Print this Post Article Lists Back

韓国現代史:10の問いとその答え(下)

(6)1961年の5・16クーデターはなぜ起きたのか?

 相対的な喪失感による将校集団の不満がふくらむ反面、張勉(チャン・ミョン)政権は腐敗した上級将校を粛清しようという軍部内の「整軍運動」に反対した。ここに政治・社会的混乱という外部の刺激が加わり、5・16クーデターが起こった。その後成立した第3共和国政府は、経済近代化のため国家の資源と能力を動員しようという「開発主義国家」の様相を帯びるようになった。

(7)朴正煕大統領の開発主義国家が達成したものは?

 朴正煕(パク・チョンヒ)政権は、短期間のうちに画期的な経済成長を成し遂げたが、韓国国民の要求を無視したり抑制したまま行われた経済開発だった。また、何のための経済開発なのかについて明確な回答を示すことができず、より自由で開放された政治秩序の創出には失敗した。

(8)維新体制はなぜ崩壊したのか?

 維新体制(朴正煕政権の後半)は、民主主義と全体主義のいずれにも該当しない権威主義体制で、そのため確固とした正当性や理念を備えることができなかった。さらに知識人層が背を向け、支配連合勢力が内紛を起こした結果、体制末期には権力の「動脈硬化」が起こった。

(9)韓国の民主化はどのように達成されたのか?

 民主化は1980年代末に各政治勢力が交渉を通じ到達した戦略的選択だったが、それまで韓国社会が経験してきた「近代化」の過程が韓国の社会構造を変えていったために可能だった。産業化や通信・交通の発達、中産層の成長などが民主化の要因となった。

(10)21世紀の韓国政治の課題は?

 ▲確固とした政党政治を基盤とした責任政治▲長期的に存続し得る政府形態の確定▲自律性を備えた市民社会の形成▲世界化・情報化時代に対する対応-などだ。そのためには、韓国国民が適切な能力と資質を有した指導層を輩出しなければならない。

■韓培浩教授

 米国プリンストン大で政治学の博士号を取得。中央大・高麗大教授、高麗大大学院長、韓国政治学会会長、統一院政策諮問委員長、世宗研究所長を務めた。政治学教授だった30年間について、「比較政治学理論の研究に10年、日本政治の研究に10年、韓国政治の研究に10年を費やした」と語る。現在、柳韓財団の理事長を務める。主な著書は『理論政治学』『韓国現代政治論』『韓国政治変動論』『世界化と民主主義』など。

兪碩在(ユ・ソクジェ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る