麻生太郎首相は19日、首相官邸での全国都道府県知事会議で地方の医師不足への対応を問われ、「自分で病院を経営しているから言うわけではないが、医者の確保は大変だ。(医師には)社会的常識がかなり欠落している人が多い。うちで何百人扱っているからよく分かる」と述べた。地方の医師不足の原因が医師側にあることを指摘したものだが、日本医師会など業界団体が反発するのは必至だ。
さらに首相は、「正直これだけ(医師不足が)激しくなれば、責任はお宅ら、お医者さんの話ではないのか。しかも、お医者さんを『減らせ減らせ、多すぎだ』と言ったのはどなたでしたか」と、過去の医師側の発言を紹介する形で医師を批判した。そのうえで、医師不足解消に関し「急患が多いところはその分(診療報酬の)点数を上げたらどうですか」と指摘した。
首相は同日夜、首相官邸で記者団に「お医者さんになったおれの友達もいっぱいいるんだけれど、何となく意見が全然、普段からおれとは波長の合わないのが多いな」と医師への感想を述べた。
一方で「社会的常識が欠如」との発言について、「まともなお医者さんが不快な思いをしたというのであれば、それは申し訳ありません」と釈明した。
首相の弟の泰(ゆたか)氏が社長を務める「麻生」(旧麻生セメント)は、飯塚病院(福岡県飯塚市)などを経営。首相は衆院選に出馬する79年まで同社の社長だった。【石川貴教】
毎日新聞 2008年11月19日 20時57分(最終更新 11月19日 22時55分)