沖縄市の中城湾港泡瀬沖合埋め立て事業をめぐって、県には将来の公金支出、市には今後予定していた公金支出差し止めを命じた那覇地裁判決を受け、原告団は19日、県庁で記者会見し「工事を中断し、事業を再検討すべきだ」と事業見直しを要求した。一方、県は控訴する方針を示し、事業継続を明らかにした。仮執行処分が付されていないため、事業継続は事実上可能だ。
住民らは県港湾課や沖縄市、国の沖縄総合事務局を訪れ、事業の中止や控訴断念を求める要請書を提出。県の担当者は「判決文を精査して対応を検討したい」と答えた。
沖縄市の東門美津子市長は記者会見を開き「主張が認められないのは残念。控訴するかどうかは今後検討する」とし、週明けにも方針を示すとしている。事業主体である沖縄総合事務局は「県や市と協議するとともに本省と連絡して今後の方針を決める」と述べた。
判決は埋め立て免許承認の2000年時点において「合理性を欠くものとまでいうことはできない」などとして経済的合理性を認定した。だが、その後の市の土地利用計画が明らかでないことを理由に、現時点において埋め立て事業自体に経済的な合理性がないと判断した。
07年12月、東門市長は第1地区を土地利用計画見直しを前提に容認し、第2地区については計画撤回を前提に国や県に見直しを求める方針を表明した。判決はこうした市長方針を経済的合理性の有無の判断に位置付け、第1地区は「具体的な土地利用計画は何ら明らかでない」と指摘、第2地区については「基本的に見直す(計画を撤回する)というもの」と解釈し、市が当初計画していた海浜開発事業は経済的合理性を欠いているとした。
会見で原田彰好弁護団長は「請求に対する判断の最大のよりどころになったのは、東門市長の発言であることは間違いない。判決は需要予測について精度の正確性を欠くと認定していることに加え、沖縄市が2区の工事は認めないと表明していることをとらえた。内容的には中身まで正面から踏み込んだ」と大きく評価した。
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