PCオーディオ、アナログ・オーディオ、SACD(&マルチ)など日々いろいろやっています。
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日記のページ
('08.11.21)■香港のKent Poonが先日の訪問と、お土産に持っていったワオン・レコードCDの事をブログに書いてくれています。多謝(広東語で「ドーチェ」)。
これを機会にKentとワオン・レコードの小伏さんとの交流が始まっておりまして、近々にも面白い成果を生んでくれそうです。士(もののふ)は士を知るのでしょうね。
■SACDマルチの素晴らしいソフトを見つけてあるので、改めて紹介します。考えるとそういうのが随分と溜まっている。オーディオネタもいろいろあるけど、ま、ぼちぼちと。
■今日は心暖かいメールをもらって、こちらの心も温まりました。志の低いのにはどうしてもむかつくのですが、そういう下らんことをやってる時ではなくて、こういう事に出会えるようにやっぱ自分の残り時間を大切にすべきだなあ。
('08.11.20)WEISSはまだ来ないので、週末オフ会は現行ラインナップで行く事にして、今日はオカンが帰った後Nuendo4の調整をした。使わない機能でも基本的なところは理解してカスタマイズしないと行けないので分厚いマニュアルに目を通し、いろいろと試行錯誤する。当初はとてもオーディオ的な音で、響きの豊かさというか音のふくよかさがあまり無い感じで、わずかだがヒリヒリ感がつきまとい、自然に空間に広がる感じがあまり出せなかった。こういう「やり過ぎ」な音が好きな人は結構いると思うが、僕は長時間音楽だけを聴きたいのでこのままというわけには出来ない。結局、メニューバーとツールバーをいろいろと触って、トラックコントロールはデフォルトに戻し、ほぼ落ち着いた。
改めて聞いてみると、Cubase ST4 よりもぐっと濃く広がるようになり、空間の中での低域の描写力が格段に良くなっている。Steinbergらしい凝縮感がとても良いと思う。24/88.2や24/96のダウンロードファイルも同様のセッティングでバランス良く再生できたのでこれで行くことにして、後は急ぐ資料を読みつつながら聞きした。在米の友人にお土産で戴いたECMの「トリオ・メディーヴァル」のCDが素晴らしく、このあたりは改めて紹介します。
トランスについて
■トランスは電力・磁気の変換で電力を伝達するもので、電源トランスの場合は100V・117Vに対して回路が必要とする電圧を2次側で発生させ、それを整流したりして利用する。電力は一定、というかロスで少しずつ減っていく一方なので、電圧が変われば当然電流値も変化する。
一方、絶縁あるいはアイソレーション・トランスでは基本は1対1である。(110->117のように昇圧したり減圧する場合もある。)
■電源トランスは出来るだけ効率よく通すのが目的であり、絶縁あるいはアイソレーション・トランスは必要な帯域のみ効率よく通すのが目的だ。
用語が入り乱れているが、絶縁トランスは文字通り感電防止がそもそもの目的である。
あるいはコアのロスを多くして、ノイズを熱や磁気損失に変換してノイズカットするトランスなどというものも存在する。
一方、アイソレーション・トランスは人命にかかわる医療用機器などの誤動作防止のためのより高度な機能が求められている。
「近代の医療用絶縁トランス(アイソレーショントランス)は高品質、高い安全性、耐久性を備えているだけでは十分ではなく、出力側には高度な画像処理機器と高精細なディスプレイを備えている装置が多く、画像診断を正確にするために電源および周辺機器からのノイズの除去能力も厳しく求められています。」
■スイッチング電源に比べて単なる電源トランスでも容量結合という点では低いので、アイソレーション度という点ではリニア電源に有利な面がある。しかし、アイソレーション・トランスは上記のようにより高度な目的で用いられるのであって、両方を混同するのは全く適切ではない。
またオーディオシステムに於いてアイソレーション・トランスを導入するかどうかは、その環境をふまえてノイズだけでなく機器間の干渉防止など総合的な観点から決めれば良いのであって、単純に付けるのが通例かどうかと言う問題では全然無い。スイッチング電源にアイソレーショントランスを用いても効果があるわけで総合的な判断によるべきものだ。
■このようなトランスについての基本的知識を欠いていては、リニア電源の製作などは不可能であろうし、十分なバックグラウンドをふまえて電源を論ずることは出来ないだろう。論を立てる前にきちっと基礎から勉強すべきものだ。
一般論ですが、ときおり、日本語の読解能力に疑問を感じるケースがあります。自己正当化のための曲解能力なら十分ありそうですが、それを見抜けぬ付和雷同がもしいたりしたら自覚に至るのは難しそうです。やれやれ。
('08.11.19)■『【速報】USB 3.0 「SuperSpeed USB」がついに公開』
アイソクロナス・モードの採用とか拡張規格はとかまだ不明ですが、いずれにせよ最大データ伝送速度が5Gビット/秒と超高速なのでノイズ対策は大変でしょう。
■WEISS DAC2 の出荷は今週末になるらしく、オフ会には間に合わないようだ。まあ、その方がじっくりとまとめられるのでこちらも助かります。
■真空管に倍音なんてあり得るわけ無いですよね。強いて言えば偶数次歪みが心地よく聴こえる、とかいう事でしょうが、ちゃんと設計すれば歪みは十分低いはずだし、そうでないんだったらギター用のディストーションアンプの世界で、ハイファイ再生というよりも音響「創造」の世界の話だよね。耳に心地良い言葉のみを紡いでいく作為。orz
('08.11.18)東京からの帰りの新幹線は岡山止まりだったので、寝ると乗り過ごす危険これありで、起きているために「Mac People」を隅から隅まで読んで過ごしました。
MacBook特集は非常に参考になった。 変更の大きなポイントはこれまでグラフィックとI/Oコントローラーの2チップで構成されていたものを、グラフィック側のチップセットで統合したことだ。特にMacBook ProについてはGPUを2セット積んでゲーム用とその他用途で使い分ける事になっている。つまりはグラフィック&ゲーム性能最重視だ。
Firewireコントローラーは「FW-643」でこれはまあ、どうにかなるとしても、「HDオーディオコントローラー」として192/24対応で光り入出力付きのRealtekの「ALC885」を積んでおり、もしチップセットが外付けオーディオインターフェースとの相性問題を抱えていればどうしようもない。
またEE PCのような低価格PCも明確に意識して小型軽量化・部品点数の削減をしており、Firewireポート削減もApple的には使用頻度が低下しているため、という認識に基づくそうだ。とはいいつつDVIを止めて同時発売の自社ディスプレイしか直接接続できないミニ・ディスプレイ・ポートに切り替えるなど、はいはいそうですか的な強引さでやってのけている。
一方、光沢あり液晶についてはプロフェッショナルユーザーから選択できない事も含めて圧倒的な不評を買っているそうで、「アップルはいまやコンピュータ業界のB&Oになってしまった。」という意見もあるそうな。いずれにせよAppleにとってオーディオはもはや視野にほとんど入っていないのかも知れない。
僕の場合は次のMacOS Snow Leopardで64ビット化されるときに、EFIが2.0にアップデートされて手持ちのMacBook ProにVista64ビットをインストールできるようになるかどうか、ブルーレイディスクが再生可能になるかどうかが、判断の分かれ目になると思う。もしそうなればSSDを組み込んで当分使えるだろう。
もしこれが実現できないようなら、Macに別れを告げ腹をくくってVista~Windows7マシンの製作を考えざるを得なくなるだろう。でもディスプレイとキーボも場所もとるし、電源も別箱で製作せざるを得ないだろうし面倒だなあ。あまり期待せずに、Apple一応がんばってね~。
('08.11.17)いろいろとあった充実した東京での週末。久しぶりに元気な友人達の顔を見ることが出来て、とても嬉しい。今日は朝からオカンを迎えに行き、また寝る。さて次の週末はオフ会だし、まあぼちぼちと。
('08.11.13)聞き専的ねんど4報告(その3)
でも。やっぱりNuendo4は凄いわ!
