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【コラム】

筆洗

2008年11月22日

 牛や豚などがかかる病気に、口蹄(こうてい)疫がある。英語では、順序が逆でフット・アンド・マウス・ディジーズ。つまり「足と口病」である▼一方、なぜかは知らないが、フット・イン・マウスと言えば、失言しがちな、という意味。辞書によれば、だから、失言癖のことを口蹄疫とのしゃれで、フット・イン・マウス・ディジーズと言うらしい。こちらは、いわば「口に足病」▼さて、何かと騒ぎを引き起こすことの多いのが、麻生首相の「口」である。典型的なのが、最近、医師について「社会的常識がかなり欠落している人が多い」とやった発言。激しい抗議を受けて、陳謝し、発言を撤回した▼いちいち挙げないが、このパターンがお得意だ。<口より出せば世間>であり、しかも立場が立場。どうにも、言葉が軽すぎる。自民党内にも、さすがに批判の声が出ていて、「口」のせいで「足」の下が揺らぎ始めた格好だ▼「踏襲」を、ふしゅうと読んだりした時、本人は「単なる読み間違い」と涼しい顔だった。今、気になるのは、首相の発言が「単なる失言」かどうかである。広辞苑には「言ってはいけないことを、不注意で言ってしまうこと」とあるけれど、本当に「不注意」なだけか▼問題の中身を十分に理解しないまま口を開いている節がなくもない。もし、それが原因とすれば「口に足病」よりはるかに深刻である。

 

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