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文化

ロシア人力士の大麻検査と解雇処分には問題が多すぎる

白坂和彦2008/09/14
ロシア人力士2人が大麻疑惑で解雇されたが、根拠となった相撲協会ドーピング委員会の検査自体に余りにも問題が多い。日本では最も充実した大麻情報を発信している「カナビス(大麻)・スタディハウス」のダウさんの見解をお伝えしたい。
日本 スポーツ NA_テーマ2

 ロシア人力士2人が日本相撲協会によるドーピング検査で、大麻の陽性反応が出て解雇された問題で、日本では最も充実した大麻情報を発信しているカナビス・スタディハウスのダウさんに見解を寄せて頂いた。ご了解を得たのでJANJAN読者諸賢にもお示しし、ご一考を頂きたい。

 文中、「カナビス」とあるのは「大麻」のことです。この記事に万一法的な問題が生じた場合、その責任はすべて筆者(白坂)が負います。

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 ●ロシア人力士の尿検査問題について
 力士の結果や処分の仕方、相撲界への影響などについては、私には特に意見を言うほどの知識も動機もありませんが、今回の検査の方法については、少し疑問に思うところもあります。もっとも、いくつかのニュースをウェブで読んだだけなので、あくまでも疑問と感想というレベルのコメントです。

 今回の問題はスポーツのドーピングではなく、職場のドラッグテストの問題です。この2つは、目的が全く違うばかりではなく、その手法も全く違います。ドーピングではステロイドなどが大きな問題ですが、職場ではそれがすぐに問題になることはありません。逆に、カナビスの場合は職場では大問題になりますが、スポーツの能力向上という面ではまず問題になりません。実際、イギリスのスポーツ大臣は、ロンドン・オリンピックでは「カナビス容認を」と発言していたことさえあります。
 ★イギリス・スポーツ大臣 ロンドン・オリンピックではカナビス容認を
 UKCIA news database:UK. Allow athletes to use cannabis, says sports minister
Evening Standard, London  Monday 11 Dec 2006


 ●ガイドライン満たしていない尿採取
 アメリカでは、職場のドラッグテストについては年間5,500万回行われていると言われており、連邦政府が強制的な実施ガイドラインを設けています。
 The White House Department of Health & Human Services
Substance Abuse and Mental Health Services Administration
Mandatory Guidelines for Federal Workplace Drug Testing Programs


 そのガイドラインでは、検査を実施する場所や担当する係員、実施方法などについて詳細に定めています。例えば、トイレではブルーに染めた水*以外は使えないようにすることとか、尿の採取場ではプライバシーが守られなければならないとか、コレクターは特別の訓練を受けて認定されていなければならないとか、コレクター以外は採取場にアクセスできないとか…
(*筆者注:トイレの水をブルーに染めるのは、クライアントが採取した尿に水を入れて濃度をごまかせないようにするためのようです。)

 こうした点では、今回の相撲施設での尿採取は、ガイドラインは全然満たしていません。そこまで厳格にする必要があるかと言えば、こうしなければ従業員の権利は守れないし、絶対に不正が行われていないと主張することはできません。ガイドラインに沿っていないことで雇用側は裁判で負ける可能性も出てくるわけです。

 世界反ドーピング機関から国内で唯一公認されている機関の鑑定結果という明確な証拠があるという意見もあるようですが、これは最終的な精密検査を行った施設の分析能力の信頼性を言っているだけで、そもそも採取現場がいい加減であれば成り立つ議論ではありません。

 ●「吸った」とは断定できない
 ニュースには全然報じられていませんが、普通、尿検査で検査しているのはTHC(テトラヒドロカンナビノール 、大麻の実効成分)そのものではなく、その代謝物のTHC−COOHの存在を調べていることも知っておかねばなりません。

