【社説】預金者をそそのかした銀行の責任を追及せよ
ろくにリスクの説明もせず、顧客に株式型投資信託への加入を勧めた銀行に対し、金融監督院(金監院)は評価損の50%を負担するよう命じた。金監院によると、2005年にウリ銀行がある顧客に投資信託への加入を勧める際、「元金が目減りする可能性は、大韓民国が破たんして国債が不渡りとなる確率程度しかない」と説明していたという。つまり、元金が保障されるかのような錯覚を起こさせた責任が銀行にもある、ということだ。
被害者は3年前にウリ銀行の「パワー・インカム・ファンド」に5000万ウォン(現在のレートで約350万円、以下同じ)を投資した。元々は定期預金をするために銀行に行ったのだが、「元金が保障され、しかも年6.7%の利子が付く」という行員の説明を信じ、結果的に定期預金ではなくこの投資信託に加入した。しかしその後は利子どころか元金も目減りし、今年9月の時点で投資額の44%にあたる2193万ウォン(約153万円)の損失を出した。被害者が当初の予定通り定期預金に預けていれば、今ごろは元金のほか625万ウォン(約44万円)の利子まで手にしていた。この利子まで考慮すれば、被害者の損失は実質的に投資額の60%という計算になる。銀行が損失をすべて補填したとしても、この被害者はすっきりしないはずだ。
ここ数年は積立式の投資信託が大流行し、どこの家庭も一つぐらいは投資信託に資金を預けている、といわれるほどにまでなった。2006年末の時点で1239万件だった口座数は、今年6月末の時点で2511万件にまで増えた。その80%は銀行の窓口を通じて開設されもので、残りの20%は証券会社や保険会社を通じたものだ。銀行は各行員に対し、投資信託への加入者数を確保した実績を人事やボーナスに反映させた。そのため支店長から末端の窓口行員に至るまで、預金をしに来た一般の顧客にまで投資信託への加入を強く勧めるようになった。その際高配当などのいい点ばかりを強調し、リスクに関してはしっかりと説明していなかったという。定期預金の満期が近づいた預金者には自宅にまで何度も電話を掛け、資金を投資信託へ乗り換えるようしつこく勧めるほどだった。今回の被害者のように銀行の言うことを信じて投資を行い、結果的に多額の損失を出して家族に顔も向けられないまま寝込んでしまった国民は一人や二人ではない。
銀行が投資信託加入者の確保に熱を上げたのは、手数料を確実に徴収できてしかも後の管理も必要なかったからで、要するに簡単に金儲けができたからだ。銀行は2006年6月以降、投資信託を通じて3兆2700億ウォン(約2300億円)の手数料収入を確保した。しかもその手数料は投資額の0.9%に設定され、証券会社の0.5%や保険会社の0.2%よりもかなり割高だった。銀行は中小の輸出企業に為替リスクを避けるための派生商品「KIKO」への加入を勧める際にも、リスクをしっかりと説明せず手数料稼ぎに熱を上げていたという。
金融監督当局は今回のことをきっかけに、リスクのある金融商品を顧客に勧める際にはそのリスクについてしっかりと説明し理解させることを銀行に義務づけ、金儲けだけに熱を上げようとする銀行の姿勢とその責任を厳しく追及しなければならない。手数料稼ぎに味をしめた時代遅れの銀行営業の慣例には必ずメスを入れる必要があるということだ。
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