放置されていたのが見つかった「ねんきん特別便」=大阪市此花区の郵便事業会社新大阪支店、同社提供
年金の加入期間などを記した「ねんきん特別便」約4万5千通を含め、約12万通の郵便物が未配達のまま2カ月余り放置されていた。日本郵政グループの郵便事業会社が2日、発表した。特別便の未配達分は近畿地方の年金加入者あての一部。郵便物はJR貨物のコンテナごと放置されており、3日以降に配達するとしている。
郵便事業会社によると、未配達だったのは、同社の新越谷支店(埼玉県越谷市)から新大阪支店(大阪市)向けに送られた約12万通の郵便物。9月23日に発送され、翌24日には届けられるはずだったが、JR貨物の梅田駅(大阪市)構内でコンテナごと放置されていた。
ねんきん特別便以外に、首都圏の企業が近畿地方の住所にあてて出したダイレクトメールなどがあった。すでに内容が期限切れとなったメールがある恐れもあり、差し出した企業に確認しつつ配達するという。
郵便事業会社は、新越谷支店から新大阪支店までの運送を中央通運(本社・東京都港区)に委託。同社がJR貨物の梅田駅から新大阪支店までの運送を合通(同・大阪市)にさらに委託した。両運送会社の連絡と確認が不十分だった。郵便事業会社も、新大阪支店が1日に3回届くコンテナのチェックを怠っていた。11月27日、合通の社員が梅田駅構内に長期間残っている貨物のリストを見て気付いたという。
郵便事業会社の伊東敏朗常務執行役員は2日夜、東京都内で記者会見し、「今回の社会的責任を重く受け止め、二度と起きないようにしたい」と謝罪した。同社は詳しい原因を調査し、近く再発防止策をまとめる。(木村和規)