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裁判員制度:少年事件も平易な決定文…最高裁が実例紹介

 来年5月の裁判員制度導入に向け、市民に分かりやすい裁判を目指す取り組みが進められる中、少年事件の審理でも、分かりやすい文章で書かれた決定文を出す動きが始まっている。これまでは難解な用語が並ぶことが多く、少年が理解するのは困難なケースもあった。最高裁は多くの裁判官に参考にしてもらおうと、裁判官向けに実例の紹介を進めている。【北村和巳】

 「君は、遊びたいといった目の前のことを優先し、どれだけ危険か、よく考えないまま行動しています」「必要なのは少年院の先生から問題点を分かりやすく教えてもらい身につけることです」

 福岡高裁が2月、家裁の中等少年院送致決定を不服として抗告した少女に出した決定文の一節だ。少女は出会い系サイトで知り合った男性宅を泊まり歩くなどしたため、将来、罪を犯す恐れがあるとして保護された。

 家裁決定は「年齢相応の社会的行為規範がなく、他者への追従傾向が強い。専門の矯正施設で教育を施すことが必要」と指摘。高裁も結論を支持したが、家裁決定の内容を易しい言葉に変え、諭すような内容にした。

 東京高裁も昨年10月、別の少女の抗告を棄却した際、「働いて母を助けたいという意欲は良い。しかし、社会のルールを守れるようになるなど改善を図る場所は少年院しかない」と記した。

 少年審判で、成人の弁護人に当たる付添人がつくのは、全体の1割に満たない。難しい決定文の内容を少年に理解してもらうため、収容先の少年院の職員がかみくだいて説明することもあった。

 裁判所関係者は「少年に立ち直ってもらうため決定文をじっくり読んでほしいとの裁判官の考えがよく出ている」と話している。

毎日新聞 2008年11月10日 15時00分(最終更新 11月10日 15時10分)

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