ここから本文エリア 障害ある人と外出 3年目の「地域の友達」2008年11月20日
判断力に困難のある人と定期的に会って、一緒に遊びに出かけたり、食事をしたり、そんな「地域の友達」が試行3年目を迎えた。「コミュニティフレンド(CF)」という、千葉で始まった全国でも珍しい試みで、県内外から注目を集めている。22日に千葉市内のシンポジウムで、活動の様子などが報告される。(鶴見知子) CFは障害のある人の成年後見や生活支援に取り組むNPO法人PACガーディアンズ(船橋市)が始めた。現在、千葉市など7市に23組いる。知的、発達、精神障害などがある20〜60代の人が利用している。 CFは「友達」として気長に楽しく無理せず向き合うのが役割で、資格は不要だ。20〜60代の会社員や主婦、施設職員、学生らが担っている。月1回程度会い、一緒に過ごす。行きたい所を相談し、費用は原則割り勘。困ったことがあれば、コーディネーターが相談に応じる。 同法人副理事長で筑波大大学院講師の名川勝さん(45)は「友達は暮らしを彩り、世界を広げる。後見や支援でない友達関係は、障害のある人にとっても大切なこと。CFの研修会も開き、広く募っていきたい」と話している。 シンポは「千葉県発、障害がある人の後見支援をこう考える」と題し、22日午前10時15分から午後5時までJR千葉駅ビルにあるペリエホールで開かれる。定員200人、無料。申し込み・問い合わせは電話(090・1836・8197)か、メール(pacg@liaisonlc.com)で。 ◇月に1回、「行き先」話し合い CFの松本智子さん(48)が市川市内の知的障害者施設に着くと、入所者の大野直子さん(40)は笑みがこぼれた。大急ぎで財布をかばんに入れると、松本さんの車に乗り込んだ。 大野さんは自閉症で言葉が出にくい。「元気だった?」「何しようか?(商業施設の)コルトンに行ってみる?」。松本さんの問いかけに手を挙げ、うなずいて答える。カーステレオからお気に入りの「嵐」の曲が流れると、目尻が下がる。 駐車場で車から降りると、大野さんがすっと松本さんと手をつないだ。最初のころは、一人でパーッと走り出してしまい焦ることもあった。でも、お互いに慣れてきた。松本さんが足を痛めていると、心配そうに歩き方を加減することもある。 月に1回、松本さんとの「デート」では、コンビニで好きな菓子を買って食べ、女2人で店を見て服を選ぶ。松本さんの家族とプールに出かけたり、自宅でお茶を楽しんだりすることもある。 「友達って何だろう。うれしそうな笑顔を見ると、こっちもうれしくなる。おせっかい活動だけど、世の中の一人として彼女の代弁ができて、一緒に生きている実感が持てる」と松本さん。 会社員の池上直樹さん(45)も、軽度の知的障害のある男性(43)のCFになっている。プロ野球観戦やボーリング、お祭り見物……何をしようか話し合って決める。「慌ただしい毎日の中で、彼と過ごすゆったりした時間は、自分にとってもかけがえのない時間。友人として一緒にいることが、ただ楽しい」と話している。
マイタウン千葉
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