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ええ絵あるのに美術館造る金ないねん 大阪市25年越し(1/2ページ)

2008年11月26日7時44分

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写真佐伯祐三「郵便配達夫」1928年=大阪市立近代美術館建設準備室蔵

写真アメデオ・モディリアーニ「髪をほどいた横たわる裸婦」1917年=大阪市立近代美術館建設準備室蔵

地図

 大阪市立近代美術館が構想から25年たった今も宙に浮いている。収蔵品約4200点の大半は倉庫に眠り、国から買収した中之島の建設予定地は更地のまま。11年度末までに完成しなければ国に違約金48億円を支払わなければならない。幾度も頓挫してきた計画をどうするのか。財政難の市が判断を迫られている。

 構想は1983年、大阪市生まれの洋画家・佐伯祐三の作品など574点が市に寄贈されたことをきっかけに、持ち上がった。89年の基本構想では、北区中之島4丁目の大阪大医学部の跡地1万6千平方メートルに建設し、96年の完成をめざした。

 基本計画にこぎ着けたのは98年。地上8階・地下1階建て建設費280億円を見込んだが、財政難などで計画は中断。昨秋に「市役所を近代美術館に」と訴えた平松邦夫市長が当選したが、その後、「夢だった」と撤回した。

 市は国から土地を買い取る際に条件付きの特命随意契約を締結。(1)施設の建設完了は12年3月まで(2)完成後は17年まで美術館として利用(3)土地を売買してはならない――など。違反すれば、最大で購入価格(約160億円)の3割にあたる約48億円の違約金を支払う約束だ。

 市は有料で建設予定地を貸し出しており、来年7〜9月にはカナダのサーカス団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の公演がある。ただ、こうした措置は一時しのぎに過ぎない。「期限が来たら違約金を払うというのが一番悲惨」と市幹部。現在、国に期限延長を申し入れることも検討中だ。

 財政難で遅々として進まない美術館建設の一方、収蔵品への専門家の評価は高い。

 寄贈されたのは佐伯祐三の「郵便配達夫」など約3200点。モディリアーニの「髪をほどいた横たわる裸婦」(19億3千万円)、ダリの「幽霊と幻影」(6億7800万円)など約1千点は、約153億円かけて購入した。

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