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【コラム】運任せの韓国経済(下)

 経済の現場には大惨事を引き起こす地雷が数多く埋まっている。不動産価格の下落は深刻で、地方の建設会社や仲介業者が相次いで廃業している。

 ファンド保有者は膨らむ損失に何とか憤りを抑えている。積み立て式加入者が多く、問題はないとの楽観論もあるが、集団で解約が相次ぐ事態となれば金融市場に大きなショックを与えるのは明らかだ。一部の金融会社や大企業は異常な兆候を感じて現金確保に動いている。ゴルフ会員権の売却、賃上げ抑制、出張自粛が普通のこととして受け止められている。

 専門家らはこのまま行けば、ある程度有名な中堅ブランドが連鎖倒産することもあり得ると懸念している。安価な米国産牛肉を拒否し、国民の健康権を叫んだスローガンまでもがぜいたくな思い出となり、いずれフィリピン、ネパール、スリランカのように次の食事を心配する貧困層のデモが登場するかもしれない。

 「まさかそこまでは」というかもしれないが、経済が極端な混乱に陥る前に非常口を探るのが賢明だ。

 大統領府(青瓦台)と経済チームは政策運営に対する失われた信頼を回復するため、専門家による非常経済対策機構の設置を検討する必要がある。不動産取引の活性化、金融不安の解消、公共部門の改革を含む包括的な経済再生プランを作成し、国民の同意を得ることを一度でも考えるべきだ。

 経済再生パッケージの実行に向け、国民投票を経て、推進の原動力を確保すべきかもしれない。国民投票にかけるほどの事案ではなく、巨大与党が支配する国会で正常処理すればよいという反対論に直面することも考えられる。

 しかし、ただでさえ低い支持率で政府と政権与党が信頼を取り戻すどころか、為替操作で混乱ばかり引き起こすようならば、国民がいつまた衝動的な行動に訴えるか分からない。

 物価変動、金融混乱の地獄に陥ってから払う代価より、その前に代価を支払ったほうが安く済む。それは通貨危機に陥った11年前の韓国を含め、経済危機を経験した全ての国から後日受け取った共通の決算報告だ。

宋煕永(ソン・ヒヨン)論説室長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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