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「つくる会」講師が恒常化 統幕学校で国家観など講義 '08/11/20

 田母神俊雄たもがみ・としお・前航空幕僚長が統合幕僚学校長時代に新設した講座に、自身の歴史観に近い「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバー二人を講師に招いていた問題で、その後の歴代学校長も恒常的に二人を招いていたことが十九日分かった。外薗健一朗・現航空幕僚長の学校長時代も含まれる。防衛省が講師の名前や講義内容を説明する資料を公表した。

 講座は「歴史観・国家観」と題し、田母神氏が二〇〇三年度に設置。「つくる会」副会長の福地惇ふくち・あつし大正大教授と高森明勅たかもり・あきのり国学院大講師がそれぞれ「日本国憲法の本質」「国家観」などをテーマに本年度まで毎年、講師を務めている。福地氏は「現在の日本における歴史『認識』は日本人のための歴史観ではない」などと教育していた。

 外薗空幕長は昨年七月から今年三月まで学校長を務めていた。十四日の記者会見で、外薗氏は統幕学校の歴史教育は「バランスを取る必要がある」とし、講師の人選や教育内容を見直す考えを表明。田母神氏が歴史認識に関し政府見解と異なる論文を公表した問題については「田母神氏の歴史認識がゆがんでいたのか正しかったのか、コメントは差し控えたい」と明言を避けていた。

 講師は〇三―〇五年度までは五人、〇六年度からは四人で、両氏のほか坂川隆人・元統幕学校教育課長と作家の井沢元彦氏が毎年、講師を続けている。坂川氏は日本の誇るべき歴史として「欧米諸国によるアジア諸国の植民地化に立ち向かった」などと強調しているという。

 防衛省は国会審議で名前公表を求められたことから本人に是非を確認のうえ公表に踏み切った。〇五年度に「東京裁判」について講義した高崎経済大助教授だけ同意せず、名前は公表されなかった。




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