 THCは普通数時間でTHC−COOHなどに代謝されてしまいます。しかしTHC−COOHの残存期間は長く、オケイジョナル・ユーザー(非常習者)で数日、ヘビーユーザー(常用者)では数週間も体内に残ります。このため、アメリカでは簡易検査で疑陽性も含めて陽性になったすべてのケースで確認のためにガスクロマト(GCMS)などの精密検査が必要とされており、再検査を本人が望むかどうかを前提とするドーピングとは違います。

 相撲協会のドーピング専門委員、大西教授は2日の会見で、「かなり近い日数の中で吸引していたことは否定できない。だいたい2、3日以内です」と説明したと報道されていますが、推論でしかありません。実際、食べた場合でも陽性になるので、吸ったとは断定できませんし、ヘビー・ユーザーの場合はかなり日数を過ぎても閾値を相当上回る可能性もあります。

 当人たちはその場で使ったことを否定していますが、教授は同じ検査を繰り返しています。こうした場合は、プロならば、不十分な施設であることを考慮して、状況をさらに確実にするためには同じ検査を繰り返すのではなく、血液検査をするのではないでしょうか。

 血液検査は、尿検査のような誤魔化しがやりにくく、代謝物だけではなくTHCそのものも検出できるからです。また、喫煙した場合にはあまり出てきませんが、食べた場合に代謝されて出てくる11ハイドロキシーTHCの存在も確認できます。もしTHCも11ハイドロキシーTHCも検出されなければ、少なくとも1日間は吸っても食べてもいないことになります。

 ●5倍、実は1.5倍?
 今回の報道で非常に恣意的だと思われるのは、それぞれの力士から基準値の5倍と10倍の数値が出たという最終結果を、さも大西教授が最初から予想していたような印象を与える書き方をしている点です。

 基準値とは、正確には閾値のことで、閾値以上を陽性と定義しているわけです。当然、閾値は検査方法の精度によって変わりますし、無闇に閾値を上げすぎるとノイズが大きくなって信頼性が損なわれます。実際の閾値は、普通、簡易検査の免疫測定法(EMIT)ではサンプル1mg当たり50ng(ナノグラム)で、精密検査のガスクロマトでは15ngに設定されています。

 つまり、精密検査で閾値の5倍ということは、75ngだったということになりますが、この値は簡易検査の閾値からすれば1.5倍でしかありません。大西教授が1.5倍の陽性反応を見ただけで吸引したと断言したとすれば、相当強引だったのではないか? だから、後から行われた精密検査の5倍をことさら強調して、「基準値を大きく超える」と言っているような印象も受けます。

 ●排除できない謀略疑問
 大西教授は、採尿カップに細工をして気づかれないようにカナビスを仕込んだり、採尿後のサンプルに入れるのは無理だといっているようですが、これも憶測に過ぎません。現実に、アメリカでは、採尿サンプルに異物を混入して誤魔化そうとする行為は珍しくもありません。

 また、カナビスの場合は、THCが30%以上のバッズをアイソレータやブタンガス抽出すれば実にほんの僅かでも効果がありますし、最近では、THCが99%以上の植物から成分を抽出してドライパウダー化したものすら製造されています。認定されていない人が現場にアクセスできるとすれば、謀略的にこうしたものを混ぜた可能性も全くは否定できません。

 長期ヘビー・ユーザーの場合は、感度のよい血液検査ではカナビス摂取後24時間以上にわたってTHCの残存が確認されることもありますが、ほとんどの場合は数時間過ぎれば感知されないレベルまでTHCは代謝されてしまいます。従って、もし尿からTHCそのものが検出されて、血液からは検出されなければ、これは確実に後から混入されたと断言できるわけです。今回は不十分な施設だったこともあり、血液検査をしていないためにこうした謀略疑問は排除できません。

 ●「食べた場合」はどうか
 本人たちは「絶対に吸っていない」と言っていますが、たとえ検査で陽性であっても、必ずしも嘘はついていない可能性もあり得ます。今回は、大西教授も含めて、どの報道もカナビスは喫煙以外には摂取できないことを前提にして、副流煙がどうのこうのと書き立てていますが、もっと単純で可能性が大きいのは、食べた場合です。当然、食べても検査で陽性になります。(この場合は、血液検査をやっていれば11ハイドロキシーTHCが検出される可能性もある)

