ロシア皇帝に裏切られた大韓帝国(上)
ハーグ密使事件100周年【3】
- ロシア最後の皇帝、ニコライ2世
今からちょうど100年前、イ・ジュン、イ・サンソル、イ・ウィジョンら3人の密使は日本の監視と追跡を振り払い、1万キロ以上離れたオランダ・ハーグへと向かった。1907年6月に開幕された第2次万国平和会議に参加するためだった。3人の密使が集まったのは、当時帝政ロシアの首都だったサンクトペテルブルク。3人の運命はその地で決まった。ソウルからハーグまでの彼らの道のりを逆方向から追跡してみた(ハーグ→サンクトペテルブルク→ウラジオストク)。
◆黄金の噴水像の前に立った密使たち
サンクトペテルブルク市内に位置するエルミタージュ美術館の後ろにあるネバ川の船着場から船に乗って40分ほど行くと、広大なフィンランド湾を経てペテルホフ船着場に到着する。ペテルホフは歴代のロシア皇帝の夏の休養地だ。この地の宮殿前にある64の黄金の噴水像に、道行く人たちは圧倒される。
ちょうど100年前の1907年6月にこの地を訪れた3人の密使もそうだったことだろう。噴水の中でもとりわけ目立つのが、獅子の口を引き裂く高さ3.3メートルのサムソン像だ。1698年にピョートル大帝がスウェーデンとの北方戦争で勝利したのを記念するために造られた噴水像は、巨大帝国ロシアの力を象徴している。密使らの目にはその力こそ、彼らが頼れる最期の希望に見えたことだろう。
釜山から船に乗り込んだイ・ジュンと北間島から駆けつけたイ・サンソルがウラジオストックで合流し、シベリア鉄道に乗り込んだのは5月21日のことだった。一部では彼らが現在のシベリア鉄道を利用したことになっているが、これは事実とは異なる。水原大学の朴桓(パク・ファン)教授は「ハバロフスクを経由する現在のシベリア鉄道全区間が完成したのは1916年であり、彼らが満州のハルビンを経てチタとイルクーツクを経由したルートを行ったのは明らかだ」と述べた。延々と続くシベリアの大地を2週間以上走り続け、ついに6月4日、彼らはサンクトペテルブルクに辿り着いた。
サンクトペテルブルク=兪碩在(ユ・ソクジェ)記者
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