麻生太郎首相は30日、首相官邸で記者会見し、事業総額26兆9000億円の追加経済対策(生活対策)を発表、社会保障の安定財源確保などのため「経済状況を見た上で、3年後に消費税率の引き上げをお願いしたい」と表明した。首相が消費税率の引き上げ時期に踏み込んで発言するのは異例。年末に税制改革の全体像を示し、2010年代半ばまでに段階的に実行するとしているが、与党内に異論もあり「ねじれ国会」の下で実現は簡単ではなく、議論を呼びそうだ。
今回の経済対策の柱は、家計緊急支援のための「生活支援定額給付金」(仮称、総額2兆円限度)で全世帯に支給。首相は「4人家族で6万円程度になる」と述べた。
首相は「金融災害というべき100年に一度の暴風雨」と厳しい現状認識を強調。「暮らしの不安を取り除く」として住宅ローン減税や高速道路値下げ、雇用対策、市場安定などを盛り込み、政策を総動員した。国の財政支出は政策減税を除き5兆円で、第二次補正予算を編成する。
給付金の支給時期について、首相は前日に「年内と年を越すのではだいぶ意味が違う」と年内実施の考えを示したが、「年度内」と訂正した。
雇用保険の料率も下げ、標準世帯に年約2万円還元。今年末で期限が切れる住宅減税は最大控除額を過去最高の600万円規模にして延長。証券優遇税制も3年延長する。
金融危機で貸し渋りに遭っている中小企業向けに融資や保証枠を21兆8000億円追加。8月の総合経済対策で実施した9兆円と合わせ30兆8000億円に拡大し、資金繰りに万全を期す。
道路特定財源の一般財源化に伴い、1兆円を地方の実情に応じ使える新たな仕組みを設ける。自治体が社会資本整備などに使える臨時交付金6000億円も支給する。
高速道路料金を大幅に下げ、地方では休日の「1000円乗り放題」を導入、首都、阪神高速も休日割引を行う。生産調整(減反)に協力するコメ農家への助成も盛り込んだ。
対策の財源は、主に特別会計の積立金など「霞が関の埋蔵金」で捻出[ねんしゅつ]、赤字国債は増発しない。年末に税制改革の全体像を示すことも明記した。
要望実現ならありがたい
真鍋知事の話 世界的な金融危機に見舞われ、国内景気の下降局面が長期化、深刻化する恐れが強まる中、県経済も厳しい状況にある。発表された経済対策には、高速道路料金の大幅値下げや地方公共団体への財政支援措置が盛り込まれているようで、これまで要望してきたことが実現されるのならありがたい。
【→関連記事】