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利子年間6兆ウォン 通貨安定証券が国家財政脅かす

 「潜在的な国家負債」とされる韓国銀行発行の通貨安定証券(以下通安証券と称す)が急増し、年間の利子負担だけで6兆ウォンに達するなど、国家財政を脅かす悪性負債となっている。

 韓銀が通貨調節用として発行する通安証券は、通貨危機以来、外貨準備高を増やす過程で市場に投入された通貨の還収や為替レートの安定に向け発行され、発行残高は97年の23兆ウォン水準から今年10月現在は160兆ウォンと、8年で7倍に増えている。

 これにより、韓銀は今年、通安証券の利子だけで約6兆ウォンを負担しなければならず、今年は1兆5000億ウォン(推定)に上る、過去最大の赤字を記録する見通しだ。

 昨年(1502億ウォンの赤字)に次ぐ2年連続の赤字で、通安証券の利子負担は極めて大きく、今後ともしばらくの間、韓銀の赤字は続くものと専門家たちはみている。

▲韓銀の赤字は結局、税金で補填

 韓銀の赤字はまず独自の積立金(5兆7000億ウォン)で補填し、積立金が底をつけば政府財政で補うよう、韓銀法と予算会計法は定めている。通安証券の利子負担で韓銀の赤字が続く場合、結局、国民の税負担に帰結、国家債務となるわけだ。

 通安証券のすべてが国家債務に編入される場合、年末には248兆1000億ウォン(暫定)と予想されている韓国の国家債務は408兆8000億ウォンまで急増することになる。また、国内総生産(GDP)に占める割合は30.4%から50%に膨らむ。これは国家債務の累積で頭を抱える先進国のうち、英国などの水準に迫るもの。

▲通安証券は「韓国だけ」の慣例

 中央銀行(韓銀)の赤字は世界的に類をみない。利子を一切支払わず、現金(貨幣)を刷ってはその資金を貸すことで利子を受け取る中央銀行が、赤字を出しているためだ。

 他国の場合は政府の発行債券(国債)を通じて通貨調節するものの、韓国は世界でほぼ唯一、中央銀行(韓銀)の発行債券で対応していることから、このような奇現象が発生する。

 政府は、通安証券を韓国銀行が発行しているとの理由で、国家債務の計算から除いている。国際通貨基金(IMF)の定めた基準に従い、直接的な政府の債務だけを国家債務として計上する、というのだ。

 しかし、学界や野党は通安証券そのものが世界的にも類をみない方式であるため、通安証券まで国家債務に含め、総合的に管理すべきだと指摘している。

 海外であれば当然国家債務として計上されるべき債務が、韓国的な通貨運営方式のため、国家債務として計算されていないためだ。いわば「隠された国家債務」ということになる。

 通安証券の発行規模が少なかった頃、この問題はクローズアップされなかったものの、大規模な利子の支払いが負担となってきている以上、通安証券の国家債務への編入論議はこれからも拡大する見通しだ。

 韓国金融研究院の朴宗奎(パク・ジョンギュ)選任研究委員は「通安証券も公的資金のように韓銀独自の力で返済できなくなれば、結局、国家債務となる可能性が高い」と説明した。

▲160兆ウォンに上る通安証券、返済の道のりは険しい

 160兆ウォンの通安証券が一度に国家債務に編入される場合、韓国の国家債務は400兆ウォンを突破する。国民1人あたり347万ウォンの国家債務が新たに生じ、1人あたり888万ウォンを負担しなければならない計算になる。

 この先、利上げ基調が続けば、通安証券の利子はさらに膨らみ、利子を返済するために再び通安証券を発行するという悪循環に陥ることが予想される。

 専門家が通安証券の問題を解決するために、慎重に掲げる代案は2つ。1つ目は、通安証券を国家全体の債務次元で管理しなければならず、このためには通安証券を国債に転換する必要があるというもの。

 韓国金融研究院の池東炫(チ・ドンヒョン)博士は「国債発行を通じて通貨を管理すれば、正確な(為替管理)コストが算出され、政策の効率性を高めるのにも役立つ」と話した。

 韓銀関係者も「通安証券の利子負担額が危険水位に達しているのは事実」としながら、「現行の制度ではこれといった対策がないだけに、通安証券の利子負担額だけは別途の国債発行で調達し、韓銀の負担を減らすなどの代案を検討する必要がある」と語った。

 2つ目は、為替レートを安定させようと、中央銀行が発券力を利用し外国為替市場に介入する方式を見直すべきだ、との指摘だ。

 高麗(コリョ)大学の李鍾和(イ・ジョンファ)経済学部教授は「韓銀の大規模赤字は国民負担につながりかねないだけに、過度な管理コストを伴う外貨準備高の再調整、通安証券以外の代案などに対する根本的な見直しを急ぐべき」と指摘した。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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