昨日から今日にかけてマニュアルを見ながら、メニューバー項目を絞ったりインスペクター表示を止めたり、トラックコントロールなどわかりやすいものからNuendo4の表示のカスタマイズをとりあえず開始したのですが、今日聞くとかなり情報量が高まってきて、奥行き感など空間表現もかなり凄くなっている。例えばムラーノ・セッションのタップの位置関係やかかとと爪先の音の違いなど手に取るように分かる。
ただ、OSのチューニングと一緒でやりすぎると細身で爪先立つ感じになっていくようで、今はとてもHiFi調だが盤によってはごく微妙に金っ気というかデジタル的な匂いも感じる。多分、いろいろやって聞きつつバランスを取っていかねばならないのだろう。
あとやっぱりファイルのサンプルレート変換(例:192KHz→96KHz)では、Nuendo4でさえMedia Monkey より良いとは言え、同レートのネイティブのファイルと比較すると微妙にニュアンスというかディテイルが鈍る感じがします。小伏さんやKentの言うように、DD変換はどっとお金をかける(dCS 972、974)か手間(WEISS Saracon)をかけんとあかん、という事のようです。
うむ、値打ちを認めるかどうかは人それぞれでしょうが、F1のエレクトロニクスのファームウエアをアップグレードした感じ、といったらいいでしょうか。ビョーキの僕はNuendo4値打ちあると思います。
※14~16日と東京行きなので、更新を休みます。
('08.11.12)聞き専的ねんど4報告(その2)
今日はオカンのいぬ間に少しだけカタツムリで確認した。
ほぼ同じ設定のCubase ST4 と Nuendo4 の再生音はやはりよく似ている。強いて言えば、Cubase ST4 の方が少し骨太い感じで、Nuendo4 は少しスリムな感じ。明朗闊達な弟と頭脳明晰な兄、でもやっぱり兄弟で血はつながっている、といった所でしょうか。
ただNuendo4のシンバルの切れ方などは尋常でない感じも漂わせているので、追い込んでいったら化けるのではないかという大きな期待を持っております。今日はハイレートのダウンロードファイル中心に聞いたので、よけいそう感じたのかも知れません。さて、これから、であります。
それにしても各種レートが入り乱れるのを切り替えて聞いていくのは、機器にとっても追従性が要求されるので、Fireface400は勿論、Stellavox
ST2 も96KHzまでですが、しぶとくちゃんとついてくるので、さすがと思いました。しかしプロジェクトファイルの立ち上げ方や切替方法などは、よく確認してやらないと不安定になったり、ノイズが出たりするので、各種ファイルをマスタリングしていくスタジオではこういう苦労をもっといろいろしているのだろうなあ、と思わざるを得ませんでした。
CDだけならシンプルなんですけどね。
皆さん、各地でご自分の流儀でPCオーディオをおやりのようで、環境やニーズやスキルによってそれぞれに取り組まれるのはまことに慶賀すべき事と想います。一番重要なのは多様性だと想いますので、その中から自分に必要なものを選択し、できるところから取り組んでいけば良いわけです。
マスタリング・エンジニア Bob Katz が"Bit Brain"という言葉を使っていましたが、速ければスペックが高ければ良いというわけではこの世界決してないので、最後は耳でちゃんと判断いたしましょう。
('08.11.10)聞き専的ねんど4報告(その1)
助力を得ながらCD/DVD再生環境が整いました。いやあ、ほっとして風邪がぶり返しかけましたが、週末は東京・船橋方面なので、気合い入れて体調戻します。
で、早速Nuendo4をRAMDriveにインストール。違うソフトというものの、インターフェースはCubase Studio4とほぼ同じなので両方とも同じ設定にして、とりあえずヘッドフォンだが聞き比べてみた。
ゼンハイザーは優秀で僕も使い慣れているから多分まちがいないと想うのだが、音質的には殆ど変わらない。
ここでNuendo、Cubaseのスペック比較をしておくと、
1.インポート・エクスポートのサンプリングレート Nuendo4:384KHzまで(レコーディングは192KHzまで)
(いわゆるサンプルレートは192KHzまでですが、384KHzのファイルを変換して192KHzにして取り込むことが出来ます。)
Cubase4 & ST4:96KHzまで
2.マルチ対応 Nuendo4:12chまで Cubase4:6chまで Cubase ST4: ステレオ2chまで
インターリーブ(誤り訂正符合の特性が十分に得られるようにデータを送る順序を並び替えること)したマルチソース、例えばDVDなども再生可能。
3.CDの読込・ストリーミング再生 Nuendo4、Cubase4 & ST4ともストリーミング再生可能
4.表示などのカスタマイズ Nuendo4:かなりいろいろとカスタマイズできる。 Cubase4 & ST4:表示はデフォルトのまま、ほとんど変更できない。
と言う事になります。
そこでオーディオ編集、CDマスタリングソフト「Wavelab6」の件も含めて、まずはヤマハに確認するのが先という事で電話してみました。
ヤマハさんの回答まとめ('08.11.10)
1.Nuendo、Cubase & STとも「3」シリーズからサウンドエンジンは同じものを使っている。Wavelab6では違うエンジンではあるが、同じくらいのレベルのものを使用している。音質の違いについてはコメントはいたしかねます。
2.インポート・エクスポートのサンプリングレート Wavelab6では384KHzまでインポート可能
3.CDの読込・ストリーミング再生 Wavelab6でも同様にストリーミング再生可能
4.マルチ対応 Wavelab6ではオーディオ最大同時出力数は8chまでだが、ドルビー5.1のようにインターリーブして1つのファイルにまとめたDVDなどは再生できない。素の状態でのwaveなど6chなどは書き出し・再生できる。
5.シリーズ3と4の違い プラグインなど機能的には変化はいろいろあるが、音声エンジンとしては基本的に同じもの。
整理しますと、コストパフォーマンス的には
1.ステレオしか聴かない人。
(1)96KHzあれば十分 → Cubase Studio4
(2)ハイレートも聞きたい → Wavelab6
2.マルチを聞きたい人
(1)96KHzあれば十分 → Cubase4
(2)ハイレートも聞きたい → wavなどのファイル再生だけならWavelab6、ディスク再生もしたいならNuendo4
という事になろうかと思います。(Wavelab6については使った経験がないので、音声エンジンが同等という前提での価格からの推定です。)
こうしてみると、Nuendo4とCubase4は音声エンジンも同じだし、また3シリーズから4シリーズへの変化も機能的にはあるものの音声エンジンは変わっていないらしいので、あまりカスタマイズしない人にはCubase4で十分だという事だと想います。機能の違いもあるので一概に言えませんが、Nuendoをフラッグシップとして特別にありがたがるものではないと思います。
「いや~、人柱は辛いね。」などと言いながら、
1.これでリファレンス・レコーディングのHRx(176.4KHz/24bit)や、Kent Poon のサンプルレコーディング(192KHz/24bit)をそのまま聞くことが出来る。(Kent の384KHz/24bitは192KHzへの変換になります。)
2.これで将来のPCMマルチ対応も何でも来いで余裕をもって出来る。
3.Nuendo4では表示などのカスタマイズを相当出来るので、余計な機能を殺して動作を軽くしていくことが出来る。(贅沢というか無駄というか......)OS環境のチューニングと同様の効果を期待。
ということでビョーキ系の人間としてはホクホクしておりまする。(笑)
ちょっと更新が滞っていたので、サービス(?)にパワータップの写真など。これはスイッチング電源のAntelope OCX に使用する予定で、常時通電するため電解コンデンサの交換などメンテ性にも配慮して、しかしコンパクトに詰め込んでいます。黄色いコンデンサはポリプロの Siderial Kaps と AuriCap で高周波対策です。出力側には余っていたBGを投入しています。
スイッチ・ヒューズ付き、第2世代出川式モジュール、CPMなどお約束はばっちりです。はてさて音はどうなりますでしょうか?
('08.11.6)"Design w Sound"Studio訪問記(2)
●Kentと話したことの中で一番印象深かったのは彼が音楽が好きで、そして「良い録音」への強い志向を持っている、という事です。
録音手法としてはワンポイントを基本にしているとのことで、師匠のBob Katzのヴォーカル、ギター、ベース、ドラムスを2本のマイクで録った録音も聞かせてもらいましたが、いや実に見事な空気感・距離感が感じられてそれでいてクリアに録れている、という魔法のような空間が目の前に出現しました。例えばバランス上離れて位置しているドラマーがバックコーラスで歌う声の存在感、柔らかいベースのドローン。
この日は校正に出しているためスタジオにはありませんでしたが、スチューダーのアナログデッキ(Studer A-820 ~76cm)を大切にし、"Good recordings are forever!"と50年代のアナログ録音などのすばらしさを熱心に語る彼からは音楽への深い愛情を感じることができました。そして48chのDSD &
192/24録音が出来る高価な Genex 9048 を導入するなど、これからの時代に対応していく強い意欲を感じます。
●彼の録音については改めて語る機会を設けたいと思います。またWEISSのDAC2については、ほどなく我が家に届きますので、そこで改めてご報告します。
●ここでは彼が語ったことを、オーディオ的Tips的に整理してみたいと思います。
1.彼は聴く側、つまり我々聞き専の側もこの10年ほどでかなり変わっていくだろうと考えています。彼はコンピューターを使うオーディオをCAS (Computer As Source) と読んでいますが、それはアメリカで言うComputer Audio、あるいは我々がいうPCオーディオと基本的には同じであると僕は理解しています。
また彼の場合はプロですからHDDを基準にして、CDもリッピングしています。CDドライブはPlextor Premiumです。
2.コンソールについては左側がデジタルのコントローラー類、右側がアナログのエフェクター類という事で左右に分けていて、アナログだけオフするというような使い方も出来るようになっています。
■"Crookwood Mastering Console"は優秀なADC・DACと操作性を持っており、それを中心に、エフェクター類を含めてデジタル信号的にはAES/EBUで取り回しています。興味深かったのはWEISSの"AFI1 Firewire to/from AES/EBU and ADAT Interface "の役割です。
■一方、Kentいわく「ずっとAES/EBUで各機器を接続していくと、どうしてもタイミングエラー=ジッターが増えてくる。Firewireを通すことにより、ここで一旦タイミングエラー=ジッターを断ち切ることができる。」とのことで、AFI1の役割には大きいものがあり、なるほどやはりコンピュータデータで伝送していくPCオーディオの効果はあるのだな、と実感しました。
3.「どこをとってもデータはいつも同じだが、タイミングはそうではない。Data is always the same, but timing is
not. 結局問題なのはタイミングエラー=ジッターだ。音質変化はそれによって起きる。」というのが彼の持論で、この点はもう少し話を聞きたいところでもあります。
4.「マイクは昔より悪くなってきているので、ちゃんと確保しておかなければならない。」というのが彼の意見でした。勿論用途により使い分けるわけです。
5.再生ソフトとしては彼はNuendo3も持っているのですが、実際にはSteinberg のWavelab6.0(Windows専用)を使っていました。
確かによく考えるとNuendo4より安いし、こちらの方が機能的には良かったような気もしますが(笑)。「CDイメージの読み込み」は可能とあるもののCDのストリーミング再生は出来るかどうか確認する必要があります。しかしWavelab6ならば384KHz対応でマルチにも対応できそうで、検討に値するかと思います。(ワタクシはネンド4を買ってしまったので、調べる気がまるでありません。どなたかよろしく、であります。)
6.アップサンプラーは何が一番良いだろうか?という質問への答え。
「ハードウエアで行う場合、dCS974はとても良いがAES/EBU入力の限界で24ビットまでしか展開できない。その点、ソフトウエア・デコーダーであるWEISSの「Saracon」は32ビットまで展開できるので、歪み・ノイズレベルも-180dBになり、dCSより40dBくらい低くなる。しかもPCMをDSD(DSDIF)に変換することも出来る。ただしデコードした後でなければ再生できないので、欠点はハードウエアと違いリアルタイムでは聞くことが出来ないことだ。」なるほどね。
To be continued.
