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警察官はなぜ「人民裁判」にかけられたのか(上)

27日未明、コリアナホテル(ソウル市中区太平路)の器物を損壊したデモ参加者を検挙しようとした南大門警察署のオ警衛(日本の警部補に相当)がデモ隊に取り囲まれ、激しく追及されている。インターネットメディアの「オーマイテレビ」が生中継した映像より。
 「なぜ純粋な市民を拉致するんだ?」「ひざまずけ!」  

 27日午前1時20分ごろ、ソウル市庁前のソウル広場東側で、一人の中年男性がイスに座ったままデモ隊約20人に取り囲まれていた。その周囲にはさらに200‐300人のデモ隊がいる。男性のシャツははだけ、下着のランニングシャツは引き裂かれ、ボロボロになっていた。胸や腹はむき出しになっている。デモ隊に取り囲まれた男性は、南大門警察署の強力(凶悪犯罪担当班)第1チームに所属するオ警衛(日本の警部補に相当、47歳)だった。なぜ、オ警衛は興奮したデモ隊に取り囲まれ、「人民裁判」を受ける罪人のようになってしまったのだろうか。

◆現職警察官を「誘拐犯」と非難、まるで「人民裁判」

 オ警衛は26日午後9時ごろ、コリアナホテル(ソウル市中区太平路)から「デモ隊がホテルの器物を損壊している」という通報を受け、太平路のデモ現場に出動した。オ警衛は「現場に到着してみると、50代の男が一人でホテルへの攻撃を主導していた。その男はデモ隊の前方でホテルの玄関前にある大きな植木鉢をひっくり返し、土やゴミをロビーにばらまいていた」と話す。

 それからずっと、オ警衛はその50代の男を追跡していた。その男は朝鮮日報や東亜日報の本社ビルを行き来し、玄関のガラスを足で蹴るなど、暴力行為を続けた。

 オ警衛は27日午前1時ごろ、地下鉄の市庁駅1番出口前に止まっていたオートバイに乗り、デモ現場を離れようとしたその男を逮捕した。オ警衛は「“コリアナホテル器物損壊の現行犯で逮捕する”と述べ、男に“ミランダ警告”(容疑者を連行する際、弁護人の選任や黙秘権行使の権利などを告知する原則)も告知した」という。そして、オ警衛が乗ってきたミニバンの後部座席にその男を乗せた。

 その瞬間、男はデモ隊に向かい「捕まった」と大声で叫んだ。すると、あっという間に周囲にいたデモ隊が「お前、何だ?」「なぜ人を拉致するんだ?」と怒鳴り、続々と集まった。オ警衛は「わたしは刑事だ。拉致ではなく、器物損壊の現行犯で逮捕したところだ」と言ったが、デモ隊はオ警衛の胸ぐらをつかみ、足でけり始めた。そして十数分間、興奮したデモ隊に取り囲まれ、顔や後頭部を殴られ、服を引き裂かれた。その間にデモ隊は100人余りに膨れ上がり、逮捕した50代の男は逃げてしまった。

イ・ソクホ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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