【東京】高校歴史教科書の「集団自決」(強制集団死)の記述修正に向け、執筆者が求めてきたことしの再訂正申請をほとんどの教科書会社が行わない見通しとなった。「集団自決」における軍の責任を、より明確化した記述修正は今回、困難な状況になった。執筆者や編集者らで構成する社会科教科書懇談会は近く会合を開き、訂正申請ができない場合にも文部科学省に対し、声明を出すことを含め今後の対応について協議する。
執筆者らは昨年、教科書検定意見が付された歴史教科書の「集団自決」の記述で、「軍の強制」を示す文言が削除されていることを問題視。文言を復活させることを目的に再訂正申請を行う方針を決定、検討を進めてきた。ところが「教科書検定意見撤回を求める県民大会」直後の2007年10月1日、当時の渡海紀三朗文科相が訂正申請に応じる考えを表明したのを受けて各社が申請した状況と、今回は異なっていることから、教科書会社は当初から拒絶の姿勢だった。
検定意見を付された教科書会社5社のうち、2社は11月までに執筆者や編集者間で再訂正申請を行う方針を固め、教科書会社と協議してきた。1社は4日現在も結論を出していないが、もう1社は再三の協議で会社が再訂正申請に難色を示し続けたため、行わない方向だ。
ほかの3社に関しては4日現在、執筆者や編集者らの間でも再訂正申請を行う方針を確認できておらず、教科書の印刷に間に合う12月中旬までの再訂正申請は事実上、不可能だ。社会科教科書懇談会では最後まで、再訂正申請できるよう調整を進めてきたが、当初の目標としていた全社による再訂正申請は先送りせざるを得ない状況だ。(宮城久緒)
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