとみられる。虐殺に関与し終身刑を言い渡された元海軍兵の法廷証言録も含まれており、患者への偏見と民間人の殺害という二重の加害を浮き彫りにしている。

 関東学院大の林博史教授(現代史)が同公文書館やオーストラリア戦争記念館で先月発見した。

 判決言い渡しのために48年11月29日から12月3日に香港で開かれた裁判の判決記録や被告の証言録によると、ナウルに駐屯した海軍第67警備隊の副長=別件で死刑=は43年7月9日ごろ、米軍の空襲で隔離中の患者が逃亡するのを恐れ、部下の兵曹長に殺害を命令。兵曹長は別の島に新設された収容所に移送すると偽り患者39人をボートに乗せ、兵士4人と軍属の船員8人が乗り組んだ海軍船が患者のボートを海上に誘導。砲撃でボートを沈没させ、水死を逃れた患者は射殺した。(共同)

 

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