('08.11.5)■Kentのブログで紹介されたWEISS DAC2 新バージョンのフロントパネル。44.1~192KHzのサンプリングレートが表示されるのがポイントで、Minervaにはこの機能はないそうです。でも入荷は遅れる見込みとのこと。まあ、マナコイっす。
■fireface400のドライバが更新されているが、まだCDの音が聞けず、もう少ししたらWEISSが来る(だろう)という状態では身が入らず「どーしよっかな~」状態です。現役の皆さんは各自チェックの上ちゃんと更新するよろし。これが最後の業務連絡かも。
■ハイエンドオーディオショウでいつも楽しみにしているディスク売り場。面白かったのはCDとともに、スタジオで1枚ずつ焼いたCD-Rを売っていたこと。といっても結局買ったのは、EXTONのSACDサンプラーを2枚。
■オーディオファイルの中でSACD志向みたいなものが少しずつ強くなっているのかも知れませんが、一方で新規タイトル数激減はご存じの通り。しかし録音製作の世界ではDSDは高音質収録の手法としてしっかりと根を下ろしています。例えば「DSD録音」もその一つで、とりあえずきっちりとDSDで録っておく。それをDXD
384KHz/32bit Floating など変換後に編集加工して、最終的にはCDで商品化する、などです。
この場合DSD録音したものがCDのベースになっており、ダウンコンバートやマスタリングのやり方にもよりますが、ダイレクトにPCM録音したものとはやはり音質的に違う可能性が高いのです。
■そしてもっとも楽しみなのは、現在はVAIO専用であるソニーのSonicStage Mastering Studioのようなソフトを一般のPCで使えるようになり、DSDファイルを直接再生できるようになれば、ダウンロードは無理でもDVDメディアなどでDSDスタジオマスターを提供するレーベルも増えるのではないか、と期待されることです。香港のKent Poonも「勿論それはちゃんと予定している。」と言っておりましたし、ワオン・レコードの小伏さんにも「考えておいてね。」とお願いしております。(SACDからDSDデジタルファイルを取り出すことは、超変態・劇ヤバの世界以外は不可能です。)
著作権管理や再生ソフトとファイル形式の問題がある場合ハイサンプリングのスタジオマスターでも勿論良いと思います。
■ま、しかし、ちゃんとセットアップされた10MHzクロックを使って聞くPCオーディオでのCD再生は、録音にもよりますが音楽を聴くのに十分なクオリティに達していると思いますので、当分はこれで楽しめば良いと思いますね。
('08.11.4)あり得ない音、虚実を行き来する感性
ハイエンドオーディオショウなどにいくとメーカーのブースなどで「あり得ない音」を結構耳にしたりします。昨日はとあるブースでヴァイオリンらしき音。でもジュンサイのような(あ、関西人しか分からん表現かも)、クラゲのような妙にぺったんことした粘っこい音。メーカーというか代理店の人に聞いてみると、イザイの「無伴奏ヴァイオリンソナタ」だという(溜息)。セッティングをしたこの人ヴァイオリンの音をよく知らないんだろうなあ、と思いました。でもさすがに高価な機器の出す音は、人工的ではあっても独特のハイテンションな「美しい」音で、「おお、これがハイエンドか~!」と思う人もおられると思います。
オーディオというのはそれぞれの「音楽的真実」を実現する手段であって、生音すらない音楽も含めて自分のイメージに合うように自分勝手に構築すればいいのですが、どっこい、ずっと一人では聞いていられない。誰かに聞いて欲しい、確認して認めて欲しい、そして(これが一番重要かも(笑))ここまで一生懸命やってるのを褒めて欲しい、という欲求がむくむくと湧いてきます。
問題は自分の出したい音楽と音のイメージをどれだけ持っているかですが、聞いたこともない音楽や音についてはそのイメージは当然頭の中のものに成らざるを得ません。で、言葉だけでそれをコミュニケートしようとしても伝わりにくいし、妙に押しつけがましくなるのですね。
ここでは「生音を知らなくちゃ駄目じゃん!」と言っている訳ではありません。虚実を知り、その間を行き来するのが人間でしょうから、何が虚で何が実であるかを「一応」知っていた方が良いのでは?、というだけです。虚に溺れたって良い訳です、それを真だと人に押しつけない限りは。例えばベーゼンドルファー・インペリアルは普通のグランドの88鍵より多く、例えば97鍵とかあります。これは、「共鳴用に低音弦が足されている」ためだそうです。(であればベーゼンドルファーのスピーカーが長い「響板」を持っていたことは、まさにその通りなわけです。)でもスタインウエイもヤマハもいい調律をしてしかるべき人が弾けばとても素晴らしいのはよくご存じの通りです。
ついでに言いますと僕は数学で虚数というのを知ってからその美しさにずっと惹かれています。あり得ない数、というのではなく、新たに補助線を引くだけで展開できる世界が広がることは素晴らしいではありませんか?だからヴィンテージの機器にしか伝えられないそれ自体が楽器のような音というのもあるわけです。要は経験を積んでいろんなものを美味しく味わえるように、目と耳をしっかりと開いておくことではないかと。そしてビルとビルの間をジャンプするのに一番必要なこと。「Free your mind.」
('08.11.3)今日は体調今ひとつでしたが、去年行ってないので頑張って「大阪ハイエンドオーディオショウ2008」に行ってきました。
皆さんのブログとavcatさんのAVニュースで既に「行った気になっていた」ので、関心のあるところだけざくっと。メインは久しぶりに傅信幸さんのセッション。で、驚いたことに「地元大阪のCDをかけます。良く響くところを聞いてください。」ということでワオン・レコードの「うつろな瞳」(WAONCD-090)をかけてくださった。見ると試聴リストにもちゃんと載っていました。
終わってからお話を伺うと何とこのHPを見て何枚か注文してくださったとのこと。いや、僕は全くの勝手連的個人的応援団ですが、オーディオベーシックなど各雑誌を含めて良いものを良いと評価してくださるのはとても嬉しいことです。ありがとうございます。<(_
_)>
実はこのCDは一時僕がコンサート関係の仕事をさせていただいた大阪天満のアートコートギャラリーで録音しており、あるオーボエ吹きのひとが「ここは笛吹の天国みたいな所ですね。ずっと吹いていたい。」と言ってくださったように、7mあまりの高さの円形の天井で響きが長くしかも美しい。リコーダー、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェンバロ/ヴァージナルという楽器構成にもまことにマッチしており、ワンポイントの明確な音場は試聴・オーディオチェック用にもいいと思います。ワオン・レコードはいま全品アマゾンで買えますから、是非どうぞ。
で、もう1枚最近の新譜、ラ・スフェラ・ムジカーレ「バロックな対話<Baroque Dialogues>」(WAONCD-110)にも実はぞっこん参ってます。「パーセルとかヘンデルとか歌曲なんでしょ~。難しそうで敷居高いなあ。」と思われる向きには一言だけ。「部屋の空気が変わりますよ~。」
オーディオ的には冒頭のソプラノとカウンターテナーの無伴奏デュオではじまる部分など、ぞくぞくするような空気感とテンションに溢れていて、チェンバロやバロック・チェロのソナタなど、歌曲以外の器楽も盛りだくさんですし、なによりも俗事をしばし忘れて雅(みやび)な雰囲気に浸りたかったら是非どうぞ。アマゾンで買えまっさかい、よろしゅうたのんまっせ~。
こうしてみるとつくづくと癒し系のレーベルですなあ。
('08.10.31)■Kentからの連絡ではどうやらWEISS DAC2 の新バージョンが我が家に届くのは再来週くらいになりそうです。
■「Weiss asia center」を自負するKentから教えてもらった情報をはじめDAC2/Minervaについて整理中です。盛大に横道にそれながら、ですが。(笑)
やはり最新のシリーズらしくMedeaやAFI1などこれまでの製品とはいくつかの点で違っているようで、改めてKentに聞かなければならない事もあります。ただ、メーカーサイトなどで公表されている事柄以上に我々のような個人サイト・ブログで不必要に踏み込んでいくことは好ましくないとも思うので、その辺も含めて確認をしていかなければならないと思っています。
■KentのスタジオでdCS974+954(DSD変換あり・AES/EBU接続)とDAC2(Firewire接続)を同一ソースで聞き比べた結果では、dCSらしく凄みのある音でしたが、エッジが効きすぎた感じで、Manleyモニターのタンノイのコーン紙がビリ付くような感じが出てきて、少しやかましいかな、という感じでした。一方、WEISSはずっとおとなしめですが、僕がKentに語った言葉で言うと「Clear
Water from Mountaion side」というような清冽な感触がありました。勿論、接続など細かい部分も違うようですし、DSD変換の有無もありますから一概には言えませんが、Kentによれば「dCSに比べても非常に良いレベルだ。価格を考えても凄く良い。」との事でした。
('08.10.30)ニック・ドレイクについては破滅的に早死にした人、というくらいしか知らないものの気にかかっていて、ベスト盤「A Treasury」がSACDハイブリッドで出ていたので注文した。
聴いた。
ほとんどささやくように歌う人だった。
でも彼が叫ばずにいるためにどれだけのエネルギーを無駄に費やしながら生きていたのか、なんでか切々とわかる気がした。
疲れただろうなあ。
柔らかく広がるギターの弦からは、吹き抜ける風と遠い焚き火の匂いがした。
涙が、こぼれた。
('08.10.28)さてオーディオ的には今回の香港での目玉はMr.Kent Poon の「Design w Sound」スタジオ訪問です。ここでネタ明かししますと、彼は2008年北京オリンピックの「Olympic Torch Song」のマスタリング・エンジニアです。(すみません、五輪に興味ないものでどのように使われたか分かりませんが、随所で使われたものと思います。)
歌ったのは100カ国以上の国から北京に集まってきたミス・ワールド参加者たちで、これは壮観だったろうと思います。
さて、彼自身から聞いた経歴をご紹介すると、カナダ在住時の高校時代16歳から録音関係の仕事に加わり、その後NYで著名マスタリング・エンジニア
Bob Katz の下で働くなどキャリアを積み、ご両親のおられる香港に戻って「Design w Sound」スタジオを立ち上げた、との事です。現在30代前半の少壮気鋭の躍進中マスタリング・エンジニアというわけです。
一方でハードウエアについての研鑽も積み、現在香港でのdCS機器のメンテナンスを担当し、またHPで見られるように各種業務用スタジオ機器の販売も取り扱っているわけです。香港の各方面と強いネットワークを持ち、さらにレコーディングにあたっては世界各国からジャズ・ミュージシャンを集めて自社レーベル制作を行い、現在3作目をリリース中です。それも192KHz/24bitファイル収録のDVDと1枚ずつスタジオマスターから焼いたCD-Rがセットされた「2 Discs Special Limited Edition and CD Version」だそうで、近日中にリリース予定です。
右の写真はスタジオのスペシャルメイド・コンソールです。設備リストはこちらの通りです。
とても居心地の良いスタジオで3時間以上いたのですが、ほとんど話ばかりしていまして、そりゃあ良い情報を沢山教えてくれました。いやあ、プロと話をするのは勉強になるもんです。それで来年秋の東京IASの際にはkentが我が家に遊びに来ることになりました。(^_^)
あ、もちろんWEISSのDAC2(Minerva)も聞かせてもらいました。良かったです。
で、あまりにいろいろありすぎて、またここまで書いても?ということもあるので、整理しながらボチボチと、あるいは他の所で書くかも知れません。(笑)
To be continued, stay tuned if you like it.
