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2008-11-30 20:59:46 stanford2008の投稿

桜井淳所長から京大原子炉実験所のT先生への手紙-旧ソ連タービン・発電機の回転数は1500rpm-

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T先生



先日、T先生からチェルノブイリ4号機の事故直前のタービン・発電機の回転数が2500rpmだったとの情報をいただきました。そして、定格回転数は3000rpmとのことでした。


私が国内の数多くのPWRやBWRのタービン建屋内で聞いた1500rpmの回転音と、1993年に訪問したクルスク原子力発電所(モスクワの南西約650km、当時、チェルノブイリ原子力発電所と同型の100万kW級RBMK炉が4基運転中)や1994年に訪問したカリーニン原子力発電所(モスクワから北西約500km、当時、VVER-1000というPWRが2基運転中)のタービン建屋で聞いたタービン・発電機の回転音が同じように聞こえ、旧ソ連製の原子力発電所は、よいところも、悪いところも、みな、規格化されており、チェルノブイリ原子力発電所が特別ということはありえず、もし、倍の高速回転であれば、音に明らかに差異が生じるはずで、と言って、私の耳が悪いということも、記憶違いということも考えられなかったため、訪問時に入手した資料を確認してみました。カリーニン原子力発電所の原子炉やタービン・発電機の詳細情報は私の著書『ロシアの核が危ない!』(TBSブリタニカ、 1995)のpp.82-83に記載されています。それによると、


タービン

型式 K-1000-60/1500-2

メーカー Kharakov Turbines Works

定格出力(MW) 1100

定格回転数(rpm) 1500


発電機

型式 TBB-1000-4y3

メーカー Elektrosila

定格出力(MW) 1000

出力電圧(kV) 24

回転数(rpm) 1500

冷却システム 水-水素


となっています。


よって、私のクルスク原子力発電所とカリーニン原子力発電所の経験から、タービン・発電機の回転数は、1500rpmと考えています(なお、同書には、写真入で、両発電所の技師長相手にやり取りした発電所の技術的特徴も記載されています)。



桜井淳

2008-11-30 11:44:57 stanford2008の投稿

"水戸"だより-電子機器からの殺人予告等の犯罪行為は必ず逮捕されます-

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桜井淳所長は、"水戸"スタッフに、社会常識や基礎的なビジネス上の注意事項をレクチャしてきましたが、桜井所長に拠れば、まだ、世の中では、電子機器(携帯電話・PC)からインターネットへの殺人予告等の犯罪書き込みでは、犯人が特定されず、逮捕されないと議論されていた頃から、そのまったく逆のことを主張してきましたが、いまでは、そのような主張は、多くの事例から常識となり、広く認識されてきましたが、電話やPCからの通信記録は、常に、記録されており、通常であれば、通信の秘密から、むやみに開示されることは、まったくありませんが、第三者の通報をとおし警察によって殺人予告・名誉毀損等と認定され、犯罪捜査になれば、通信記録から、たとえ、家庭電話から匿名での言葉での脅迫でも、携帯電話やPCからインターネットへの匿名による書き込みでも、すぐに特定され、逮捕されますが、これまでの2年間の具体的な事例を挙げれば、(1)20歳台後半の女性が携帯電話から幼稚園と園児への加害予告、(2)毎日新聞販売員が携帯電話から殺害幼児宅へ電話(携帯電話の電源がオンになっていると、常に電波を発しており、その情報から電波の受信局から、発信場所の推定が可能)、(3)秋葉原の電気街の展示PCからインターネット(掲示板)への殺人予告書き込み(監視カメラ映像が参考にされました)、(4)ネットカフェのPCからインターネット(掲示板)への殺人予告書き込み(監視カメラ映像が参考にされました)、(5)2008.6.8に発生した秋葉原無差別殺傷事件後のPCからインターネット(掲示板)への殺人予告書き込み(50名逮捕)、(6)前田記宏(東大卒、25歳)によるPCからインターネット(ブログ)への文科省幹部殺人予告書き込み等です(一度でもそのようなことをして逮捕されると、社会的信用を喪失して、いかなる組織への就職でもうまく行かなくなり、その意味で、前田記宏の例は、まことに残念です、世の中のことに対しては、"遊び心"や"冗談"では、済みません)。

2008-11-28 20:18:41 stanford2008の投稿

桜井淳所長から京大原子炉実験所のH先生への手紙-原発設置県は現実的災害評価と退避訓練を実施せよ-

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H先生



私は、主に、炉物理の研究と原子力発電所の事故・故障分析の研究を実施してきましたので、原子力発電所の災害評価については、必要最小限の知識、すなわち、著書『原発システム安全論』をまとめるために、歴史的な研究報告書であるWASH-1400(1975)とNUREG-1150(1990)を熟読・吟味し、その他、水戸に在住している関係から、茨城県が実施した東海第二原子力発電所の災害評価の報告書に目をとおした程度です。


