【記者手帳】残り物の再利用が招く結果
ソウル市瑞草区が区内のすべての飲食店を対象に展開している「残った食材の使い回し中止キャンペーン」が報じられて以降、記者に電子メールや電話で寄せられた市民の意見は、このようにはっきりと分かれた。
最も怒りをあらわにしたのは、1日に2回以上外食している会社員たちだった。また、外食を頻繁にする主婦たちも同様だった。
今年第3四半期(7‐9月)の統計庁のまとめによると、1世帯当たりの1カ月の外食費の全国平均は26万1100ウォン(約1万7000円)で、家計消費支出全体の11.7%に相当する。3人家族が1回の外食で3万ウォン(約1950円)ずつ使ったと仮定すれば、1カ月に9回近くも外食していることになる。
一方、全国に約50万軒ある飲食店が国内の景気に与える影響を理由に挙げ、「残り物の再利用を問題にすれば外食産業全体が低迷することになり、それによって雇用も縮小することが懸念される」とする主張も一部では出ている。さらに、ある中華料理店は「家でも残ったおかずを繰り返し食べているのに、店でそうして何がいけないのか。商売が上手くいかず死にたいほどだが、こんなことではいつ自殺を決行するかも分からない」と脅しめいたメッセージを寄せた。
もちろん、すべての飲食店が残り物を使い回しているということではないはずだ。だが、「調査の結果、区内の飲食店の約80%が残り物を再利用していた」というソウル市のある区の関係者の話は、決して楽観的な状況ではないことを示すものだ。
残り物の再利用禁止を面倒がる飲食店が理由に掲げる「不況」は、世界的な経済危機に端を発するものだ。この危機が経済の主体となる「信頼」の崩壊によって深刻化したということもまた広く知られている事実だ。
「不況のため、おかずを再利用しなければやっていけない」という飲食店経営者らの認識が変わらなければ、再利用しているのか否かが分からない客は外食の回数を減らすしかない。残った食材を使い回しする飲食店は、それに伴う信頼の欠如が、ブーメランのようにいつか自分たちに跳ね返ってくるということを、じっくり考えてみるべきだ。
クァク・スグン記者(全国ニュース部)
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