李栄薫教授「厳格なジャッジなき学界が歴史を歪曲」
李栄薫ソウル大教授インタビュー(3/4)
ところで李栄薫教授は、『大韓民国の話』の中で、「“土地調査事業により全国土の40%が日本のものになった”“食糧の半分を日本に強制的に持ち去った”というのは、何ら根拠のない話」と主張している。
—日帝が土地調査事業で土地を収奪し、食糧を強制的に奪ったというのは事実ではないのか。
「1982 年、金海郡庁で土地調査事業当時に作成された文書が大量に発見された。そこで、この資料を活用した研究を行ったところ、総督府は国有地を巡る紛争を公正に扱っていたことが分かった。全国484万町歩(1町歩は約0.99ヘクタール)の国有地のうち、12万7000町歩だけが国有地として残ったが、その大部分は朝鮮人農民らに有利な条件で払い下げられていた。食糧を日本に搬出したのも市場を通じた商行為に基づくものであり、強奪したわけではない」
—それならば、なぜ日帝が土地調査事業の過程で全国土の大部分を強奪したとされているのか。
「韓国の学界には厳格なジャッジがいないためだ。先進社会では学界を支配する厳格な審査グループがあり、主張の妥当性について判定を下している。後進社会にはこうした審査を行うグループが存在しないため、何が正しく何が間違っているのかについて、大衆はもちろん、研究者さえも知ることができない状況に陥っている」
—日帝時代を扱った小説『アリラン』を「憤怒の念と狂気で満たされた作品」と批判したが、350万部も売れたベストセラーに対し、余りにひどい評価ではないだろうか。
「土地や食糧の収奪、虐殺など、この作品が描いた内容は事実とかけ離れている。自分も学校の図書館でこの本を借りて読んだことがあるが、本には学生らがあちこちに書き込んだメモが残されていた。例えば、日本人の巡査が土地調査事業を妨害したという理由で、朝鮮人農民を裁判にもかけずに処刑する場面では、“ああ、こんなことがあってよいのか…”と怒りを示していた。このように商業化された民族主義が横行し、被害意識だけが膨れ上がった結果、(植民地支配を実際に体験した)高齢者よりも若い世代で反日感情が強くなった。これは、商業化された民族主義と間違った近現代史教科書に基づく公教育のせいだ」
金基哲(キム・ギチョル)記者
写真=キム・ボベ客員記者
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