2008年11月27日

「愛育安全相互自動車学校」破産の波紋


 11月27日、札幌市手稲区で自動車教習所を運営する「株式会社 愛育安全相互自動車学校」(札幌市・安田克昭社長)が、近く自己破産を申請することが分かった。負債総額は2億8,400万円、グループ4社を合わせると8億円に達するものと見られる。

 昭和51年設立の同社は、自動二輪専門の教習所を持つ強みを生かして、オートバイ販売で道内大手のグループ会社「株式会社 陸王」(昭和62年設立)なども展開していた。

 しかし、10月下旬に教習所の受講生に対して、突如「休校のお知らせ」を送付したことから経営危機説が浮上。11月22日から「陸王」の店舗が予告なく臨時休業に入ってからは、同店にオートバイの冬季預かりを依頼しているライダーたちの間でも「自分たちのバイクはちゃんと返ってくるのか」といった不安の声が聞かれていた。


札幌市中央区にある「陸王」のショップ(27日午後3時頃)


店舗入口に貼られた「臨時休業のお知らせ」

 自動車教習所の破産では、10月末の「八王子自動車教習所」(東京都日野市)のケースが記憶に新しい。他校への転校を余儀なくされた約1,500人の受講生に対して、前払い受講料がどの程度返還されるかが最大のポイントとなっているが、資産内容から全額返還は極めて難しい状況だと言われる。

 愛育安全相互自動車学校のケースで、前払い受講料の扱いがどうなるのか現時点では不明だが、積雪寒冷地である本道ならではの事例として注目されるのが、「陸王」が顧客から預かっていたオートバイの扱いだ。

 本道では、降雪期になると販売店などにワンシーズン10,000円~15,000円程度でオートバイを預けて点検済み車両を春頃に受け取る「冬季預かり」を利用するライダーが多くいる。札幌市内の同業者によれば「陸王」は札幌圏に複数の倉庫などを借りるなどして、1,000台以上のオートバイを分散して保管していると見られる。従業員が全員解雇された場合、それらの車両がスムーズに所有者の手に戻るのか、不透明だ。

 また、自動車と違って「登録制度」がないオートバイの場合、倒産した販売店関係者や債権者が悪意を持って通常は車載されている車検証を持ち出せば、いとも簡単に名義変更・転売が可能だという点も気掛かりだ。

「オークションなどで売られてしまい、善意の第三者に渡ってしまうと極めて厄介。そもそも、ショップ関係者に逃げられたら、バイクの所在を突き止めること自体無理ですよ」(札幌市内の中古バイク業者)

 多くのライダーの信頼を集めた「陸王」で、そのような事態が発生するとは考えづらいが、早期に保全措置を取ることの必要性は論を待たない。さらに、無事にオートバイが所有者の手に戻ったとしても、「陸王」が持っていた冬季預かりのパイを吸収できる受け皿は札幌市内にないと言われる。

「愛育安全相互自動車学校」破産の波紋は、これから大きく広がりそうだ。いずれにしろ、来シーズンは「冬季預かり難民」のライダーが札幌市内に溢れることは間違いない。(ひ)


Posted by Hoppo Journal at 21:05│Comments(2)倒産情報
この記事へのコメント
本当に代金納めた方はかわいそうだと思います。
Posted by ほし at 2008年11月28日 11:42
先月末に入校しましたが休校などの説明は一切ありませんでした。一週間前突然電話で「昨日付で倒産した」と言われました。
Posted by 中村 at 2008年11月28日 14:08
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