東海第二原子力発電所の災害評価の報告書(茨城県原子力防災対策検討委員会「原子力防災対策等にの充実強化について」、平成10年8月)を読み(委員会構成員は学識経験者8名(知っている研究者は青地哲男・近藤駿介・能澤正雄・吉田芳和の各氏)・防災機関6名・行政機関4名)、感じたことをまとめてみます。


(1)事故想定が甘く、災害評価になっていないこと、

(2)WASH-1400(1975)やNUREG-1150(1990)と同程度の事故想定をした災害評価をすること、

(3)すべての原発設置県は、WASH-1400(1975)やNUREG-1150(1990)と同程度の事故想定をした災害評価をすること、そして、その結果に則り、現実的な退避訓練を実施すること、

(4)退避に必要な公共施設(道路等)を充実させること、

(5)原発災害評価の研究・実施は、原子力機構が国の予算で、各発電所の設置条件ごとに、WASH-1400(1975)とNUREG-1150(1990)並みの想定事故で評価すること、


等です。


東海第二原子力発電所の災害評価の場合、想定事故は、「多種多様な安全機能等が働かず、原子炉冷却材の喪失、燃料被覆管の破裂により、大量の希ガス、ヨウ素が格納容器内に放出され、排気筒から環境に放出」、放出放射性物質量は、「希ガス7600万Ci、ヨウ素6756万Ci」(報告書ではBq単位でしたが、分かりやすくするために、Ci単位に直しました)で、前者はスリーマイル島2号機炉心溶融事故の30倍、後者は450倍になっています。気象条件は、「周辺住民の線量が大きくなるような厳しいものとして、安全審査で用いられている条件を使用」しています。しかし、希ガスは、相互作用が少なく、比較的少ない外部被ばくへの影響しかなく、ヨウ素は、小児甲状腺ガンの原因になる。格納容器が健全であると想定し、いずれも排気筒から放出されると想定しているため、大気拡散により、影響が緩和されるようなシナリオになっています。WASH-1400(1975)とNUREG-1150(1990)では、格納容器の破損も想定し、被ばくに致命的な影響を与えるセシウム137とストロンチウム90等の放出も想定しています。東海第二原子力発電所の災害評価の条件がいかに甘いか、よく分かると思います。


周辺住民が受ける被ばく量は、大人全身線量として、「550m(敷地境界)-1.5mSv、1km-1.5mSv、2km-1.2mSv、5km-0.6mSv、8km-0.4mSv」、となっています。対応策としては、「具体的な対応は必要ない」となっています。それでは災害評価にはなっておらず、防災対策にもなっていません。現実的な想定事故で、現実的な評価をしたら、どうしようもない結果になるため、想定条件を調整したものと推察されます。よって、東海第二原子力発電所の災害評価の報告書(茨城県原子力防災対策検討委員会「原子力防災対策等にの充実強化について」、平成10年8月)は、災害評価としては、不合格です。



桜井淳

2008-11-28 17:55:49 stanford2008の投稿

桜井淳所長から京大原子炉実験所のT先生への手紙-AZ-5スクラムボタンを押した理由が分からない-

テーマ:ブログ

T先生



私は、いつも、いくつもの研究テーマを抱えているため、チェルノブイリ4号機の反応度事故の発生メカニズムや被ばくの影響について、考えることもなく、残念なことに、記憶から少しずつ消えつつありました。しかし、いただいた最近の文献を吟味してみて、いくつもの疑問が浮かび上がり、時間をかけて継続的に検討してみたいと考えています。


【なぜAZ-5スクラムボタンを押したのか】

日本のタービン・発電機の回転数は、1500rpmですが、チェルノブイリ原子力発電所のものは、いただいた文献に拠れば、3000rpmとなっています。それは旧ソ連型に共通しているものと思います。私は、1993年にロシアのクルスク原子力発電所、1994年にカリーニン原子力発電所を訪問し、タービン・発電機から1mのところまで近づきましたが、日本で聞く回転音と同じように聞こえ、倍の回転数で回転しているようには、感じませんでした。普通、産業機器は、遠心力等の設計条件から、特別の機器、たとえば、ウラン濃縮遠心分離器等を除き、1500rpm程度です。そのため、3000rpmというのは、信じがたい数値です。いただいた文献に記されているため、確実な数値なのでしょうが、私の方でも調べてみましょう。