('08.10.23)明日から香港行き。結局円高なのでDAC2も結構安くつきそうだ。新バージョンではフロントパネルにサンプルレートを表示するLEDが追加されるそうで、もちろんその方が良いので、香港では旧バージョンを聞き、後で送ってもらうことになりそうだ。この途15年のサウンドエンジニアのスタジオはどんなものか、とても楽しみです。
※24~27日と香港行きで更新を休みます。
('08.10.22)もし世界が小さな村であったなら
「Phile-web コミュニティ 最新ニュース」が最近届くようなって、面白そうなのを拾い読みしてますが、今日のではビョークの新作シングルが出たニュースぐらいで、人は様々なんだなあ、皆発信したいし、情報をほしがっているのだなあ、と思うくらいです。個人で情報交換系サイトをやるのはそれはもう大変なので、営業上の圧力や、ネット上の人気取りのようなポピュリズムを廃して運営できるなら、こういう雑誌系などのサイトがあることは、読む人が判断して第1次情報=インフォメーションとして利用するにはいろんな意味で良いことだと思います。
まあ、それを整理してインテリジェンスとして集約して行くには、スキルとセンスと大局観が必要なので、さらに大変な労力が必要ですが、受け身で自分が欲しい情報がぴったりと提供されることなどあり得ないので、それは本来個々人がやるべきものでありましょう。
僕自身はこのHPでは整理した情報をある程度発信していくつもりですが、時間やエネルギー、煩わしさなどをいいわけにテキトーなところで納めておこうと思います。
僕は来月58歳になります。正直あと何年生きていけるか、音楽を聴けるかよく分かりませんが、全てを貫けるような原理や理論のようなものは無いらしい、智慧というものは沈黙と共にあるものだ、ということぐらいは分かってきました。
僕が今考えているのは、自分が信頼し共に心地よくいられる人達と過ごせる時間があればよい、という事だけです。所詮それは数十人で、数十人もあれば望外の幸せと言うべきでしょう。言葉は言葉であり、ネットはネットなので、世界は小さな村で良いとつくづく思います。
('08.10.21)「あんま簡単に僕らの話を信用しないようにね、いつも疑ってかかる精神は忘れずに。」
菊池成孔・大谷能生「東京大学のアルバート・アイラー」キーワード編にはこういう言葉が出てきます。彼らはきわめて真っ当な人達だとつくづく思いましたね。
(そういえば第2巻の表紙のK地氏の横顔が千葉の畏友K崎氏にクリソツなんですが、やっぱ超頭のいい人達ってこういう顔してるんでしょうね。)
■調性が確率されるバッハ以前の音楽と違って、平均率12音の世界は1.確立された「システム」により、2.ノイズを除去し可能な限りクリーンにし、3..世界各地に普及させよう、という近代西欧の強迫観念とともに発展していったわけで、「歴史編」はコンパクトながらその骨格を見事に展望していると思います。そう各論は世にいっぱいあるのですが、こういう「全体像」がほとんど論じられていないのですね。僕のような全体像マニアにはそれが非常に不満だったのですが、少し癒された気分です。
■読む前から「バークリー・メソッド」ってなんじゃろ?と思ってたのですが、要は「コードをふまえた音楽記述のシステム化」の方法だということが分かって、「な~んだ!」と思いましたが、それとモダンジャズ、特にビバップとの記述はな~るほど深いです。
■特にキーワード編の最後の「ラング・メソッドについて」ではラモーやツアルリーノなどが登場し和声理論の現状まで展開され、しかもブルーノートまで理論的裏打ちが試みられるなど、いやこれは凄いものに出くわしてしまいました。もちろん日本人である濱瀬元彦氏が堂々と展開するこの現代和声論も12音の機能和声理論の世界なのですが、思わぬ方へそれを延長することにより、いろいろなものが解明できます。ただし、「私は音楽理論はシステムだと思っています。システムはそれが有効な範囲と有効でなくなる領域を持ちます。システムの範囲内では真、でもその外側では偽となる本質を持っています。私の理論も同じです。」と実に冷静な規定をした上で、「表現者としての私」がこういう事を本に書いたりすることは「私という身体を通した、大げさに言えば、私の存在をかけて、音楽というものへの、その時点での構想力を提示したもの、と言う意味です。」と誠に潔いクリーンな認識を提示しておられる。いや、よく分からないところ多々ありますが、素晴らしいと感じました。
■中世のスコラ哲学では全ての学問は神学の召使いであり、音楽学はいかにこの世界が神の調和と栄光に満ちているかを証明する、一種の数学のようなものだったわけですが、これを読んで未だスコラ哲学者の野望は達成されていないことが良く理解できました。
■とはいえ全2巻としての不満はいくつかあります。講義の時間制約から仕方ないと思うものの、ある方が言っていたように西欧外についての記述が欠けていることがその一つです。たとえば非西欧ということであればインド音楽は1オクターブを72音で構成するのですが、そういう西欧という「枠」の外への視線がとても薄い。もちろんアフリカ音楽にも触れているので五音音階とか触れてはいるのですが、12音の限界との関係の記述はありません。
そして、それも含むもっと大きな不満は「12音」での「固定された音律の限界」、と言うものを明確に指摘していないことです。このあたりは「アヴァンギャルドな1日」に参加された方々には理解してもらってると思います。つまりはバークリーにせよ、モードにせよ、インプロヴァイゼーションにせよ、12音の範囲でしか書かれていない。
一方、調性が確率されるバッハ以前の音楽はまさに、1つの曲の中で同じ音を違った高さで「歌う」そういう音楽であるのです。「純正調」という言葉でそれがただ一つしかないと思っている方も多いと思いますが、実際にはピタゴラス純正率(三度がきつい響きになる事で有名)とかいくつもあるわけです。つまり12音を超える音数の「非固定あるいは半固定の音律」の世界がバッハ以前の西欧には長くあったわけです。その意味では現在の西欧音楽体系はたかだか300年あまりのごくローカルなものでしかありません。それがこのように大きなシェアを持ったということは資本主義における簿記会計と同じく、機能的な「記譜法」の存在が大きいと僕は考えています。
■僕は調性感の明確な音楽も好きですし、移動ド世代(!)として平均率が身体の中にしみ通っているのでその調和感も好きですが、一方で調性感の希薄な、またポリリズムのように同時並行的にイベントが発生していく音楽も非常に好きです。例えばバルトークのような、電化マイルスのような音を聞くと体中の血と肉が賦活されていくようなワクワク感を覚えます。
■ま、この本のおかげでマイルスについてもいくつか頭の中が整理できましたし、やっぱりオーネット・コールマンは凄いけれどもまとまった理論なんかはなさそうだな、という直感も裏打ちされたように思います。気になるのは東大講義シリーズの続きである「M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究 」だが、これは読まない事にしました。
せっかく全体イメージがつながったのだから、とりあえずあちこち、あれこれ聞くのがまず先決と言う事で、もっと身体でちゃんと受け止めて行きたいと思います。
('08.10.20)菊池成孔・大谷能生「東京大学のアルバート・アイラー」歴史編・キーワード編2巻を読み終わった。最終日の「ラング・メソッドについて」など「なるほど~!」という点もあり、全体としていまいち期待はずれの点もあったが、感想は改めて。
僕は普段音楽に対する本をほとんど読みません。それよりも聞くことの方が先だ、という事と、たいして重要でないエピソードなどに音楽体験のじゃまをされたくないからです。まあ、ライナーノーツを読むだけで相当な情報が入りますし、必要な場合調べればよい訳ですから。
とはいえ、こういう東大ジャズ講義録のような本は音楽に対する強い「思い」がなければ多分読まないだろうし、読み通せないでしょう。
問題はここです。「客観的に」オーディオや音質について語ることができる、と考えている人達はどんな音楽を本当に「愛して」いるのでしょうね?
で、オーディオに関して言えば僕は「音質」を意識して聞くのは、システムの何処かをさわって結果をチェックする場合ぐらいで、まずは表現者としてのアーティストが「どんな音楽」を表現しようとしているのか、いいかえれば音楽の構造や性質のようなものに真っ先に耳を傾けます。その中で、ああ美しい音だなあ、とか、こういう音になるのは録音に問題があるんじゃないか、などと「音」それ自体を追いかける場合もあるけれども、なんと言っても音楽です。
(アーティスト達がどれだけの努力でどれだけのものを捨ててまで表現を獲得していこうとしているか、それを知れば「レコード演奏家論」のような論議は音に自我肥大したオーマニ用の治療用作業仮説以上のものではない、と言うことが分かるでしょう。)
で、ご注意いただきたいのは、それが僕自身の中で完結している行為だからこそ、「言葉」を介在させずに済むわけで、人が聞いているとしたらそうは行かなくなる。
で、不十分な定義と曖昧なフレームのわりに大きな一般性を求めようとする「音質」論議には僕は正直うんざりしているわけです。人によって言葉の意味が違い、物理的にも異なる環境の中での「音質」についての言葉のやりとりはどれだけの意味を持ちうるのだろう。例えば住宅事情で大音量を出したくても出せない人や、ノイズの多い環境にいる人、部屋の制約がある人など、ひとによって関心事も大きく変わるだろうし、その文脈の中でしか概略であっても本質を把握することは難しいだろう。
誤解しないでいただきたいのは、僕は「言葉が無意味だ」と言っている訳ではない事です。勿論、個別環境での試聴報告などはそういう限定付きではありますが、十分意味のあることです。それはおおまかな音の傾向やベクトルを情報として伝えることができますし、そういう情報はとても有用です。しかし言葉だけで沢山の人の感覚を全て重ねあわせることは出来ないという限界をふまえたい、と言うことです。
にもかかわらず「言葉」でやっていくんだ!と言う場合には、お互い細心の注意と強い思いが必要でしょう。そしてそういう自身の思いを「語る」ことが必要でしょうし、そのうえでなければ成立しないコミュニケーションがあることを知るべきでしょう。時としてメタファーでしか伝わらないものがある事にも、思いを馳せるべきでしょう。音楽についてならそう語っても良いし、僕も語る気があるという事です。
('08.10.19)音楽性の評価に際して最も優先順位の低い項目は?、と聞かれたらどう答えるかという想定で書いてみました。
僕の場合、それははっきりしています。「言葉」です。
音楽評論が客観的なものだと考える人はいないと思います。ミスタッチをすれば何点とか言うわけにはいかないし、早く弾けば何ポイントとか言うわけにはいかないのと同じように。
翻ってオーディオ評論というのは確かに理論やスペックがあるのだけれども、それが決定的でないので所詮は客観的らしさを見せかけるためだけに使われる事も多い訳です。勿論、言葉による紹介がなければ全く知らない機器やメーカーについて知ることも出来ないわけで、その意味では言葉による評論の情報としての意味は大きいのですが。
