大相撲春場所（大阪府立体育会館）１２日目。横綱・朝青龍は大関・魁皇の巨体を力で寄り切り、今日も着々と星を伸ばした。

　「上手を取らせまいとする様子から、慎重に戦っているなあ、という印象がありました。警戒しつつ双（もろ）差しを狙い、万全の相撲に持ち込もうとしていました」

　と、ノンフィクションライターの武田頼政氏は語る。土俵上での勝ちにこだわる朝青龍の姿勢に、八百長を訝（いぶか）る隙はなかったようだ。

　終盤に入った今場所の優勝争いは、１敗で単独トップの大関・白鵬を、朝青龍と前頭・栃煌山が追う展開で昨日から変わらない。

　「白鵬も横綱との直接対決までは負けられないですしね。あと、八百長報道の次の場所ってのは、必ずそれなりの波乱があるというジンクスがあるので、（新入幕ながら善戦している）栃煌山にも何がしかのものを期待したいですね」

　前半戦で単独トップになり、優勝も期待された大関・栃東は、本日から高血圧や頭痛を理由に休場することになった。

　「力士として体を大きくする過程で、無理をした結果の休場だと思いますが……。今場所は、八百長の嫌疑を晴らすことと、カド番を脱出すること、この２つの課題をこなしてからの休場となると、疑うわけではないのですが、連勝後の２連敗についても考えてしまいます。その後の前頭・春日王に勝ち、横綱にも善戦していたので」

　残りあと３日。波乱は起こるだろうか。武田氏は明日、朝青龍と戦う大関・琴欧州に期待を寄せる。

　「やはり、後半戦になると緊張感が感じられなくなる。『調整が始まっているのかなあ』と、どうしても思ってしまいますね。琴欧州は勝ち越しもかかっているので、栃東戦で見せたような勢いを発揮して勝ってほしい。ガチンコならば勝機はあります」


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