チェルノブイリ4号機では、事故直前、タービン・発電機の慣性運転を利用して、定められた"電力供給試験"を実施するために、タービンバイパス弁開にして、その試験を実施し、そのために、タービン・発電機の回転数が2500rpm(このことは、これまで、公表されておらず、T先生からの情報です)まで下がってしまい(1986.4.26の1:23:4にタービンバイパス弁開にし、1:23:40にAZ-5スクラムボタンを押していますが、慣性回転のために、わずか36秒間で3000rpmから2500rpmまで、500rpmも下がるでしょうか、この点は疑問です)、そのために、AZ-5スクラムボタン押し、その結果、"ポジティブスクラム"に起因する反応度事故に陥ったと推定されています。しかし、それでも、なぜAZ-5スクラムボタンを押したのか、分かりません。


試験が終了したのであれば、普通、スクラムせず、手動停止操作するものです。歴史に"もし"と問わない方がよいのでしょうが、もし、定められた制御棒挿入パターンによる手動停止操作であれば、事故は、起こらなかったことでしょう(本欄バックナンバー参照)。(全引き抜き時のスクラムでも、"ポジティブスクラム"という技術欠陥がなければ、事故になりませんでした。)


すべての制御棒を引き抜き状態にし(各制御棒の下に黒鉛棒がぶらさがっており、制御棒を引き抜き過ぎたために、炉心下端附近の上部に黒鉛棒の届いていない水で満たされた空間があり)、スクラムしたため、水が黒鉛に変わり、その結果、中性子吸収が少なくなり、プラスの反応度が印加され、すべての制御棒で、そのようなことになったため、大きな印加反応度となり、反応度事故になりました(本欄バックナンバー参照)。なぜAZ-5スクラムボタンを押したのか分かりませんが、考えられることは、(1)さまざまな不祥事によって、試験が大幅に遅れてしまい、時間的に、翌日の作業等に影響するため、やむを得ずにスクラムさせた、(2)(制御室の記録計に記録表示されていれば)、主循環ポンプ流量がいくぶん減少傾向にあったため(Martinez-Val et al., Nucl.Technol., Vol.90, pp.371-388(1990)のp.375のFig.3)、各圧力管内の流量低下によって温度が上がり、その結果、ボイドが増加することによって、プラスの反応度が入ることを防ぐため、くらいです。この事故を考える上で、「なぜAZ-5スクラムボタンを押したのか」が、本質的なキーワードになりそうです。


【被ばく死亡予測数】

『科学』Vol.76,No.5, pp.538-540(2006)を読むと、「フォーラム報告」に記された被ばく死亡予測数(今後の晩発性まですべて含めて4000名)が、いかに、過小評価かが、よく分かります。実際には、すくなくとも、その数倍、多い場合には、一桁高いでしょう。人口密度が低い地域であったため、予想より低かったわけですが、日本のように人口密度が高い場合には、さらに、一桁から二桁くらい高くなるでしょう。



桜井淳

2008-11-28 16:14:09 stanford2008の投稿

桜井淳所長より東京電力への施設見学にそなえての質問内容-原子力発電所のオペレータの訓練について-

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【質問内容】

新潟県中越沖地震における柏崎刈羽原子力発電所の震災時対応との関係で、改めてBWR訓練シミュレータによる事故対応のオペレータ訓練の現場を見学させてください(四半世紀前、短時間でしたが、三菱重工業神戸造船所で、完成間際の北海道電力泊原子力発電所の制御室を模擬したシミュレータによるデモンストレーションを見学したことがあります)。事前に、次のような質問をお送りします。


(1)基礎理論研修(原子炉物理・熱水力等)の内容と時間割はどのようになっていますか、

(2)シミュレータ訓練において、初級・中級・上級の訓練の内容と時間割は、どのようになっていますか、

(3)シミュレータでの訓練では、具体的に、どのような種類の事故に対応できますか、

(4)シミュレータの構成、すなわち、どのような種類・性能のコンピュータが採用され、どのようなシステム構成とソフト(具体的なコンピュータ・プログラム、たとえば、核熱流動計算の場合、計算コードRELAP5/Mod2やRETRAN02等)で核熱流動等の各種事故をシミュレーションしているのですか(特に、信号のやり取り、リアルタイム計算か、それとも、標準ケースの計算結果をコンピュータ・メモリーに記憶させておき、オペレータの操作に対応するようにしているのか、また、地震の場合、震度ごとに、影響を受ける機器と程度を評価しておき、"警報"や"スクラム"を発するようにしているのか)、

(5)シミュレータの全体を詳細に把握できる技術文献はありませんか、

(6)実施されている上級シミュレータ訓練の現場に立ち会うことはできないでしょうか、


以上。


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