県(仲井真弘多知事)と沖縄市(東門美津子市長)は26日、中城湾港泡瀬沖埋め立て(東部海浜開発)事業への公金支出差し止めを命じる那覇地裁判決を不服として、福岡高裁那覇支部に控訴する方針を決めた。県は、地方自治法の条文解説や最高裁判例から、控訴に県議会の議決はいらないと判断し、県議会には提案せず、12月3日までに控訴する。東門市長は昨年12月に第1区域の埋め立て推進を表明したことを理由に、事業を継続する必要性から控訴を判断した。12月2日に市議会臨時会を開き、控訴の承認を求める。沖縄市議会は、推進派市議が多数を占めるため、臨時議会で可決される見通し。
泡瀬干潟を守る連絡会の前川盛治事務局長によると、住民側は、県や沖縄市の控訴を受け、那覇地裁判決で認められなかった環境影響評価の違法性の認定などを求め、福岡高裁那覇支部に控訴する構え。
県は26日夕、控訴の方針について与党県議と県幹部らに対し、知事公舎で開かれた連絡会議で説明した。
県は当初、控訴については地方自治法96条に基づき県議会の承認が必要だとしていた。
その後、総務省や顧問弁護士に確認し、今回の訴訟の被告は、同法で議会の承認を得ることが定められている地方公共団体(県)ではなく、執行機関の長(県知事)だとして、同法に該当しないと判断した。控訴は、県としてでなく、県知事名で行う。
一方、東門市長は27日、沖縄市議会12月定例会の議案説明会前に控訴する方針を説明する。
26日、市議に訴えに関する議案説明会を27日午前に行うことを告知した。
市幹部によると市は控訴審で「土地利用計画を見直す」との市長発言が、事業の白紙を意味するということでないことや、経済的合理性を考えて土地利用計画の見直しの作業を進めていることなどを主張していくとしている。
(問山栄恵、宮城征彦)
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