待合室の座布団の上で丸くなる名誉駅長の「ばす」。特製の駅長帽は「同僚」駅長の手作り=福島県会津若松市の会津鉄道・芦ノ牧温泉駅
和歌山電鉄の貴志駅長を務める「たま」=和歌山県紀の川市
福島県会津若松市の会津鉄道・芦ノ牧温泉駅の「名誉駅長」こと野良猫の「ばす」が人気だ。駅長帽をかぶった愛らしい姿が県内外から観光客を引きつけるようで、千個作ったキーホルダーや携帯電話のストラップは完売。先月からはブログまで始めた。景気低迷中の招き猫ぶりに、同社は「特別ボーナスを検討します」。
ばすは推定10歳の雌猫で、9年ほど前から駅に住みついている。代々の駅長や乗降客に可愛がられており、4月末に同社から名誉駅長に任命された。60番目の社員として、本物の駅長帽のミニチュアをかぶる。
人で言えば70歳すぎで一日中、待合室の座布団で寝ているだけだが、「なんとも雰囲気が和む」と大竹加良子駅長(35)。知らない人に触られるのが嫌いで愛想がいいとは言えないが、「こびずに気ままなところがいい」と猫ファンのハートをつかんでいる。
10月からは「吾輩(わがはい)は……にゃー」などと、日々の出来事をつづるブログ(http://aizutetsudo.sblo.jp/)も始まった。かように活躍中だが、報酬は、寝床が段ボールから市販のペットハウスに変わったくらい。特別ボーナスについて、同社の大石直(ただし)社長は「ばすの大好物はコーヒー用のミルク。大量に『支給』すると体に悪そうで……」と頭を悩ませている。
猫駅長では、和歌山県紀の川市の和歌山電鉄・貴志駅の「たま」が有名。制帽姿で人気を集め、写真集までできた。先月には功績がたたえられ、県から「ナイト」の称号が贈られた。会津鉄道は「たま」に続けと意気込んでいる。(足立朋子)