最近はCADで設計するからだろうか?
「理論公差」をちゃんと知っている若者が少なくなった。
まぁ嘆いていても何なんで
自動で計算できるEXCELシートを作って
管理できるようにしてみた。
EXCEL関数は専門外だったが
何とか助けを借りて理論公差がノミナル内かどうかを判断するEXCELシートを完成させた。
(もし、同じようにEXCELで作りたい同業者さんは下記参照:出血大サービス)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1420580574
私は某自動車メーカーの品質管理の人に
設計でノミナルを出す時は
設計理論公差=「公差バラツキの2乗和平方値」+「ガタ(遊び)の総和」
として習った。
というか知らなかったので小一時間...教わった。
上のyahoo知恵袋の補足をしよう。
A:バラツキ
B:バラツキ
C:バラツキ
D:ガタ(遊び)
なら
最悪バラツキ=A+B+C+Dになる。
だが、実際の工程で
全ての部品がマイナス方向のワースト
全ての部品がプラス方向のワースト
で組み付けてASSYする事が有り得るのだろうか?
これは、統計的(理論的)に「無い」と言い切れます。
普通はプラス方向のバラツキ、マイナス方向のバラツキが混ざって
帳消しにしてくれるものです。
なので、設計者は
設計理論公差=「公差バラツキの2乗和平方値」+「ガタ(遊び)の総和」
=√(A^2+B^2+C^2)+D
でノミナルを管理すべきで
このノミナルに入れるのが品質保証の人間の仕事であり
設計の仕事ではありません。
ですが、時々品質保証の人でも
最悪バラツキを持ち出して
そのノミナルだとNG品出まくるからノミナルを広げろ
というおかしな人がごく稀に居ます。
まぁ、利口な方は分かると思います。
この稀な我侭な品質保証の人は良品率を上げたいが為の要求で
この人の意見を聞いていたら、製品として成り立ちません。
なぜなら、相手のPANEL側が公差MAXで出来て
差し込むトリム製品側が公差MINだと...
説明する必要も無いでしょう。
品質保証の人間なら
バラツキを出来るだけ狙い目のセンターとなっていくようにするのが仕事で
ノミナルを広げろ
などと言う要求は愚の絶頂です。
まぁ、これを読んだ設計者さんは
そんな稀な品質保証の人間には
「設計理論公差から外れる割合は?」
と聞いてやりましょう。
多分答えれないはずです。
いわゆる6σ(シックスシグマ)でCp値が管理されている(Cp>=1.33)工程では
設計理論公差を外れる部品なんて限りなくゼロに近い数値です。
自動車なんて生産台数が
せいぜい月に1万台程度ですから発生頻度なんて無視できるレベルです。
(これが数百万個作る工場なら話は別です)
なぜ、こんな事を書くかというと
インターネット上でもおかしな主張の人が稀に居るから...
もっと勉強したい貪欲な向上心のある設計者にアドバイス
この辺のサイトが勉強になりますよ。っと
http://www.omoshirogari.com/quality09.htmhttp://homepage1.nifty.com/ORBIT/lec/le010302.htmlhttp://analog-engineer.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/post_208c.htmlhttp://www.advmg.com/column376Cp.htmlhttp://www.kikaikaihatu.com/sekkei/20021010.shtml公差集積になぜ2乗和平方値を用いるのか?
http://ishikawa-eng.com/pdf/Acost.pdfアクセスが多いので追記
ASSY(アッセンブリー)品の公差集積に2乗和平方値を用いる事に異議を唱える人は
たいがいこういった例えで「積上げ公差」は最大バラツキのノミナルをとらないと破綻していると説明するはずである。
この例えがインターネット上にも多く、しかも品質保証の専門家ぶった人でも
この勘違い...というか
おかしな言い逃れを説明していたりするので厄介だ...
そのおかしな「積上げ公差」(集積公差ではない)の例えは
10±1mmのブロック部品Aが
実測11mmのMAX公差だったら
10枚積み重ねると
11×10=110mm
で
10±√(1^2+1^2+1^2+1^2+1^2+1^2+1^2+1^2+1^2+1^2)
=10±√10
=10±3.162277...
でノミナル3.5mm(10±3.5mm)と設計すると破綻している
と反論してくる。
違いが分かるだろうか?
この反論は特殊な例で、反論の根拠とはなりえない。
自動車部品のような場合
ASSYで同じ部品×10枚なんて皆無だからだ。
まったく、別の工程(工場)で作られたA、B、C...といった部品をASSY(アッセンブリー)するのである。
もし本当にAを10枚積層するなら
実測11mmをベースに
11±√10
=11±3.5mm
が「積層」工程のノミナル値となる。
というか、設計10mmで実測11mmがおかしい
そんな物が大量発生する工程の
Cp値(Cpk)はどうなってるの?
とでも反論してやりましょう。
出血大サービスのネタです。
自称院卒のような学歴の高い人に限って
おかしな最大バラツキの例えを出して
さも専門家面するから厄介だ。
まぁ、頭でっかちの人はどこにでもいるので
このページが反論のきっかけとなれば幸いである。
WEBで検索かけてもこの手の話題は見つからない...
というか誤解の解説が多いので書いてみた。
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