しかし、全ての人の言葉が同じ意味ではあり得ないために、さらには最後は人間の官能・センスに依拠するため、言葉による評価は自ずと限界があります。それをはっきりと明示せずに展開しようとすることは、あまりにもナイーブであるか、あるいは知的・人間的怠慢でありましょう。
具体に言葉の例を少しだけ引きますと、「音楽性」とは「音楽」の性(さが)=基本的性質と展開できうるでしょう。あるいは、音楽が音楽たり得る何か、音楽がよって来たるところ、とか。しかし、これは「音楽」が何であるか定義されない限り、何も生みません。トートロジー=同義反復の繰り返し、いや「同義」ですらない世界です。
音楽についてもっとも大切なことは、おそらくその人を感動させる何かでしょう。ならば、それはその人自身を語るのと同じくらいの重い作業が、結局は必要になってきます。自分自身を開示する事なしに、こういうサンプルは集めることができません。仮に開示せずに十分有意な母集団になりうると思われるサンプル数を集めることができたとしても、その結果が有意であるかどうかは、サンプルに使われている言葉の定義の正確性との積であるより低い「確率」でしかあり得ません。全体が細部の総和でない以上に、それはあやふやな何かでしかないでしょう。
僕があるディスクについてなど音楽について書いていることは、不完全な言葉しかコミュニケーション方法のない世界で友人達に僕の「思い」を伝えるためであり、友人達がそれを聞いて何かを感じてくれたらそれで良い、という「思い」でやっているだけのことです。
オーディオするための建前でなく本当に音楽を必要としているのであれば、まずは裏表無く自分の思いを率直に出す。それしか良いコミュニケーションを始める機会は無いと思います。
('08.10.18)昨日の高周波コネクタとケーブルの記事が案外とあちこちで反響を呼んでいるようなので、念のための補足を。
え~、まずこういう問題についての原体験は「デジタル用」RCAジャックに音声用の25~30オームのジャックが当たり前に転用されている「なんちゃって75オーム」の問題です。我がAVの師匠や業界人の方との意見交換にはじまって、実際にWBTに交換してみるとこれは相当に音が変わります。勿論、材質や振動などの違いもあるとは思いますが、音場感や空気感的なものが大きな変化だったので、インピーも関与している可能性大ではないかと感じました、明確な根拠はありませんが。(笑)
ただ業界人の方もAVの師匠も口を揃えるようにギョーカイの安易さを強く批判していたのは印象的でした。ましてや業務用なら長さや数も半端ではないので、これは実体験に裏打ちされた言葉だと思います。
で、75と50も反射4%ならどうよ?という考え方もあるのですが、ここにあげた図はカナレ工業のカタログからの転載です。この「インピーダンス不整合の影響」のグラフを見ていただきたいのですが、75オームケーブルの両端に50オームBNCコネクタを付けると「リターンロスは、100MHを超えたあたりからこのようになり、もはや正確な信号伝送ができなくなります」とのことです。
まあ、フツーはこんなアホなことは絶対しないわけですが、少なくとも「合わせておいた方が無難そうだな~。」という判断は出来ると思います。
ということで「不確定要素や問題点を出来るだけ減らしていく」、という主旨で僕は「合わせることが出来るならインピーダンスは合わせた方が良い」と僕は考えているわけで、インピーダンス絶対超重要!と原理主義的に考えているわけではありません。
実際、WonderLink1の端子はM端子でこれにBNCまたはRCAアダプタを付けるのですが、このBNCアダプタもインピーダンス整合をとっていないタイプです。しかしながらメーカーがトータルでのマッチングをギャランティしているとのことと、あまりの音の良さと情報量の高さに現在もクロックケーブル(OCX->FF400)として使っています。
ついでながらFF400のRCA端子も怪しいのですが、あまりに高密度な造りでStellavoxのように交換するわけにも行かず、そのままにしています。FF400のクロック入力はハイインピーダンス受けなので、もともと影響が限られているのかも知れませんが。
一方、SC10->OCXは選べるので、SMA端子->RG142B/U->50オームBNC(アダプタ)というオール50オーム路線で行ってます。勿論、これは入出力側の機器の規格を確認しておく必要があります。
ようするにはじめから「何でもええがな」といういい加減なのが大嫌いであり、規格を理解したうえでの現実的対応をしていきたい、ということです。パーツについてはこういう細部の蓄積が最後には効いてくると言うのは、経験的には真実だと思っていますので。
ある時は「科学的」議論や根拠の追求、あるときは「気にせんでもええがな」の聴感えいやあ、というのははっきり言ってダブルスタンダードです。が、僕はこれは現実的な判断で、こういう判断が出来ることはむしろ健全なことだと思っています。ただし、その人がダブルスタンダードであることを明確に意識できて、かつできるだけ科学的に探求・検討したうえでの話ですが。つまり確信犯なら良かろうという、あ、これもダブルスタンダードかな。
('08.10.17)■お役立ち情報を一つ。高周波というとBNCというイメージが強いが、50オームも含めると実際には随分多くのコネクターがある。しかもそれぞれ扱える周波数範囲が違う。ほんとうにケーブル関係なら何でも揃っている米L-Comに「Connector Interface Frequency Chart」という一目見て分かる良いチャートがあったので拝借して再掲させてもらいます。 Thank you in advance.
これをご覧になると、何故ワタクシがクロックケーブルにSMAを使う事にこだわっているか、ご理解いただけるでしょう。まあ、気休めのプラセボかも知れませんが。(笑)
■先日Antelope OCX のリアパネルを見ていて、面白いことに気づいた。Atomic 10MHz入出力のBNCジャックが中心導体の周りに白い樹脂が厚めに50オーム仕様っぽい感じなのだ。ひょっとしてアダプタによく見られるインピーダンス整合を取っていない兼用型かも知れない(WC出力はすべて75オーム)。内部の回路では特に抵抗を経る事無くチップに入っていたし、あるところで測定した話も実際には75でも50でも対応出来ると言う話だったので兼用型かも知れない。ならば10MHzクロックの出力インピーダンスに合わせてケーブルは選択すべきだろう。ということでワタクシはSC10からは50オームSMAケーブルを使っている。少なくともOCXの10MHz入力ジャックまではVSWRでの反射は発生しないはずだ。
市販ケーブルのインピーダンス・規格がいい加減なものが多いからと言ってインピーダンス関係なしに聞いてみるなど、遊びは遊びで良いのですが規格という基本を押さえていかないと、結局はどこかでそのいい加減さのしっぺ返しを食らうことになります。
('08.10.16)
どうもクロックの供給方式とその違いがよく理解されていないようなので、チャートを作りました。やれやれ。
まあ、気が向けば説明は「PCオーディオあれこれ」のページなどで後から加えます。とりあえずはじっくりとにらんでください。
(単純化のためアップサンプリングは勿論オーバーサンプリングにも触れていませんし、EMMはCD信号を変換していますが、あくまで概念図なのでそこんとこよろしくお願いいたします。)
赤い線:クロックまたはクロックの供給元・供給先
青い線:クロック上で展開されたPCM音楽データ
緑の線:クロックを使って読み出し・伝送・演算はするけれども、クロック上で展開されていない静的なコンピュータデータ
最近は殆どのDACでアップサンプリング、ASRCするし、チップの性能が上がって簡単にDD変換してしまうので、オーマニはスペックの周波数に麻痺して「システムクロックは一つ」しかない、ということを忘れています。
ワタクシが今取り組んでいるのは、基本に還ってCD再生のシステムクロック44.1KHzをきっちりと再現していく方向です。
('08.10.15)ヤマモッさんが関西でのお仕事で更新がないため、勝手に代打ちでとりあえず新しいMacBook Pro の話題。MacBook がアルミ削り出しになったとか、ボディの堅牢性はどちらも向上しているようだ。メモリは4GBまでで変わらず。グラフィックのメモリは大きくなりつつあるので、次のMac
OS ではこれも使える可能性大。SSD(128GB)がオプションでついたのは今後に期待大。もちろんVista64bitはギャランティされているはず。
問題は拡張性で、これまでFirewire400と800の2つあった1394ポートが800の1個に減っている。これでeSATA端子でもあれば納得なんだが他はUSB2個とGbit LAN1個で、どうも「手堅く」「余分」なものを減らして基本スペックを上げ、コストアップを抑えたという感じが濃い。(この辺りはCDドライブとHDDを同時にFirewireで接続しておきたい、というワタクシの個人的事情が噛んでおりますので、ExpressCardとFirewire800で2個あればOK、と言う人はセーフです。)
液晶もiMacと同じくクリアワイドスクリーンで、これは過去のものと違い光沢があって見た目は綺麗だが写り込みが多い。
それと僕らRMEユーザーからすると最大の問題は、2007年後期製以降のiMac・MacBook Proで問題となっている、オーディオインターフェースとの不適合性だ。これは使用実例を待つほかない。諸卿の情報収集結果に期待します。
オーディオ的には現段階の印象では、総じて過去のモデルの価値が仕様によっては以前より少し上がったのもしれない。64bit対応を除けば、ですが。
('08.10.14)昨夜ドルが反発する前に、米Eminentに送金しました。以前から引き合いをかけていたトーンアームmodel2 を model2.5にバージョンアップするためのより太いエアーベアリングアッセンブリー(写真右下は直出しのケーブル)と、カーボンファイバー/アルミ/テフロン製の新型アームパイプを注文するためです。エアーフロート用のポンプはとりあえず現行品でいける仕様で依頼しています。
限定少数量の販売のため、今後のことも考えてアーム本体を買う事も検討しましたが、大暴落でお金もないしデッドストックしてても仕方ないので、必要最低限に絞りました。第一あと20年経って手放しても、誰も使いこなせないだろうしね。(笑)
これがアナログ改善の隠し球その1です。といっても届くのに1月近くかかるし、来月22日にはオフ会があるので、それが済んでからアサヒステレオセンターさんに交換を依頼するつもりです。
何でかって?最終スイートスポットに落ち着くまでには、LPを取っ替え引っ替えして聞いて調整に軽く一月近くはかかるからです。ワタクシの場合でもね。
隠し球その2はフォノイコ電源のコンデンサー交換。外装フィルムも剥がしたり、あの手この手で。
('08.10.13)■toku1209さんがKENWOOD KP-9010とオルトフォンMC-3000でアナログ導入を果たされた。とても現実的で良いセレクションだと思います。これくらいから少しずつ経験を積み重ねていけば、手堅くノウハウが蓄積されるはずです。
特にアナログでは大小のパーツもいろいろと必要になるので、先日「音と戯れる会」掲示板のなかに「アナログ支援隊」という仕組みを作らせてもらいました。使いこなしや、パーツで何かあれば、誰か会員が答えていくというもので、何十人もいれば誰かが手をさしのべてくれるものだし、そのための団体でもあるわけです。
