「放送収入の落ち込みが激しく、コスト削減でカバーしきれなかった。下期に入っても回復の兆しが見えない」
フジテレビなどキー局各社は番組制作費の削減を急ぐ。放送外収入を育てるのも喫緊の課題だ(写真:的野 弘路)
11月10日に開かれたTBSの2008年9月中間期決算説明会。井上弘社長は厳しい表情でこう語り、通期の連結純利益予想を下方修正した。TBSは放送事業だけだと今期、20億円の営業赤字に転落する見通しだ。
厳しいのはTBSだけではない。在京民放キー局5社の9月中間期決算では、フジ・メディア・ホールディングスを除く4社が営業減益となり、最終損益は5社すべてが前年割れ。日本テレビ放送網とテレビ東京は最終赤字に転落した。5社すべてが業績見通しを大幅に下方修正する異例の事態になっている。
景気減速で広告手控え
特に深刻なのは、番組と番組の間に流すスポットCM収入の不振だ。テレ東以外は放送収入の約4割をここに頼っているが、4〜9月期の東京地区のスポットCM出稿は前年同期比で11%減と落ち込んだ。「下期のスポットCM収入は良くても上期レベル。さらに悪くなるかもしれない」と日テレの能勢康弘常務執行役員は語る。
最大の理由は景気の減速だ。スポットCMは番組提供CMに比べて契約期間が短いため、景気の影響を受けやすい。景気の底が見えない中、幅広い企業が利益確保のために広告出稿を急速に絞っているのだ。TBSでは4〜9月期のスポットCM売り上げ実績で、「化粧品・トイレタリー」業種が前年同期比16.2%の大幅減。「食品」や「自動車・輸送機器」などテレビCMを多く流す業種でも、軒並み2ケタ減となった。
だがこれは、景気減速に伴う一時的な現象ではないのかもしれない。広告主の「テレビ離れ」という構造問題を指摘する声が、日増しに高まっているからだ。裏返しにあるのが、右肩上がりを続けるインターネット広告だ。
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