ノムさん、ノリ獲り。楽天が、１５日にフリーエージェント（ＦＡ）権の行使を正式に表明した中日・中村紀洋内野手（３５）の争奪戦に本格参戦する。右の強打者で、さらに守れる三塁手は補強ポイントにピタリと一致。すでに複数年契約も視野に調査を開始するなど、本気度全開だ。球団創設４年目でＦＡ戦線への参戦は初。１９日の公示を待ち、高らかにノリ獲りを宣言する。 【楽天グッズ】

　中村紀のＦＡ権行使の決断に楽天の反応は素早かった。懸案だった「守れる三塁手」と「右の大砲」を一気に解消する大物三塁手。ある球団首脳は言葉を選びながら「中村がＦＡ宣言してくれるのであれば獲得したい。長打力があって守れる三塁手。うちの補強ポイントにピッタリ」と獲得への強い意志を口にした。

　三塁手の強化はチームの大きな課題だった。今季は草野が最多の９９試合に出場も規定打席に届かず打率・２７１。三塁で５１試合に出場したフェルナンデスは打率・３０１、１８本塁打、９９打点をマークしたが、守りでは三塁での９個を含むリーグ２番目に多い１７失策。野村監督が「オレをクビにしたいのか」と守備難を吐き捨てたことも度々あった。それだけに、今季打率・２７４、２４本塁打、７２打点の打撃に加え守備にも定評のある中村紀獲得は、攻守で大きな戦力アップとなる。

　条件面でも最大級の評価を提示する用意もある。球団首脳は「あれだけの選手だし、プライドもあるだろう。もちろん複数年を考えているし、資金も惜しまない」と説明。条件面などで来季の残留が微妙なフェルナンデスの今季年俸が１億５０００万円（推定）だけに、２年契約で総額３億円も惜しまない。補償金や人的補償がかからないだけに、球団初のＦＡ選手獲得への本気度は高い。

　０６年オフにオリックスと契約がこじれ自由契約となり、育成選手として中日にテスト入団。昨年、５３年ぶりの日本一に貢献しＭＶＰに輝いた際、野村監督は中村紀を「うちにも話はあったのに断った。獲ればいいのに。丸刈りにして心を入れ替えて活躍したのは大したもの」と評価した。目立った補強が進まなかった野村楽天だが、低コストで魅力的なノリ獲得に動かない手はない。

[ 2008年11月16日 ]