■畏友・小伏さんが主宰するWAON RECORD のCDが全品アマゾンで扱われることとなった。良質なワンポイント録音のラインナップが全国どこからでも入手できるのは本当に素晴らしいことだと思う。
オーマニの皆さんもカタログから好きな内容のものを選ばれて、チェック用として1枚持っておられてもいいと思います。システムが良くなってくるにつれ、「なるほど!」という良さが分かります。
■香港のオーディオショップから連絡があって、もともと業務用機器のショップでオーナーも録音エンジニアなので「当日はスタジオでdCSと比較して聞いてもらうようセットしておきます。」とのこと。うむ、どうなりますか期待大。WEISSのDAC2にも新バージョンが出るらしい。こちらも楽しみだ。
('08.10.12)5日間BS2でオンエアされた東京JAZZ2008の録画を編集する。D.サンボーンなんかは聞き始めは良いが吹きっぱなしで変化が少なくすぐに飽きるし、ロン・カーターもぴんと来ない。Fourplayは案外と良かったし、リシャール・ガリアーノもバンドはそんなに面白くはないが、アコーディオンのソロ(自作「Aria」~LiberTango)は圧巻。日野皓正クインテットもハードっぽい感じで素敵だった。活躍が目立ったのは上原ひろみ。これまでも若手の中では僕的にはダントツの一押しだったが、タップダンサーの熊谷和徳との30分近い「ラプソディー・イン・ブルー」や自らのトリオがとても良かった。そう、僕はテンションの高い音楽が好きだし、ややこしい音楽が好きなのだ。
ということで僕なりのセレクションでDVD2枚を焼く。勿論、音声は48KHz/24bit LPCM。
今晩はドビュッシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」がオンエアされる。やはり映像がないとイメージが湧かないし、ストーリーも身体に入ってこないので、特にこういうマイナーなのはとても有り難い。
('08.10.11)【インターフェースあれこれ】
マーケットウオッチングの傍ら、各サイト・ブログのIAS報告などを読んで楽しんでました。
■PCオーディオがらみの傾向としては、USB接続端子を備えたりiPod接続のDACなどが見られたのが面白く、LAN(RJ-45)接続については「おお!」というのもありました。
まあPCオーディオはフツーのオーディオと違って「つなげば終わり」でないのがスキルの見せ所で面白いところでもあり、あまりスキルのない人には敷居の高いところです。コンシュマー用としてはシンプルなインターフェースでないと普及しないし、ハード的にもこれからだと思います。
■SATAはコンピュータ側の外部機器との接続規格として、CD・HDDドライブなどに幅広く使われていくと思います。オーディオ用としての使いこなしにも興味が持たれます。
■録音製作でのデジタル・オーディオ・インターフェースについては、業界的にはADATなどからFirewire400(1394a)に業界標準が実質的に移行して現在も1394aが主力ですし、当分の間そうだと思われます。一定のバス帯域幅を確保できるアイソクロナスモードのメリットも大で、保守的な業界ですからコンシュマー側のフォーマット・チャンネル数などの飛躍的向上・変化がない限り簡単には変わらないでしょう。
■個人的には1394aにかわる高速インターフェースとしてMADIに強い関心を持っていますが、これは受けの機器がぐっと高価というか超ビョーキの世界になるので変態見習いのワタクシとしても手が出ません。(笑)
ということでExpressCard34も出たRMEのPCI Expressインターフェース(Firewireコントローラーを介さないRME独自のハイスピード・シリアルオーディオ・データバス。PCI Expressの2.5Gbpsのラインスピードに対応。)がワタクシ的には実質的な関心の的です。といってもマルチ再生もやりたいのでマルチ対応DACの音の良いモノが必要だし、まあWEISSの音を聞いてからぼちぼちと考えます。お金もないしね、はい。
('08.10.7)■半年ぶりの沈黙を破った任三郎さんが言われるように、東京インターナショナルオーディオショーも「世の中の経済情勢からすると、このような贅沢なかたちで今後も続くとは限らないなどと思って、今年は3日間皆勤賞でした。ま、行けるうちに行っとこう、と。(笑)」というのは、本当だと思います。
(あ~VIVID audio 「G1 GIYA(ギヤ)」の「背面に消音装置の付いたツイーターユニット」はノーチラスと同じ形であります。パテントはどうなってるのかしらん?ま、いっか。)
僕も経済情勢のおかげで当分な~んも出来ないものの、大阪ハイエンドオーディオショウには行っとこうと思っとります。誰かとお会いできればいいですね。
■もうほとぼりもさめたと思いますので。(笑)先月発売の「オーディオベーシック」秋号(p234~235)から「グローバルに楽しみましょか?~オーディオファイルのための海外サイト活用術」という見開きのページに連載がはじまっております。
以前このページを見られた方から海外通販の購入法についてお問い合わせのメールを戴きましたが、とてもメールでお答えできるようなボリュームではなく、お断りしました。そういう事もあり情報収集や通販について書かせていただきました。身が引き締まる思いです。
といいながら実際の体型は相変わらずのブヨブヨ系ですが(爆)、ぼちぼち行きたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。<(_ _)>
('08.10.6)合間にブルックナー7番の聞き比べ。エテルナ盤LP(K.マズア/ライプツイッヒ)は一部に音がよいとされているが、東独(民主共和国)製だけあって設備の問題があるのか、コンバスなど低域のレンジやエネルギー的にもどかしいところ大。まあ、マイクが少ないのでスッキリしていて、そのあたりが良さか。独DGG盤LP(ヨッフム/ベルリン)はエテルナ盤よりもレンジも広く音的にはずっと良いが、演奏がゴツゴツしていて透明感には欠ける。米ノンサッチ盤LP(シューリヒト/ハーグフィル)は盤が盤だけに音質的に聞く気にならず、まあ一応参加という程度。テスタメントあたりで再発してくれないかしら。
G.ヴァントのはケルン響とのLPを買い損ねているので、TEACが販売していたベルリンとのSACD盤。結局これがこの曲の透明感とスケールを一番良く出していて当選。でもLPも欲しいから引き続き探そう。BS放送で録画し損ねたアバド/ルツエルンも透明感が素晴らしかった。
オケはやはりエネルギー感を備えながら低域がちゃんとうごめいて「見える」感じが、僕は好きだ。オーディオも楽しいが、もっとちゃんと聞いて手持ちの盤の整理をしていきたい。
('08.10.5)明日から5日間東京ジャズの放送もあるので、仕事の傍らBS録画の整理もしたが、結構手間がかかる。「クレメラータ・バルティカ」は素晴らしい。「パシフィカ・カルテット」という新しめの団体のメンデルスゾーン、とリゲティを聞いたがどちらも素敵で、才能ある人がどんどん出てくるなあ、と言う感じだ。
今夜はアバド/グスタフ・マーラー・ユーゲントorchのマーラー9番もオン・エアされる。
若い人達と話して気づくのは、いろいろあるんだろうが、コンサート体験やライブ体験が少ない人が結構多いことだ。例えばホールの空気感などと言ってもぴんと来ない人もいる。いろんな音の響きや反響がその差のビート(うなり)を生み、それがまたさらに響きを生み出す。
以前サーロジックのスーパーウーファーを使っていたが、そのオンオフでヴァイオリン・ソロのCDの音が明らかに変わる。それは、こういうふうにそのハコつまりホールの響きや空気が動いているからだ。こういう響きはエアボリュームに大きく依存するので、リスニングルームで完全な再生は難しいが、CDにはちゃんと入っている。それを聴きに行かないのは、まことに、まことに勿体ないと思うのであります。
ジャズのライブでできればドラムのそばに座ってみましょう、ちょっとやかましいけれど。シャーンというディスパージョンの音ばかり追いかけないで、シンバルの肉厚の金属板の音がどんなものか、味わってみましょう。ウッドベースとエレべーの音の違いも吟味しましょう。ピアノの1音がどんな複雑な響き(響版、隣接する弦、ボディなど)から成り立っているか、耳をすませましょう。
知識やデータも大事ですが、音を出すときに一番問われるのはその人の思いと、センスと、そして経験値です。
('08.10.4)高校生の頃、友人に作ってもらった高一(1年生ではなく、高周波一段増幅)AMラジオにFMトランジスタラジオの出力をつないで、段ボールボックスに入れたパイオニアのロクハン(6.5インチ=16cm径スピーカー)で聞いていた。《最近注釈は付けない主義なんですけど、このあたりは約40年前と古すぎて.....(笑)》
コルトレーンにはまったのもその頃で、当時はビンボーだったのでいつか生を聴きに行けるかなあ、と思っていたら勝手に死んでしまって、マッコイ・タイナーなんかが来日追悼コンサートをやってたっけ。その頃に聞いてぶったまげたのがマイルスの「アット・フィルモア」。「フライデイ・マイルス」なんか当時はグシャグシャの塊にしか聞こえず、こんなん聞けるかー、と思ったもんだった。
そして今、カタツムリでLPを聞いてみると全然グシャグシャじゃなくて、パーカッションなど生々しくディテイルもよく見えて、むしろ低域辺りが少し心許なくさえ感じられる。うちの盤はオール1Aのオリジナルなので、一応再生バランスの問題とかんがえておこう。(実際、オンマイクで生々しさを求めすぎて低域がエネルギー的に薄くなっている録音を、スピーカーやアンプでいろいろ音を付加してらしき感じを出す、というのはヴィンテージのバランスとりの王道です。)
ロックもそうなんだが、まあこの辺も情報量を犠牲にする事なく、エネルギー感をもっと引き出すという課題の一つ。音量ではなくて、浸透してくる力感の事です。フォノイコの電源など方策は見当が付いているし、アームの部品もアメリカに発注するつもりだ。イメージもむくむくといろいろ湧いているので、形になっていくだろう。
でも今はこの音を楽しむ。
WEISSのDAC2といい、Eminentといい、経済情勢から見ると何とか間に合った感じだ。昔から僕はこういう運はある方だと思っているが、過信しないように選択と集中を進めよう。なんとなく考えていた寝室のサブシステムは止める事にした。
前から言ってますが、皆さんも欲しいモノがあれば今のうちに買っておかないと10年後はどうなっている分からんですよ。
('08.10.2)■欲しくて欲しくてずっと探し続けていたCDを東京の友人が見つけて送って下さった。F.クープラン「ルソン・ド・テネブレ」(ジェラール・レーヌ&イル・セミナリオ・ムジカーレ 仏ハーモニック)。コピーは録っていただいてたのだが、こうして実物を手に取ってみると感無量だ。本当にありがとうございます。CDを再生できるようになったらまずこれをかけたい。ああ、有り難い。
■先日パワーアンプについて聞かれたんですが、例えばウチはカタツムリを鳴らすのにパワーアンプが8個いるんですよね。ネイティブ・オーサカン語ではこれを「ハッコ」と読みます。高橋さんをタカハッさん、山本さんをヤマモッさんと呼ぶようなもんですな。かく大阪では軽快に物事が進むのであります。(ホンマかいな?)
