電車で痴漢をしたとして逮捕され、不起訴になった東京都国立市の元会社員、沖田光男さん(66)が、うその被害を申告したとして女性に賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷(津野修裁判長)は7日、証人調べをさらにする必要があるとして、訴えを認めなかった二審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻す判決を言い渡した。
訴訟では「痴漢をされた」という女性と、「携帯電話で話していたことを女性に注意したら、逆恨みでうその被害を申告された」という沖田さんの主張が対立。沖田さん側は二審で、女性が携帯電話で話していた相手の証人調べを求めたが認められなかった。
判決は、二審が「目撃証人に準ずる立場にある唯一の人物」の話し相手の証人尋問をしないまま、痴漢行為があったと判断したことは審理が不十分だったとした。
沖田さんは99年9月2日、女性に下半身を押しつけたとして東京都迷惑防止条例違反容疑で逮捕されたが、嫌疑不十分で不起訴となった。しかし、一、二審判決は、沖田さんが痴漢行為をしたと判断していた。(中井大助)