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かれんさんの恋人

第一話:大魔法使いかれん現る

夕暮れ時の青空第三高校の体育館倉庫の中で、一人の男子学生と女子高生は見詰め合っていました。

「卓也くん・・・。」

「詩織・・・。」

そのままマットに倒れこむ二人。

すると卓也は詩織の胸を制服の上から優しく揉み始めた・・。

「あん・・・卓也くん・・・。」

それから卓也は詩織のスカートの中に手を入れてきた。

「ああん・・・卓也・・くん・・。」

「なあ?いいだろう・・?」

すると詩織は卓也の手を止める。

「待って・・。その前にキスしよ?」

「あ、ああ・・。そうか・・。」

二人は瞳を閉じてゆっくりと顔を近づけていった・・。

だが、そんな時!

ガラガラガラーー!!ガターン!!

体育館倉庫の扉は勢いよく開いた!

「こらーー!卓也―!!」

「また、お前はこんなところでー!!」

「げ!麗子!!」

突然、大声で怒鳴り込んでくる女性に二人はたじろく。

「麗子先生。ごめんなさい!」

そう言って詩織はその場から立ち去ってしまった。

「お、おい。詩織!」

「ったく!このクソガキはいつもいつも学校でイチャイチャしやがってー!」

「ここをどこだと思ってるんだ!」

「れ、麗子先生・・。ち、違うんだよ!」

「あ、あれはー。詩織がお腹が痛いって言うから、俺が介抱・・」

「うるさい!」

そこに立つ女性は右手に持つ竹刀を振り回しながら、卓也に襲い掛かってきた!

「うわわわわ!」

ビュン!ビュン!

竹刀は空を切り、バシィーン!バシィーン!とそこら中の壁に当たる。

「うわわわわ!」

逃げ惑う卓也。

彼女は俺のクラスの担任の先生、セクシーでグラマーで俺好みな女なんだが、彼女はその昔、女暴走族のリーダーをやっていたらしく。怒り出すと、体育の近藤(先生)でも彼女を取り押さえることはできない。そんな彼女は俺を目の敵にし、ことあるごとに俺の邪魔ばかりしてくる。

ビューン!バシィーーン!!

「うわわわわ!」

「先生落ち着いてよー!」

「問答無用!」

卓也は麗子先生が竹刀を思いっきり振りかざした隙に彼女の後ろへと回り、そして彼女のお尻を揉んだ。

「キャ!」

「こ、こら・・。卓也・・何するのよ・・。」

そう言って麗子先生は後ろを振り返ると、もうそこには卓也の姿はなかった。

ブッチン!