なにはともあれパワーアンプがハッコですから、もし改造とか変更とか自分でするとなると同じ事をハッカイ(8回)しなければなりません。おまけにユニットを飛ばしたりしたら概ね百万仕事です。
なのでワタクシはパワーアンプはメーカー製「出来合」で行きたいのですね。でも Jeff なんぞは温度感が低すぎて駄目。クレルやリンなんぞのAV用には食指が動かんし。で、当分はマラプロっす。見ばは悪いしペコペコで安もんくさいけど、もうディスコンなんで言ってもしゃーないけど、こいつはなかなかのもんっすよ。でんがな、まんがな。
■FF400なんかの「再生バッファサイズ」ですが、レイテンシを下げるために小さくすれば良い、と言うもんでもないと思います。これは一定の環境というか「器」の中でレイテンシと安定性のどちらを優先するか、というトレードオフの関係にあります。
で、過去さんざっぱらやったのですが、バッファサイズを小さくしていくとより精細感は出てくるのですが、中低域が細って行き、だんだんと爪先立っているような感じになります。一般的には高域がシャープになると解像度が上がったように聴こえる傾向があるので、そういう音が好きな人はそれで良い訳ですが、肝心の美味しい響きやホールの空気感みたいなものが削がれるのは誠に勿体なく、少なくとも「これだけ小さい値で行けてる!」と言うほどのものではないと思います。で、結局ウチの場合はデフォルトか、そのすぐ下ぐらいにとどめておくようになりました。
一方、WindowsなどOS環境のチューニングは不要なプロセスを減らして、実質的なメモリ容量=実効的なマシンパワーを上げていくわけですから、トータルの「器」が大きくなるわけで、これは全帯域的なスピード感など全体的に効いてきます。むしろこちらに注力する方がトータルでずっと効果的ではないかと僕は考えます。
('08.9.30)Nuendo4のインストールとか、来月にはWEISS DAC2 を持って帰れるだろう、とかいう今後の大きな変化が控えていることもあるが、今は半田ごてを握る気すら起きず、ひたすら音楽を聴きたい。一つ修理が終わればCDの再生も出来るし、もう音楽には十分な音が出せることが分かっているからだ。
もちろんいじるカ所はあるし、それなりに変化はあると思うのだが、それも今はどちらでも良い。本音はオーディオ界の人間の世界に倦んだ、というのが正直な所です。出会いたいと思っている智慧にはほとんど出会えそうもないしね。皆さんお忙しそうなことで結構なんですが、僕はここしばらくは港に停泊し海と空と太陽をながめつすがめつしたいと思います。
それにマーケットもまたぞろ風雲急を告げているしね。さて明日からは10月だ。
('08.9.29)【アヴァンギャルドな1日】(4)
当日のディスクリスト。コンセプトなどと併せ読んでいただくとよく分かるかと。
【作曲者/曲名「全曲名」/演奏者/レーベルなど】CDと表記したもの以外は全てLPです。
■F.モンポウ(1893-1987) レント「ムジカ・カラーダ(秘やかな音楽)」 H.ヘンク(p) 独ECM 重なる鐘のように透徹したピアノの響き。透明な時間のレイヤー。
■T.タリス(1505-1585) イントロイトス(入祭唱)「ミサ・プエル・ナトゥス・エスト」 オクセンフォード・クラークス 仏カリオペ 冒頭のグレゴリオ聖歌の部分。幾重ものエコーの中に広がる教会旋法の響き。
■ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098-1179) アヴェ・ジェネローザ「セクエンツァと賛歌」 ゴシック・ヴォイス 英ハイペリオン 高く跳躍する単旋律の声と深い思い。神への恋歌。
■ペロティヌス(ペロタン)(12世紀末~13世紀はじめ) 4声のオルガヌム「ペロタンとノートルダム学派の音楽 1160-1245」 アンサンブル・ジル・バンショワ 仏ambroisie(CD) 長く引き延ばされた旋律と独特のリズム、カテドラルを満たす多声の響き。まさに12世紀のアヴァンギャルド。
■マッテオ・ダ・ペルージャ グローリア(ロゼッタ)「ミサ・カンティレーナ(1380-1410)」 ペドロ・メメルスドルフ&マーラ・プニカ 仏エラート(CD) ロバート・クラフトが「ヴェーベルンは15世紀のポリフォニー作曲家マッテオ・ダ・ペルージャの弟子だ。」と書いた中世イタリアの複雑なリズムと恐ろしく洗練された繊細な音楽。「14世紀のアヴァンギャルド」
■ピエール・ド・ラリュー(1460-1518) イントロイトス(入祭唱)「レクイエム」 アルス・ノヴァ デンマーク・コントラプンクト(CD) いまだ全貌がわからない盛期フランドル学派の大作曲家。川の流れのようにゆったりとひろがる美しい純正調の響き。
■ウイリアム・バード(1543-1623) 3声・4声のミサ「3つのミサ曲」 タリス・スコラーズ 英ギメル 激動の時代・死と隣り合わせながら、平明で素晴らしく美しい作品を作り続けた天才。
■ヘンリー・パーセル(1659-1695) 束の間の音楽music for a while「歌曲とエレジー集」 ルネ・ヤーコブス他 ベルギー・アクサン レチタティーヴォのように自由な歌とシンプルな伴奏の生み出す美しさ。ヤーコブスの声と相まって異様な表現力。
■ヴィヴァルディ(1678-1741) 冬「四季」 G.カルミニョーラ/ヴェニス・バロック・オーケストラ ソニークラシカル(CD)
バロックは当時もっと前衛的な音楽だった、と最近見直しが進んでいるヴィヴァルディ。過激なこと最右翼の演奏。ディス・イズ・ア・バ-ロック。
■シェーンベルク(1874-1951) 「浄められた夜」 P.ブレーズ/NYフィル 蘭CBS
■ベルク(1885-1935) 「叙情組曲」 P.ブレーズ/NYフィル 蘭CBS 若きブレーズの熱い演奏。美しい。もはや古典。
■ストラヴィンスキー(1882-1971) 「ペトルーシュカからの3楽章」 M.ポリーニ(p) 爽快なまでの切れの良さ。多分ポリーニ最高の快演。
■G.リゲティ(1923-2006) ムジカ・リチェルカータ(アコーディオン版・M.ボネイ編曲) M.ボネイ ワーナーTELDEC(CD)
〃 〃 (原曲ピアノ版) P.L.エマール ソニークラシカル(CD)
たった一つの音から12音まで自在に展開されるエスプリと透徹した響き。快作快演。
■E.ショーソン(1855-1899) シチリアーノ「ヴァイオリンとピアノと弦楽四重奏のための協奏曲」 ル・ミュジシャン 仏ハルモニアムンディ 故郷を遠く離れたラテン系の人を泣かせる曲?
■C.ドビュッシー(1862-1918) 「美しい夕暮れ」 スゼー&ボールドウイン ビロードの声のバリトンと美しいフランス語。
■C.ドビュッシー(1862-1918) アンダンティーノ(第3楽章)「弦楽四重奏」 ヴィア・ノヴァ四重奏団 仏エラート 柔らかく親密でデリケートな音楽。これでフランス人も泣いてくれんかな?
■ビョーク 「メダラ」(SACDマルチ)
■八重山古謡 鷺の鳥~殿様節「失われた海への挽歌」 嘉手刈林昌 テイチクエンタテイメント 沖縄民謡の第一人者。なんという凛とした背筋の伸びた歌であることか。
時間の関係でかけられなかった曲
□M.デイヴィス ファラオズ・ダンス「ビッチェズ・ブリュー」 米CBS
□E.ドルフィー ユー・ドント・ノウ・ワット・ラヴ・イズ「ラスト・デイト」 米ライムライト
□J.コルトレーン マイ・フェイヴァリット・シングズ「アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン」 米インパルス
□セシル・テイラー 「グレート・パリ・コンサート」 米ゲットバック
□ジェスロ・タル 「シック・アズ・ア・ブリック」 米クリサリス
□G.リゲティ ラミフィカシオン
□A.ヴェーベルン 「弦楽四重奏のための5つの楽章」 アルバン・ベルク・カルテット 独テレフンケン
□O.メシアン 「鳥のカタログ」 仏アデ
□その他 アイルランド音楽、インド音楽など
('08.9.28)Windowsで「Remote Procedure Call」が突然終了してiMacが勝手に再起動するトラブルで結局昼過ぎまでつぶれてしまった。気を取り直して音楽でも聴く。最近現代曲を中心にたまっていたLPを片っ端から聞いており、合間にSACDをかけるという具合だ。P.ブレーズの「ル・マルトー・サン・メートル」(ブレーズ他、独HM/LP)など演奏も音も素晴らしい。これはデモディスクとしても使えるくらい生々しい音。
CDだがHMVから届いた「サティ/ピアノ作品集」(アンヌ・ケフェレック VirginClassics)が素晴らしい。いままでバルビゼ、チッコリーニ、高橋アキなど聞いてきたが、どれもちょっとばかりもどかしく、決め手に欠ける気がしていた。ケフェレックのは実に見事なテンポで思い切りよく緩急自在に、しかもフランス的な色彩感覚も瑞々しくて美しい。元々EMIの録音をVirginが買い取って廉価版で出しているので2枚組で\1,291(3枚以上のマルチバイ)と実にお安いので、是非1家に1枚。というかここで買っておかないと多分次はない。
結構建築的な曲もあってこんな曲も書いていたのか、と思わされるし、「家具の音楽」と標榜していた割には随分と耳を引きつける音楽だな、と思う。2枚目がジムノペディ、グノシェンヌなど有名曲が入っているので、ここから聞き始めるとよいかも。「ジュ・トゥ・ヴー(お前が欲しい)」などボードビル音楽の傍らゆっくりと口説いているようで実に面白く、しかし、そこはかとなき悲しさも漂う。
('08.9.27)たまっていたBS録画の整理などしながら、番組表を見ていると何と来月12日のNHK BS2でドビュッシー「ペレアスとメリザンド」がオンエアされるのが分かった。ずっと待っていたので、本当に嬉しい。東京ジャズも5晩にわたって放映される。これまた嬉しい。気合いを入れてレコーダーのHDDのスペース造りをしよう。いっときDVD-RAMにうまくムーブできなくてひやっとしたが、何とかクリアできて良かった。今や貴重なBSアナログチューナー付きのレコーダーなので、何とか放送廃止の2011年まで動いてもらわなければならないからね。
LPやSACDも聞く。エリック・ドルフィーやルトスワフスキとかいろいろだが、現代曲は一種のエネルギー賦活剤でとても面白い。でも例えば懐かしいペイジズとか、そうディーリアスのピアノ協奏曲の2楽章など心のささくれを癒してくれるようだ。ウチナーグチで言えば「ぬちぐすい(命の薬)」かな。
('08.9.26)■早速Nuendo4のインプレ?と思われた方もおられるかも知れませんが、ちょっと支障が生じて治るまでの間CDは聞けなくなりました。まあ、本人はLPやSACDなど聞くものはたくさんあるのですが、やはり残念です。日頃の心がけが足りないのでしょうか?グス.........。
■質問があったので、Cubase/Nuendoで扱えるファイルについて。LINNなどが出しているWMA(Windows Media Audio)はインポート可能です。ただし、そのまま再生するのではなくWAVに変換してから再生します。これらDAWソフトではWindowsではWAV、MacではAIFFが標準なのでこれに変換してから編集加工しますので、今後FLACに対応したとしてもWAV変換になるのは間違いありません。
うちの場合はMediaMonkeyでFLACをWAVに変換していますが、サイズも倍近くなるので注意が必要です。
■DSなどのDLNSの問題点は
1.現在のPC/MacではGBit(ギガビット)LANがポートとしての標準で、ノイズ面で不安がある。
2.LANはアースが全部つながってしまうので、ケースによっては注意が必要。
3.ハブ、NAS、ルータなど機器数が増えてしまい、その機器のクオリティや電源の質など、音質に対して影響を与えるファクターが増加する。
などが挙げられます。
それぞれに100Base-TXポートを使う(ノートの場合はほぼ交換不可)、メディコンでアースを切る(メディコンそのもののクオリティや電源などの質が音質に対するファクターとして増える。以下同文.....)、それぞれの機器を比較試聴するなど吟味して、それらに対する良質な電源装置&ケーブルを別途用意する、などといった対応が挙げられますが、かなりの力業なので、基本的にはやはり気軽に音楽を聴きたい人向き、と言えるかと思います。
■LINNのDSが提案しているのは、現在オーディオ界で起こっている地殻変動への先進的な対応の一つなのだが、著作権対応後進国・日本のジャーナリズムも個々のメーカーや個人のサイトもほとんどそれを理解していない。読んでるあなたも何のことを言っているのか詳しくは分かってませんよね?
