「義賊装う」「省を敵視」 識者が犯人像を推測旧厚生省の元事務次官や家族が相次いで凶刃に襲われた。警察は18日、連続テロの可能性があるとみて捜査を始めた。犯人の狙いは何か。なぜ次官経験者なのか-。なぞが深まる事件に、社会の不安が広がる。専門家らが事件の背景、犯人像を推測した。 犯罪学が専門の藤本哲也中央大教授は、年金問題だけでなく、薬害エイズなどこれまでも厚生行政をめぐる問題が起きていることを挙げ「犯人が厚生労働省を自分の生活を脅かす存在として考えていてもおかしくない」と犯人が抱く厚労省への敵対心を推理する。その上で「襲いやすいOBを狙ったのだろうが、現役も安全とはいえない」と指摘した。 ジャーナリストの大谷昭宏さんは「30歳ぐらいという目撃情報からは、自分が年金が減るなどの被害を受けた人物とは考えにくい」と犯人像を描く。「義賊を装い、世間に向けて自己アピールを狙った、ゆがんだヒロイズムがうかがえる」と犯人の心理状態を推し量り、犯行に対し「仮に行政に不満があったとしても、民主主義国家として許されるべき行為ではない」と憤った。 「政治的なテロと決め付けるのはまだ早い」と慎重な見方をするのは精神科医で作家のなだいなださん。「社会的反響を起こしたいなら大臣を襲ったはず。犯行声明も出ていない」。標的になったのは一般には名前や経歴が知られていない元官僚。なださんは「最初から、この2人の次官に狙いを絞った犯行だったのではないか」と分析した。
【共同通信】
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