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韓日民間研究者が共同執筆した歴史教科書の中身とは(上)

韓日歴史共通教材『韓日交流の歴史―先史から現代まで―』

 韓国と日本の歴史研究者らが全時代を対象に共同執筆した初の韓日共同歴史教材が、来月1日、韓日両国で同時出版される。

 韓国の歴史教科書研究会(李存熙〈イ・ジョンヒ〉会長)と日本の歴史教育研究会(加藤章会長)は、10年に及ぶ共同作業の末、高校生を対象とした歴史教材『韓日交流の歴史―先史から現代まで―』の執筆を最近終えた。

 ソウル市立大と東京学芸大などの教授・教諭36人が執筆した『韓日交流の歴史』は、『向かい合う日本と韓国・朝鮮の歴史』など、これまでに出版された韓日共同歴史教材とは異なり、▲先史時代から21世紀までのあらゆる時代を扱い、▲分担して執筆するのではなく、最初から最後まで両国の学者らの討論と合意に基づいて共同執筆されたという点に特徴がある。

 本紙が単独入手した『韓日交流の歴史』最終原稿では、文化の一方的な伝播(でんぱ)ではなく相互の交流を強調し、日帝強占期の歴史を収奪論の立場から記述するなど、今後両国で論争となり得る部分が多く含まれている。

◆古代…任那日本府は存在しないが、日本人は韓半島(朝鮮半島)で活動 

 古代日本が韓半島南部を統治したと日本の学界の一部が主張している「任那日本府説」について、『韓日交流の歴史』ではこの説を否定する立場を取り、一切触れていない。その代わり、「日本特有の古墳である前方後円墳が韓半島南部で発見されるなど、両国の間には活発な住民交流があった」(45ページ)と記し、日本人の韓半島(朝鮮半島)での活動を認めている。

 また、百済からの移住民が日本の国家建設に貢献するなど、百済と日本は長期間親交を維持したと説明し、七支刀に関連する多くの学説を紹介している(韓国語版38から39ページ)。一方、統一新羅成立以降の韓日関係については、「日本が統一新羅に朝貢を強要したことと、新羅人の海賊活動のため、新羅と日本の間の外交は途絶した」(69ページ)と記している。

◆中世・近世…壬辰倭乱(文禄・慶長の役)、日本も大きな被害 

 元寇について『韓日交流の歴史』では、「蒙古・高麗連合軍の日本侵攻以降、日本の民衆の間に高麗を蔑視(べっし)する見方が生まれた」(110ページ)と記している。また倭寇については、「倭寇の中には朝鮮人も多く含まれていた」という扶桑社版教科書の記述を批判し、14世紀以降の倭寇が「日本人海賊集団」であったことを明記している(113ページ)。

 壬辰倭乱については、「日本による朝鮮侵略」であることを明記(136ページ)した上で、戦争を引き起こした日本も大きな被害を受けた事実を明確にするため、壬辰倭乱当時、日本軍も5万人の損失を被ったと記している(147ページ)。一方、朝鮮通信使については、朝鮮と日本の双方が相手方に対して持っていた優越感を背景に成立したと記している(165ページ)。

兪碩在(ユ・ソクジェ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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