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全国学力テスト:成績、第三者提供を禁止せず 学校別開示を決定--鳥取県教委

 鳥取県教委の定例教育委員会が14日開かれ、情報公開請求があった場合、文部科学省の全国学力テストを全国で初めて学校別まで開示することを正式に決めた。当初、学校が特定できる形でのデータ公表や第三者への提供を禁止する予定だったが、「表現の自由」に違反し、情報公開条例の理念に沿わないという批判があるため、この日は配慮義務にとどめる県情報公開条例改正案を提示。開示は条例改正が前提となる。【宇多川はるか】

 県教委はこの日、「10人以下の学級のデータを除いて開示」とする現条例の規定を学テにも適用し、09年度から開示と決めた。改正案は情報開示を受けた者の「責務」として、学校や学級を識別できる方法で公表し、または不特定多数の者に提供しないなど、児童らの心情への配慮▽序列化や過度の競争が生じないような配慮、を掲げた。

 県教委は条例改正について、22日の臨時教育委員会で決める。改正案は25日開会の県議会に提案される。

 ◇参加ためらう動きも 「最下位校分かる」--市町村不安視

 14日示された全国学力テストの市町村別と学校別データを開示する鳥取県教委の県条例改正案について、県内の市町村教委からは教育現場への影響を不安視する声が出ており、09年度のテスト参加にためらいを見せる教委も出始めている。

 県教委は先月30日、学校別まで公開する一方で、情報請求者に対してデータの公開や第三者への提供を禁じる案を教育委員に示したが、罰則がないため、「規定に実効性があるのか」と不安の声が上がっていた。

 改正案は禁止事項を配慮義務に後退させた内容で、鳥取市教委の中川俊隆教育長は「データが流出したら、どの学校が最下位かという話になる恐れがある。そんな恐れがある以上は開示には反対」と話す。

 県内19市町村教委の大半は、09年度の全国学力テストの参加・不参加は「県議会での審議を見守った後に判断したい」としているが、全国学力テストそのものの意義を再考したうえで参加を決めるという市町村教委も。智頭町の藤原一彦教育長は「条件付きの開示で現場が混乱しないか」と懸念しながらも「県の動きに振り回されずに、テストに効果があるのかを考えたい」と話している。

 ◇「公表抑制求める議論はおかしい」--堀部政男・一橋大名誉教授(情報法)の話

 情報公開制度で開示された情報を請求者がどう使うかは自由で、公表を控えるよう求める議論はおかしい。全国学力テストの開示については、教育に悪影響を及ぼすという意見と、情報を積極的に生かすべきだという意見がある。鳥取県は後者と判断したのだから、むしろ大いに報道などで公表すべきではないか。

毎日新聞 2008年11月15日 東京朝刊

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