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「この人が空自トップ?」 驚き、あきれる外国人記者 '08/12/2

 「歴史は勝者がつくるものだ。昔の歴史を持ち出して『おまえの国が悪かった』と言うべきではない」。一日、日本外国特派員協会の講演で、再び自説を繰り返した田母神俊雄たもがみ・としお前航空幕僚長(60)。各国の特派員からは「この人が空自トップだったとは」「あまりに一面的な見解」と驚き、あきれる声が上がった。

 「前航空幕僚長の、危険人物の田母神であります」。冒頭、軽口をたたいた田母神氏。通訳を交えた約四十分の講演では「周辺国から『日本は侵略をした、ろくな国じゃなかった』と散々言われ、黙っていることは日本の国益を損なう」と、更迭の原因となった論文と同様の主張を展開した。

 講演には二百人以上が出席。質疑応答では外国人特派員や日本人ジャーナリストら約二十人が「あなたの考え方は、自衛隊内で多数派なのか」などと次々に質問に立った。田母神氏は自衛隊を「言論弾圧社会」と表現。「(隊員は意見を)表明できないが、多数は支持していると思う」と胸を張った。

 講演後、取材に応じた、香港のフェニックス・テレビの記者李〓り・びょうさん(33)は「このような人が、自衛隊のトップにいたこと自体が驚き。日本で本当にシビリアンコントロール(文民統制)が機能しているのか疑問だ」と感想を述べた。

 「論文も引用が多く素人の文章で(懸賞で)なぜ高く評価されたのかわからない。自衛隊員の多くがこうした考え方を持っているならば、驚きだ」とした上で「日中の信頼醸成に悪影響を及ぼす」と強調した。

 「シンガポールビジネスタイムズ」特派員の英国人記者アンソニー・ローリーさん(69)は「正しい歴史の知識を持っているとは思えなかった」と首をかしげた。

 米国人ジャーナリストのサム・ジェームソンさん(72)は「集団的自衛権の行使容認など、賛成できる部分もあるが、戦前の日本の行動がすべて正当だったかのように述べる彼の議論は、あまりに一面的。米国人は、相手にしていないだろう」と突き放した。

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