ま、いずれにせよ、PCと音楽がようやく同じ土俵の上に上がるわけだから、わしらの出番もちょっとは回ってきそうだ。年はとっててもやってることは若い?からね。(爆)
('08.9.25)■今日Nuendo4が到着。オカンがまだいるので明日からインストールする。
CubaseとNuendoの違いは
1.「オーディオエンジンは基本同じ」と言われている。(「バージョン3と4の違いの方が大きいかも。」という話も聞きますが、持っていないので未確認です。)
2.プロジェクトのサンプルレートがCubaseでは最大96KHzなのに対してNuendoではインポート・エクスポートは384KHz(レコーディングは192KHz)までとなっていたり、チャンネル数がCubase4で6ch(ST4は2ch)・Nuendo4で12chであったり、表示などのカスタマイズがNuendoでは相当可能であったりなど、機能の違い。
3.Cubaseは音楽制作用としての機能が豊富なプリプロダクション用、Nuendoは編集加工を主としたポストプロダクション用と位置づけられており、音楽制作用機能をNuendo4に追加するための「Nuendo Expansion Kit」が別売されている。
そこでデフォルト状態でどれだけの音の違いがあるか、とても楽しみにしています。まあ、リファレンス・レコーディングの176KHz/24bitファイルを直接再生するのが第一の目的だとしたら我ながら結構いかれていると思いますが。(笑)
■CD-DAはいろいろと問題があるのは百も承知で、読み込む都度読み方はビミョーに違うはずだ。一方、HDDだってディスクイメージという点ではやはりデータのロケーションはリッピングの都度都度変わっていくようだ。どちらも要は回転系のメディアの問題だと思う。(バイナリが変わるという問題ではなく、同一バイナリでもイメージあるいはデータロケーションが異なるという問題なので、誤解無きようお願いします。)
だから僕はこの間ずっとデータのダウンロードを追求していたわけです。で、ハード的な器としては今のところSSDかと。ただこれも思ったほどスピードが出ないようだし、高価だし。でもまあ、回転がないしデータを詰め詰めにしていくならこちらの方が良さそうです。
といっても電源やインターフェースで音はころころ変わるのだろうなあ。結局は手を動かしてみないと分からないのでしょう。
('08.9.23)【アヴァンギャルドな1日】(3)
このページでのソフト紹介でもクラシック関係のディスクが多いし、今回かけたディスクリストをあげると全くそうだと思われてしまうかも知れない。でも僕は「いい音楽」は皆好きで、人並みに青春時代もあったので、例えばレコード棚を2段ほど引き抜いてお茶の水に送れば、オールLPで「AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)&ブラコン(ブラック・コンテンポラリー)特集」の音楽喫茶を、LPの掛け替え(これが面倒っちい...)の合間のしゃべりだけでやってのける蓄積と自信は十分にある。
でも「現在(いま)」「活きている」音楽に関心があるのと、他にも司司がおられて書く方もおられるので、ニッチな方を選んで書いているという所が多分にあるので、一応ちゃんと断っておきます。orz
さて、今回の狙いというかコンセプトは、
1.調性が確立する以前の中世・ルネッサンス音楽では、人間の声という楽器によって一つの曲の中で求める「響き」に合わせて楽譜上は同じ音でも歌う高さを自在に変えられるので、高い自由度を達成していた。
そして教会旋法とそのモードによる語法は近代フランスなどの音楽家やアイルランド音楽、モードジャズなどのなかに脈々と生き続けてきた。
2.人間の声から楽器に移行し、かつ調性を確立していくことにより、多様な調でのより多彩な響きや大きな音を出せるようになったが、楽器は機械であるので固定した音律=調律しか扱えない。つまり調性を採用することにより、響きの自由度など確実に失われたものもある。
3.妥協の極みである「平均率」に対して、「純正調」は唯一理想的な調律法であるようなイメージがあるが、「純正調」にもいくつかの種類があり、「ハモる」ということの定義にもよるが、例えばピタゴラス音律の場合三度がきつい響きになるなど、一つの調の中であっても全ての音の相互関係を理想的にハモらせる=調和させる事はほぼ不可能である。要は様式観、選択と集中。
4.シェーンベルクら新ウイーン学派(現代音楽ではなくもはや古典)の流れにも12音など語法追求とロマンティシズム追求が共存している。そしてこういう音楽こそ楽器の質感・ニュアンスが大切であり、「いい音」で聞かないと真価が発揮できない。
5.いわゆる「メインストリーム」のジャズはコードの上で、コードに沿ってメロディを即興で展開していく。モードジャズの場合、例えばピアノは多彩な音のフローティングコードを叩き、そのうえでコルトレーンのようにモードをベースとした即興を展開していく。もちろんもっとフリーな展開もあるし、リズムは複合的にポリリズム化していくことも多い。
6.非西欧世界では圧倒的にスケール・モードといった旋律重視の世界である。沖縄音階、インドのラーガなどなど。つまりは迸る歌にコードは後からついてくる。
こうしてみると12音だけに限るのはむしろ音楽の可能性を限定する事になる。現代音楽では微分音やクラスターなどオクターブの中の細分化された音とその響きを捉えようとする試みも多々行われている。
7.そして現代や未来だけがアヴァンギャルドであるのではなく、過去も「フロンティア」として発掘の途上であり、まだまだ音楽の遺産は各地・各時代に沢山眠っている。
という壮大なものでありましたが、このうち5・6については時間の関係もあって殆ど出来ませんでした。
とはいえ、何となくであっても「音楽の自由度」「調性と調律法の限界」というイメージは伝わったのではないかと思います。また日頃聞く機会の少ない中世・ルネッサンス音楽についてはざくっとですが系統的に聞いてもらえたと思います。
参加者のもってこられたディスク(ストラスブール・パーカッショングループ+彗星の電波を音化したノイズ)やビョークをマルチで聞いたりして、遊んだりもしました。
初回でもあり進め方もこなれていませんが、こういう切り口でまだまだいろんなことがやれそうです。大体「ものづくり」というのは企画して立ち上げていく段階が一番面白いもので、今回一番楽しんだのは僕自身だったと思っています。
皆さん、ありがとうございました。
('08.9.19)【アヴァンギャルドな1日】(2)
(参加者への短信から)
以前コンサートを企画運営したことがあります。
そのときインド音楽のバーンスリーという笛の奏者(スペイン人)と話しながらまとめたコンセプトに「ムーンクロック・カレンダー・ミュージック」というのがあります。
太陰暦の音楽。
この星の上の大部分の地域は太陰暦で動いています。中国文化圏、インド文化圏、イスラム文化圏、アフリカ文化圏。
まことに月の巡りは人の営みと直結しているようなのです。
そしてこれらの世界では賛歌や嘆きや叫びや哀しみや喜びや、メロディーが、迸る歌が最初にあります。(しばしばそれは「スケール」「モード」として定着するのですが。)
ハーモニーは後から着いてくるものなのです。
沖縄には「歌三線」と言う言葉があり、三線は歌のための伴奏楽器であってソロ楽器ではない、と言うことを意味します。
北インドの音楽は宮廷音楽なので、1オクターブを72に分けたラーガと呼ばれる旋律、ターラと呼ばれるリズム拍節、ラサと呼ばれる音楽のシチュエーションについてのテキスト、という精緻な体系を持っておりますが、いかんせん記譜法がありませんでした。
そのため1子相伝という形を取らざるを得ず、演奏の普及については厳しいものがあったようです。
最近インドの若手演奏家達は記譜法を工夫し始めているそうですが、ヨーロッパ音楽が広く普及したのは資本主義における簿記・会計と同様、システム化された記譜法にあったのではないかと僕は考えております。
まあ、時間の関係もありますので、そういう事にも少しふれながら、幕間では「フランス人を泣かせる音楽は何か?」などと優しい音楽もかけたいと思っております。
床座りあり、居眠り自由、でゆっくりと秋の1日をたゆたゆとまいりませう。
('08.9.18)■写真やら図表やらでこのページの容量があまりに大きくなって、更新もはらはらするようになったので、9月15日以前を2008 part1 として別ページにしました。音楽は十分にいい音で聞けているし、オーディオには少し飽きたし、マーケットの状況も風雲急を告げていますし、イベントもあるし、なんだかんだでちょっと秋休みです。
■だって。そりゃそうだよ。デスクトップもこうしてあげなくちゃ。
http://community.phileweb.com/mypage/entry/1560/20080917/7196/
('08.9.17)【アヴァンギャルドな1日】(1)
遊びに来たいという友人達がいるので、せっかくならと9月21日には「アヴァンギャルドな1日」というのをやる事にした。そこへパリから帰ってこられる音楽大好きのアーティストも加わる事になり、前日には奈良の友人宅で宴があり引き続いて我が家、という2日連続イベントで盛り上がりも出てきている。
アヴァンギャルドというのは現代音楽と言うだけではなく、僕的には近代西欧音楽の中心にある「調性」から「前へ」というイメージです。
「調性以前」のヨーロッパの中世・ルネサンス音楽や、
「脱あるいは非調性」の(西欧系)現代音楽やジャズ、
「調性外」の非西欧音楽、
といった感じになります。
西欧系現代音楽をのぞいてこれらの音楽の基本にはまず溢れほとばしる「歌」=メロディーがあり、コードは後から着いてくるものです。グレゴリオ聖歌の旋法=モードがアイルランド音楽やコルトレーンらのモードジャズの基本となっていることは、そういう脈々とした流れがあることを示していると僕は思っています。
さてさて、そのような補助線がちゃんと引けますかどうか。
あ、何度も言いますが僕は「音楽第一」の人間であって、そのためにオーディオを一生懸命やってますので、ご理解よろしく。
2008年part1から続いています。2008 part1へ