「あ、あいつぅーー!今度、会ったらただじゃ済まさないんだから!!」

彼女の脳裏にはメラメラと炎が立ち上がった。

「ふうー!危なかったー・・。」

「ったく!麗子の奴、どうして俺ばかり狙うんだよ!」

「せっかく、あともう少しのところだったのに!!」

卓也は一人で家路へと向かっていた。

「大変じゃったの?」

「ああ。そうさ、毎回毎回あいつのせいで、いつもやり損ねてしま・・。」

「ん?」

卓也はあたりを見渡す。

「え?さっき声がしたような・・。」

「おい。卓也。こっちじゃ。」

「え?え?」

なおも卓也は辺りを見渡してみたのだが、そこには誰もいない・・。

「おい。卓也。こっちだって!」

「ひいい!幽霊!?」

そう言った途端に卓也は一目散にその場から走り去っていく。

「ったく!しょーがない奴じゃの。」

―――――――。

「ただいまー。」

卓也はそう言って2階の自分の部屋へと駆け上がっていく。

「あら?卓也?今日はずいぶん遅かったのね?」

「もうすぐ夕飯だから降りてらっしゃいね。」

「ああー。」

そう返事を返して卓也は自分の部屋に入っていく。

卓也は制服から部屋着に着替えてからバサッとベットに仰向きで倒れ込んだ。

「・・・さっきのは何だったんだ?」

「俺、疲れてるのか?」

すると、またどこからともなく卓也を呼ぶ声がする。

「おい!卓也!こっちじゃ!」

「ひいい!またかよ!」

「だ、誰だ!俺の名を呼ぶ奴は!」

卓也は部屋の中を見渡すが、やはり部屋の中には卓也をのぞいて誰もいない・・。

「こら。卓也!こっちじゃって!下を見てみろ。」

そして卓也はゆっくりとベットの上に乗せる自分の左手を見下ろす。

すると!なんとそこには、卓也の左手ぐらいの大きさしかない小さな女の子が卓也の人差し指を引っ張っていた。

「!!」

「な!なんだーー!お前はーー!」

そう言うと卓也は部屋の隅へと逃げていく。

「ったく!よっと!」

その小人の女の子はベットから飛び降りてトコトコと卓也の側に近づいてくる。

「ひいいい!」

「こらこら!そんなに怖がるでない。」

「わしは卓也のフィアンセじゃよ。」

「ひいいい・・・え?俺のフィアンセ?」

「そうじゃ。忘れたのか?」

「き、君は・・・誰?」

卓也はその場に座り込み、その小人の女の子に話しかける。

「わしは、魔法の国からやってきた、大魔法使いのかれんじゃ。」

「よろしくな。」

彼女はそう言って右手を差し出す。

すると卓也は「あ。ああ。」と言い右手の人差し指で彼女と握手する。

「やっと、落ち着いたか。」

「き、君は誰なの?」

「さっきも言ったじゃろって。」

「わしは卓也のフィアンセで、魔法の国からやってきた大魔法使いかれんじゃよ。」

「お、俺・・。夢でも見てるんじゃないのか?」

卓也は自分の頬を思いっきりつねってみた、

「いてて・・。これは夢じゃないのか?」

しばらくして落ち着きを取り戻した卓也は左手に彼女を乗せベットまで移動した。

「ところで、さっきの話は何のことなんだよ?」

「俺がいつお前と結婚の約束をしたんだ?」

「ったく!卓也は忘れてしまったのか、あの日のことを・・」

と、その時!卓也の部屋のドアは勢いよく開いた!

「お兄ちゃん!さっきから呼んでるのに何、一人でブツブツ言ってるの!」

「わわわわ・・。恵美!部屋入る時は、ノックぐらいしろよ!」

そう言って卓也は小人のかれんを後ろに隠す。

「あー!今、お兄ちゃん、さっき後ろに何か隠したでしょ!」

そう言って恵美は卓也に近づいていく。

「わわわわわ・・。な、何でもないって!恵美!」

恵美はベットの上に座る卓也にくっつくようにして座り、「ふふーん。」とニッコリ微笑みながら卓也を見つめてきた。

「な、何だよ。恵美。」

「お兄ちゃん。またエッチな本でも後ろに隠したんでしょ?」

「ち、違うよ!」

「じゃあ、あんなのよ?その後ろに隠してあるのは?」

「え?こ、これ?さ、さあー。なんでしょ?あははー・・。」

すると次の瞬間、恵美は卓也を一気にベットへ押し倒した!

「わわわわ!な、何するんだよ!恵美!」

そして恵美は卓也の後ろを探し始める。

「あれ〜?何もないじゃない?」

「え?」

卓也も後ろを見てみたが、そこに小人のかれんの姿はなかった。

「もう!何だったの?」

「だ、だから。何もないって言っただろ?」

すると今度は恵美は卓也にこう切り替えしてきた。

「ねぇ〜。お兄ちゃ〜ん。」

「それより、私といいことしよっか〜?」

いきなり、恵美は卓也に思いっきり甘えてきた。

「め、恵美・・。兄妹でそんなことダメだよ・・。」

「え〜?どうして〜?」

恵美は思いっきり甘えた顔をして卓也に迫り寄ってくる。

こいつは俺の2つ下の妹なのだが、親父が再婚した女性の娘さんで俺との血のつながりはない。そして、こいつは俺以上にドスケベな奴で、ことあるごとに、こうしていつも俺をからかって迫り寄ってくる。そして俺はこいつの甘えた顔にすごく弱い・・。

恵美は卓也の胸に頭をくっつけるようにして横になり、右手の人差し指で卓也の胸を優しくなぞってきた。

「ねぇ〜?いいじゃない。お兄ちゃ〜ん。」

「私たち、血のつながりはないんだし〜。」

「め、恵美・・。だ、だめだってば・・。」

「こらこら。二人とも何やってるの。」

「ご飯冷めちゃうわよ?」

「あ。ママ。」

そう言うと恵美は、ひょいと卓也のベットから離れる。

「こら。恵美、だめでしょ?また、お兄ちゃんをからかって遊んでたの?」

「ヘヘヘー。」

「それより二人共、早く下に降りてらっしゃい。」

「ああ。」

そう返事をして卓也はベットから起き上がろうとしたのだが、卓也はベットから起き上がることができなかった。

「卓也?どうしたの?」

「わ、悪い・・。先、言っててくれ。」

恵美はニコッとして笑顔で微笑んだ。

「ま!」

恵美の母親は卓也の気持ちを察してか、すぐに恵美を連れて部屋から出て行きました。

「やれやれ。卓也は情けない奴じゃの?」

「あんな小娘にからかわれて。」

「う、うるさい・・。」

「って、お前、さっきどうやったんだ?」

「言ったじゃろ?わしは大魔法使いじゃって。」

「姿を消すことぐらいたやすいことじゃよ。」

「そ、それを早く言えっての!」

それから、しばらくして卓也の興奮も納まり卓也と恵美と母親の3人は、一家団欒の夕食を囲むのでした。

つづく