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新チャンピオン坂田健史、喜びの一夜明け会見＝ボクシング
「いつでも誰の挑戦でも受ける」

2007年03月20日

坂田（中央）は“笑顔Ｔシャツ”そのままの爽やかな笑顔で金平会長（右）、大竹トレーナーとがっちり手を握り合った【スポーツナビ】

　１９日に東京・後楽園ホールで行われたＷＢＡ（世界ボクシング協会）フライ級タイトルマッチでロレンソ・パーラ（ベネズエラ）を破り、新チャンピオンになった坂田健史（協栄）が、初戴冠の興奮冷めやらぬ２０日、都内の協栄ジムで記者会見を開いた。坂田は「夢にまで見たチャンピオンになれて本当にうれしいです。できるだけ長く防衛を重ねていきたい」と一夜明けた喜びと今後の抱負を語った。

最高の笑顔

いつもは厳しい表情の坂田だが今日は終始笑顔だった【スポーツナビ】

　この日、坂田は協栄ジムの金平桂一郎会長と大竹重幸トレーナーとともに喜びの気持ちを伝えた。坂田は大竹トレーナーとそろいの「笑顔」とプリントされたＴシャツを着て登場し、プリント通りの満面の笑顔を見せた。いつもは思いつめたような真剣な表情をすることが多い坂田だが、この日ばかりは笑顔が絶えなかった。「人生最高の夜だった」と振り返る。試合後、祝勝会に行き、普段はあまり飲まない酒を飲み、その後も友人たちと会い、寝たのは５時だという。電話やメールでもひっきりなしに祝福の言葉が寄せられた。坂田は「朝起きても普段通りで自分がチャンピオンになったのがまだ信じられなかった」と照れた。新しいチャンピオンベルトはまだ手元に届いていない。金平会長は「なるべく早く届くようにＷＢＡに言いましょう」と笑いながら語った。
　大竹トレーナーは試合を振り返り、「練習はうそをつかない。坂田は一つ一つ作ってきたことを出してくれた。リングに上がるときには集中心、過去にない闘志を感じました」と、まな弟子の成長を喜んだ。

地元広島で防衛戦ができたらいいな

世界チャンピオンに名を連ねた！【スポーツナビ】

　坂田は名門・協栄ジムで１１人目の世界チャンピオンとなった。ジム内のネームプレートを掛ける壁のボードには、早くも現役の「世界チャンピオン」の列に「坂田健史」の名札が掛けられていた。その１段上の「歴代世界チャンピオン」の列には具志堅用高や渡嘉敷勝男、勇利・アルバチャコフら、そうそうたる面々が名を連ねている。坂田は「協栄ジムの歴代チャンピオンのようになりたいですね」と、うれしそうに語った。広島からプロボクサーになるため上京し、１９９８年１２月にプロデビュー。それから８年３カ月、第３５戦目にしてようやくつかんだ世界王座だ。過去３度の世界挑戦失敗からはい上がった“雑草王者”でもある。
「防衛を重ねて、これからもっと広島の人に知られるようなチャンピオンになりたい。いつか地元の広島でも防衛戦ができたらいい」
　チャンピオンベルトを持って海外に打って出るより、生まれ故郷での試合を夢見るところは坂田らしかった。

先代の墓前に報告します

先代への恩返しができたという坂田【スポーツナビ】

　金平会長は「坂田はパーラと過去２４ラウンド戦って、昨日の試合で２６ラウンド目で勝負をつけたんです。パーラは過去２度坂田と対戦しているから『坂田のアップテンポについていけない』と思って昨日ギブアップしたのでしょう」と、これまでの坂田の積み重ねと健闘をたたえた。１９９９年３月２６日に亡くなった協栄ジム先代会長の正紀氏の跡を継ぎ、同年４月に会長に就任した桂一郎氏にとって、坂田は、元ＷＢＡ世界スーパーバンタム級王者佐藤修、前ＷＢＡ世界ライトフライ級王者亀田興毅に次いで３人目の世界チャンピオンとなった。「先代の８人には遠くおよびませんが、ボクも３人目の世界チャンピオンを作ることができた」と満足そうだ。正紀氏が生前、最後にセコンドについたのが坂田のデビュー２戦目だった。坂田は正紀氏の“最後の弟子”とも呼ばれた。もうすぐ正紀氏の命日がやってくる。桂一郎会長と坂田は一緒に「世界チャンピオンになりました」と先代の墓前に報告するつもりだ。

初防衛戦の相手は!?

防衛戦の相手は誰になるのか!?【スポーツナビ】

　報道陣の質問は次の防衛戦のことに集中する。金平会長は暫定王者のロベルト・バスケス（パナマ）から２週間ほど前に「パーラとのタイトルマッチでは坂田が勝つと信じている。そうなったら昨年１２月に続いて再戦をしたい」という旨のメールを受け取っていたことを明かした。確かにバスケスとの再戦の可能性はあるが、金平会長は「まだ何も決まっていません。ＷＢＡの指示を待ちたい」と慎重な姿勢を示した。また、フライ級に戻した亀田興毅との同門対決は「ありません」ときっぱり否定している。防衛戦の時期も今年の夏ごろになるかという見通ししかまだたっていない。それでも坂田は「いつでも誰の挑戦でも受けるのがチャンピオンだと思いますので誰とでもやります」と頼もしい。坂田には早くも世界チャンピオンとしての責任感と、風格すらも漂い始めていた。

■ＷＢＡ世界フライ級タイトルマッチ１２Ｒ
３月１９日（月）　東京・後楽園ホール

［前王者］●ロレンソ・パーラ（べネズエラ）
（３Ｒ　０分１４秒　パーラの棄権によるＴＫＯ）
［挑戦者］○坂田健史（協栄）
※坂田健史が新チャンピオンに

【関連記事】
・坂田健史がＷＢＡ世界フライ級新王者に＝詳細 (07.03.19)

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