【社説】科学分野で13人、日本人のノーベル賞受賞を見て
今年のノーベル物理学賞受賞者3人はすべて日本人だった。化学賞3人のうち一人も日本人だ。日本はこれまでに物理学7人、化学5人、医学一人の計13人、科学分野でのノーベル賞受賞者を輩出した。2000年以降だけでも化学賞受賞者は4人目だ。これまで世界27カ国が科学分野のノーベル賞受賞者を輩出したが、韓国からはまだ一人も出ていない。
1949年に湯川秀樹博士が受賞した最初のノーベル物理学賞は、第2次世界大戦での敗戦で焼け野原となった中での受賞だった。湯川博士のノーベル賞受賞は日本が基礎科学分野で精神的に立ち直り、新たに飛躍するきっかけとなった。当時の日本には研究施設は残っておらず、あるのは紙と鉛筆だけだった。湯川博士のノーベル賞受賞以後、日本の優秀な頭脳は紙と鉛筆だけでも研究が可能な素粒子物理学に集まった。日本の物理学界における成果は湯川博士から始まり、師匠から弟子、先輩から後輩へと続く集団研究の結果として実現している。1965年に物理学賞を受賞した朝永振一郎博士は今年の受賞者である南部陽一郎博士の師匠であり、南部博士は2002年の受賞者、小柴昌俊博士の師匠だ。朝永博士、小林誠博士、益川敏英博士は湯川博士が46年に創刊した科学雑誌に投稿した論文でノーベル賞を受賞した。日本の化学界も優れた研究者がお互いに競争し、協力しながら理論を発展させるネットワークが確立している。日本にはいつノーベル賞を受賞してもおかしくない候補者が20人はいると言われている。
韓国の科学界が今、先駆的な研究でノーベル賞を受賞するとすれば、その効果や衝撃は非常に大きなものになるだろう。この国に科学者としてのマインドが湧き立つようになり、その波に乗って若手研究者が科学の大海に向かって船出することも可能になる。科学界に数千億ウォン(1000億ウォン=約73億円)を投資する以上の効果を得ることもできるはずだ。
日本が13人の科学分野のノーベル賞受賞者を輩出したのは、単に研究のための環境が韓国よりも優れていたからとは言えない。今回物理学賞を受賞した南部博士の論文は61年にすでに発表されていたものだ。また、化学賞を受賞した下村博士の蛍光タンパク質に関する論文は62年のものだ。当時日本の科学者たちは、実験室のガラス窓も交換できないような戦後の列悪な環境の中で、ひたすら研究室にこもって論文を書き続けたのだ。
韓国の科学界が2008年に発表したSCI(科学論文引用索引)登載論文数は世界12位だ。しかし質的なレベルを示す論文1本当たりの被引用回数は3.44回で、30位にとどまっている。06年の韓国の研究開発費は28億6400万ドル(約2900億円)で、日本は148億5300万ドル(約1兆5000億円)だった。今すぐにあらゆる分野で先進国と肩を並べるレベルに引き上げることはできない。今はロボットであれ神経科学であれ、われわれが得意とする分野で最高の頭脳同士が競争し、協力しながら世界の科学者が注目する優れた研究センターを設立するのも一つの方法だろう。科学と科学者を尊敬する国の指導者、科学の魅力に取り付かれて夜も忘れる科学者、そのような科学者の存在を誇りに思い、大切にする社会の雰囲気があってこそ、大韓民国と大韓民国科学の未来が切り開かれていくのだ。
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