 特に食べた場合には、喫煙とは違い、本人の意志とは無関係に誰かが黙って食べさせたという可能性もあり、本人は摂取したことを意識していないことも考えられます。例えば、医療用チョコレートなどでは痛みの緩和や入眠などを目的にしているので、ハイになることを目的とした嗜好用よりもTHC濃度は一般に低く設定されています。慣れた人でも効き目を自覚できない場合すらあります。間違って食べてしまっていたということもありえます。

 また、酒に酔っている状態では、たまたま置いてあったカナビス・クッキーを無意識に食べてしまったということも考えられます。あえて謀略的な推論をすれば、美女が、一緒に酒を飲みながら途中でカナビス入りの何かを食べさせてセックスにでも誘えば、若者ならばカナビスなどやっているとは思いもせずに、まんまと謀略に引っかかるのではないでしょうか。

●今後懸念される問題点
 1.今回は、簡易キットのテストを強要して、陽性を理由に仕事を解雇されたわけです。これが当たり前になると、きちんとした検査体制のない会社でも、ホームキットで従業員のドラッグテストを強要して、簡単に解雇することができるようになってしまう恐れが出てきます。

 2.ドラッグテストでは、医薬品として正式に認証されているマリノールでも陽性になります。当然、サティベックスや、今後開発されるカナビノイド製剤はすべて陽性になる可能性があります。陽性で解雇が当たり前になってしまうと、正式に認可されている医療を受ける権利も脅かされることになります。

 3.当然、同じことは医療カナビスについても言えますが、現状では、カナダの大学の教授が構内での医療カナビスの喫煙が認められている例から、就業時間以外で医療カナビスを使っても解雇されるといった例まであって、まだ、混乱状態にあります。

 4.陽性即解雇という方程式が当たり前になると、競争相手を蹴落とすために、上のように秘密裏にカナビスを食べさせるという謀略も出てくるのではないでしょうか。

ダウ
2008.9.10


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 今回の尿検査では、大麻の陽性反応が出たとされる2名のロシア人力士が、故意に大麻を吸引したかどうかについては証明できない。スポーツ・ドーピングの結果として大麻の陽性反応が出たのであれば、競技への出場停止や罰金が妥当な処分ではないだろうか。

 日本相撲協会は、若ノ鵬の大麻所持問題もあり、またマスコミのバカ騒ぎに煽られて、必要以上に厳しい解雇という処分に追い込まれてしまったように思われる。

参考:カナビス・ドラッグテストのAからZまで
◇ ◇ ◇

ご意見板

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[37135] ジャーナリズムの不在
名前:白坂和彦
日時:2008/09/16 00:46
田中さま、コメントありがとうございます。
>この解雇が有効になることは、我々の身にふりかかってくるであろう災難であるとあらためておもいます。
 
全くですね。知らないうちに規制薬物の入ったクッキーでも食べさせられて、抜き打ちの尿検査で陽性になると、身に覚えがなくても警察に通報されたうえに解雇。そのような悪しき前例が作られることに強い危惧を覚えます。
 
>検体採取の妥当性についてどうして疑問が生じないのかが不思議です。
 
同感です。マスコミの劣化は酷いものですね。大西教授が、副流煙ではなく自分で吸ったのに間違いない、と発言したことを検証しようともしていません。実に単純な誤りなのに。相撲界に課題があるのは現実なのだろうと思いますが、大手のメディアには、とにかく相撲協会を叩けばいいといった安易な姿勢しか感じられませんでした。
 
今回の尿検査の問題点については、このような問題に詳しい方から寄稿して頂いた記事を続報として掲載したのでご参照下さい。掲載は昨日の朝ですが、加筆してさらに詳しく書かれています。
 
相撲協会の尿検査に新たな問題点が発覚
[返信する]
[37134] 政界にも
名前:忍野タカユキ
日時:2008/09/16 00:35
総選挙も近そうです。
大麻を使用している有能な人材を集めて『日本大麻党』を結党し、国政に挑みましょう。
ぐだぐだ愚痴るより実行あるのみ!
[返信する]
[37126] 日本語の使い方間違えました
名前:忍野タカユキ
日時:2008/09/15 21:11
解雇条件はその企業・団体の思惑があるでしょう。
容疑だけでの大麻使用による解雇に不満な人は、大麻使用を不問とする会社を経営すればよいのでは。
社是は「大麻に関して、使用はしても証拠を残すな」「容疑だけなら解雇無し」。
大麻を使用している有能な人材が集まるでしょう。
[返信する]
[37117] ビジネスチャンス・・・か?
名前:忍野タカユキ
日時:2008/09/15 15:52
解雇条件はその企業・団体の思惑があるでしょう。
容疑だけでの大麻使用による解雇に不満な人は、大麻使用を不問としない会社を経営すればよいのでは。
社是は「大麻に関して、使用はしても証拠を残すな」「容疑だけなら解雇無し」。
大麻を使用している有能な人材が集まるでしょう。
[返信する]
[37100] 職場での大麻検査に発展する可能性
名前:田中香織
日時:2008/09/15 10:59
この解雇が有効になることは、我々の身にふりかかってくるであろう災難であるとあらためておもいます。

検体採取の妥当性についてどうして疑問が生じないのかが不思議です。

職場での検査はすでに試薬が販売されていることからいつでも可能です。
厳格なガイドラインがないうちにこのような検査をはじめると、とんでもないことになります。

どちらの省庁で決定することかわかりませんが、大変な問題が起こると思いました。
[返信する]
[37096] マスゴミの問題でもあると思います
名前:白坂和彦
日時:2008/09/15 02:37
くろいさま、沢井さま、コメントありがとうございます。
 
くろいさまが紹介して下さったサイトは私も読んでおりました。ユダヤ外資についての真偽は私には分かりませんが、今回のロシア人力士2名の尿検査と処分には重大な欠陥があると考えています。
 
沢井さま
>今回の処分に対しては問題が多い気がします。

新たな問題が発覚しましたね。日本人力士にも当初は陽性反応を示したケースがあったそうです。しかも、精密検査はせずに、検体は既に廃棄してしまったとのこと。
これは相撲協会や検査のあり方だけでなく、問題の本質を問おうとせず、馬鹿げたバッシングに狂奔するマスゴミの問題でもあると私は思っています。
[返信する]
[37090] 問題が多いと思う解雇処分
名前:沢井まこと
日時:2008/09/14 22:34
私も自分の記事で書きましたが、今回の処分に対しては問題が多い気がします。
世論に流されて日本相撲協会が解雇をしたならば、あの団体の存在意義はいったい何なんだ。とおもいます。
マスコミが騒ぐから?世間が騒ぐから?
では、日本相撲協会にはどんな基準があるのでしょうか?

とにかくあの検査結果を、解雇理由にするには無理があります。
ロシア人だから、信用されないんでしょうか?
目立つ人をねらい打ちにするだけでは、問題を解決したことにはらないでしょう。
[返信する]
[37067] まゆつばかも知れませんが
名前:くろいひろゆき
日時:2008/09/14 14:02
この手の情報がお好きな方はどうぞ。

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http://archive.mag2.com/0000154606/20080913074739000.html
<大相撲の金がほしい外資が要望>
また、大相撲を財団法人から株式会社制度にして
ユダヤ外資にお金を払いだす仕組みを
導入したいバイコクド政治家やバイコクド秘書は


<冤罪だと思われるロシア人相撲取り>
今日もでっちあげの罪で大相撲のだれかをねらいうちしている。
多分、あのロシア出身の二人は、大麻など
やっておらず、「冤罪なのでは」?
と思う。
[返信する]

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